本記事は、新井 一氏の著書『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

Miniature people businessman standing on money
(画像=Anton / stock.adobe.com)

お金の流れは維持し続けることが大切

株の長期保有や不動産投資と異なり、自分でつかんだお金の流れは、ほったらかし、管理会社に丸投げというわけにはいきません。

フローが銀の卵になった後も、日々動いてくれるのはシステムや外注業者さんですが、システム会社が廃業することもありますし、外注業者さんが仕事を断ってくることもありますし、依頼単価が上がってしまうこともあります。また、競合他社の台頭や新技術による代替製品の登場など、お金の流れに影響を及ぼす事態がたくさん出てきます。1億円を稼ぐ人は、現場で忙しく働くことはなくとも、管理者として日々フローをチェックし、手入れを怠りません。

1度つかんだお金の流れを常に手入れし、リスク管理をしておくことで、次の流れをつかむチャンスが巡ってきたり、人とのご縁で、より良い場所に移動する権利を手にできたりすることもあります。日々の仕事に追われず、自分のペースでフローを管理する銀の卵オーナーであれば、そんなチャンスが来た際にスムーズに乗ることができるでしょう。

また、システムや外注業者さんに何も問題が起こらなかったとしても、お金の流れは時間が経つにつれ、次第に細く小さくなっていきます。常連のお客様もいつかは離れていきますし、市場が成熟すれば競合が増え価格競争となり、売上も利益も減少するものだからです。流れを維持するためには、常に新しいお客様を獲得し、新しい商品を追加していかなければなりません。

  • リスク管理
  • 新規顧客の獲得業務のチューニング/アップデート
  • 新商品の開発/投入

お金の流れをつかみ、それを(半)自動化した後も、この3つの手入れを怠らないようにしましょう。1億円を稼ぐ人は、お金の流れを維持できる人です。

流れを維持できるのは、自分に合っていることだけ

何の問題もなくフローをつくり、つかんだお金の流れを維持しているのに、突然、「やっぱりやめます」と、投げ出してしまう人がいます。「本当にそんなもったいないことをする人がいるの?」と思われるかもしれませんが、実際、驚くほどたくさんいるのです。「売ればいいのに。もったいない……」と、私自身も何度思ったことか知れません。

一体なぜ、せっかくつかんだお金の流れを自ら手放してしまうのでしょうか?

そうしてしまう人に共通するセリフが、「楽しくないから」です。

何を楽しいと感じるかは人それぞれです。私の場合は、「何をするのか」に対してそれほどのこだわりはなく、満員電車に乗らず、好きなタイミングで、ひとりで、家でできること、であれば楽しく取り組むことができます。仮に今と同じ仕事をするにしても、組織に属し、上司がいて、満員電車で通勤することになれば、半年ももたないと思います。

フローを維持するには、ただ金銭的な成功を追求するだけでは不十分です。大切なのは適正と環境です。好きなことをする、楽しいことをするのはもちろんですが、楽しく(ラクに)続けられる環境を整えることも大切です。

自分自身を理解し、自分が何を望んでいるか、何を達成したいのか、そして、何があったら続けられなくなってしまうのか、過去に投げ出してしまった失敗体験を振り返ってみましょう。

1度心が離れてしまうと、フローを元に戻すことは難しくなります。後で立て直そうとしても、失った時間もお金の流れも戻ってくることはありません。1億円を稼ぐ人は、自分に合ったことをやっている人です。そして、それを続けるための環境づくりに一生懸命になれる人です。

自分に合うことを見つけ、続ける方法

「自分に合うことを続けていく。そのための環境を整える」。言うのは簡単ですが、実際、大人になってから自分に合うこと、好きなことを見つけることは簡単ではありません。仕事で担当した業務はできるようになったものの、それが好きかどうかと問われればそうでもない。あるいは、好きであっても会社のカバンやカンバンがなければできない。自分は全体の中の歯車のひとつであり、ひとりでできることがない、そんな方もたくさんいらっしゃいます。

私が主宰する起業18フォーラムでも、自分に合う起業スタイルを見つけていただくための、さまざまなワークや仕組みを提供していますが、それでも、どうしても頭が固くなってしまって、「やりたいことが見つからない。できることもない!」と決めつけてしまう人がいます。

そんな方にご提案しているのが、「とにかく何でもいいので、いくつか同時に始めてみて、続けられそうなものを残してください。しんどいことはスパッとやめて大丈夫」ということです。向いていないことを始めても、成果が出るまで続けられません。逆に、自分に向いていること、楽しいことをすると、人の半分の努力で、倍の成果が出せるものです。

次に、残したフローを続けていくための環境整備に着手します。環境整備というと、性能の良いパソコンを買うとか、速く安定したWi-Fiを契約するとか、集中できる場所を確保するとか、何かをプラスするほうに意識が向きますが、より大切なのは、自分のモチベーションを下げたり、前に立ちはだかったり、後ろからスカートの裾を踏んだりして、自分の歩みを邪魔するものを排除することです。

私の場合は、組織、上司、満員電車、定時、この辺りが自分の気持ちを下げてしまうものでしたので、これらを外してみたということになります。その効果は想像以上のものがあり、のびのびと自分の意志で働くことができています。そして、「これからも体が続く限り継続していきたい」と思える仕事ができています。

この時大事になるのが、邪魔するものを「すべて排除する」ことです。大好きな料理なのにパクチーが入っているから食べられない。そんなことにならないように、嫌いなものはすべて外していきましょう。

リーダーのように組織で働く
新井 一(あらい・はじめ)
1万人の起業をプロデュースした「起業のプロ」。1973年生まれ。 会社員のまま始める起業準備サロン「起業18フォーラム」主宰のほか、インターネットからの集客術に特化した起業家向けマーケティング支援などを行う。 社会との関わり方に問題を抱え、高校・大学と海外スクールに単身就学。帰国後、日本企業に就職するも、人嫌いを克服できず、さまざまな失敗を繰り返す。 社会になじめず、会社になじめず、自分の居場所を探して、15年間、会社員をしながら事業を続け、独立後は「起業のプロ」として起業家を育てる。 特徴は「人生を変えたい」と願う会社員はもちろん、自立を目指す主婦からニート、フリーター、落ちこぼれまで、起業とはほど遠いと思われがちな人材を一発逆転させてきたこと。 「一緒に考える起業支援キャリアカウンセラー」として高い評価を受けている。 主な著書に『会社で働きながら6カ月で起業する』(ダイヤモンド社)、『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』(総合法令出版)などがある。

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