「運転資金が必要になったが、できれば借入をしたくない」と思う経営者は少なくないだろう。実は、借入をしなくても運転資金を調達する方法はいくつかある。そこで本稿では、借入以外の運転資金の調達方法についてメリット・デメリットとともに紹介していく。

目次

  1. 資金を調達する4つの方法
  2. 出資を受ける
    1. 第三者割当増資
    2. クラウドファンディングを募る
  3. 公的補助金を活用する
  4. 資産を現金化する
  5. 運転資金調達はメリット・デメリットを理解する
借入に抵抗ある社長のための4つの資金調達方法
(画像=maniacvector/stock.adobe.com)

資金を調達する4つの方法

一般的な資金調達方法としては、主に以下の4つの方法が有名だ。

  • 金融機関や自治体などからの借入(融資)
  • ベンチャーキャピタルや投資家などからの出資、クラウドファンディング
  • 公的補助金の活用
  • 売掛金や資産の現金化

最もメジャーな資金調達方法は、金融機関などからの借入(融資)だ。借入は、一度に多額の資金を調達でき、基本的に貸した側が経営に干渉してくることは少ないというメリットがある。しかし金融機関などの審査を通過する必要があり、担保や保証人が必要となることが多い傾向だ。なによりも返済しなければならない点が一番のデメリットである。

一方で出資やクラウドファンディング、補助金・助成金、資産の現金化によって調達した資金は返す必要がなく企業は経営に集中できる。以降では、返済の必要がない資金調達方法について詳しく解説していく。

出資を受ける

まずは出資を受ける場合を見ていこう。

第三者割当増資

株式会社は、資本金を増やすために新たに株式を発行し、投資家などに買ってもらう(増資)。株式を買う立場から見ると「出資」になる。新規で株主を発行して増資する方法は、出資を募る対象によって以下の3つのタイプに分かれる。

  • 株主割当増資:既存株主が対象
  • 公募増資:一般投資家が対象
  • 第三者割当増資:特定の第三者が対象

このうち資金調達の方法としてよく用いられるのが第三者割当増資だ。「特定の第三者」は、取引のある企業や金融機関、ベンチャーキャピタルであることが多い。なお第三者割当増資の方法を使ってベンチャーキャピタルから出資を受けたい場合は、審査に通る必要がある。増資によって資金調達をした場合、株主である出資者が経営に干渉する可能性があるので注意が必要だ。

ベンチャーキャピタルは、投資先の企業価値を上げてIPO(株式公開)をさせ、その際に保有する株式を売却して利益を得るというビジネスモデルである。経営に干渉するのは、企業価値を上げるためだ。ただし企業価値を上げるための干渉が、企業にとって良い方向となることもあるので一概にマイナス面ともいえない。

クラウドファンディングを募る

近年、増加しているのがクラウドファンディングという手法だ。資金調達の目的とそのために必要な金額を公表し、賛同してくれる出資者を募る。特定のプロジェクトに対して出資を募るため、クラウドファンディングを募る側は、出資者に対してプロジェクトの経過を報告しなければならない。また出資者に対するお礼の品などのリターンを用意するのが一般的だ。

一定の期間を設けて出資を募るため、資金が集まるまでに時間がかかることがある。また目標金額に達しなければ、プロジェクト自体が成立しないため、知名度が高くない企業にはハードルが高い。