どれだけ売上があっても、資金繰りが悪化すると黒字倒産のリスクは高まる。会社経営を安定させるには、キャッシュフローを増やすこと、うまく回すことを意識しなければならない。中小企業の資金繰りを改善するには、どのような対策が考えられるだろうか。
目次
「在庫」と「売上債権」の見直しでキャッシュフローを生み出す
中小企業のキャッシュフローは、在庫や売上債権に左右されやすい。例えば、在庫は将来の売上につながるものだが、量が多すぎると管理コストの増大を招いてしまう。
まずは在庫や売上債権の改善を目指して、基本的なキャッシュフロー対策を確認していこう。
コスト削減にもつながる在庫適正化
在庫には管理コストがかかるため、不良在庫は積極的に処分することを考えたい。売却価格が安くても早めに処分をすれば、管理コストを節約できるだけではなく、ある程度のキャッシュを生み出せる。
同様の理由で、稼働を停止している遊休資産についても早めの処分が重要だ。短期的には損失になるかもしれないが、長い目で見ると処分したほうが得をするケースが多い。
売上債権の回収とファクタリング
未回収の手形や売掛金がある場合は、早めに支払いを促すことが必要だ。これらの売上債権には時効があるため、先延ばしにすると回収できない事態になりかねない。
また、すぐにキャッシュが必要になるケースでは、売上債権を売却する「ファクタリング」も選択肢になる。ただし、ファクタリングは手数料が割高であるため、基本的には売上債権を取引先から回収することが望ましい。
まずは取引先に支払いを促すことから始めて、どうしても回収が難しい場合はファクタリングを検討しよう。
中小企業に有利な融資制度を活用する
手っ取り早くキャッシュを増やす手段としては、金融機関などからの融資が挙げられる。中でも日本政策金融公庫や自治体(制度融資)は、中小企業向けの融資制度を実施している。
これらの制度は審査が通りやすく、かつ金利も低い傾向にあるが、融資実行までに時間がかかる点には注意したい。書類の準備期間まで含めると、早くても3週間~1ヵ月程度を要するため、余裕をもって準備に取りかかることが重要だ。