商品やサービスが売れていても、キャッシュ不足に陥ると会社は潰れてしまう。中小企業が黒字倒産を避けるには、徹底したキャッシュフロー対策が必要だ。本記事で黒字倒産が起こる原因を理解し、キャッシュフロー悪化を防ぐコツや対策を押さえていこう。

目次

  1. 儲かっているのに会社が潰れる原因は? 黒字倒産はなぜ起きるのか
    1. 原因1:キャッシュフローにならない過剰在庫・滞留在庫
    2. 原因2:売上債権の回収遅れ
    3. 原因3:営業キャッシュフローにつながらない無理な投資
  2. 1つの財務諸表では分からない黒字倒産のリスク
  3. 黒字倒産の回避法は? キャッシュフロー悪化を防ぐコツ
    1. 財務三表を組み合わせて経営分析をする
    2. 仕入れ調整で適正な在庫を心がける
    3. 入出金のタイミング調整でキャッシュを増やす
  4. スムーズな資金繰りで黒字倒産を回避しよう
誰でもわかる黒字倒産の原理と予防法
(画像=ELUTAS/stock.adobe.com)

儲かっているのに会社が潰れる原因は? 黒字倒産はなぜ起きるのか

黒字倒産とは、帳簿上では利益を出している企業が、キャッシュ不足によって倒産することである。いくら売上が好調であっても、仕入れや税金などの支払いに対応できない企業は、黒字のまま倒産を迎えてしまう。

例えば、新規顧客を獲得するために手形取引や売掛金を増やすと、代金の回収サイトは先延ばしになる。それまでに仕入代金や税金の支払日があると、資金ショートを引き起こしてしまうかもしれない。

このような黒字倒産はなぜ起こるのか、以下では3つの原因を確認していこう。

原因1:キャッシュフローにならない過剰在庫・滞留在庫

在庫を増やすには仕入代金を支払う必要があり、実際に販売するまではキャッシュにならない。また、量が多いと管理コストも発生するため、過剰在庫・滞留在庫はキャッシュフロー悪化の一因になる。

特に回転率の低い(=販売までに時間がかかる)商品を取り扱っている場合は、過剰在庫・滞留在庫が増え過ぎないように仕入を調整することが必要だ。

原因2:売上債権の回収遅れ

売掛金や手形による取引は、主に新規顧客を獲得する戦略として活用されている。しかし、これらの売上債権も実際に回収するまではキャッシュにならない。

長期の回収遅れが生じないように、売上債権の支払い状況はこまめに確認して、迅速に対応することが求められる。

原因3:営業キャッシュフローにつながらない無理な投資

会社が成長を目指す上で、設備投資などの投資活動は欠かせないものである。しかし、営業キャッシュフロー(※)につながらない投資や、無理な借入による投資を続けると、言うまでもなくキャッシュは不足してしまう。

(※)主要商品の仕入れや販売など、本業による現金収支のこと。

また、投資資金の回収までにはある程度の時間がかかるため、基本的には営業キャッシュフローだけで賄うことが望ましい。