本記事は、新井 一氏の著書『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

concept of interest rates and dividends,financial interest rate growth chart
(画像=chaylek / stock.adobe.com)

お金の流れを軌道に乗せるには?

小さな売り買いを始めることで、お金の流れをつかむことができます。「どこでお金が流れている」かを見つけ、その場所に行くだけです。「何をやってもお腹の脂肪が落ちずに悩んでいる人がいる」ことに気づき、そのための解決策(トレーニングや食事指導)が売り買いされている場所に行くということです。

しかしながら、会社員としてやっている仕事が、このような渇望やトレンドを見つけることや、ニーズに沿った商品/サービスを組み立てたり、提案したりすることから大きく離れている場合には、この〝小さな売り買いが発生している場所〟という概念が理解できないかもしれません。

会社員として働いていると、どうしても、「いかに自分の仕事を片付けるか」「いかに上司に評価されるか」をまず意識してしまいますが、1億円を稼ぐ人は、「自分のリソース(既存商品・所有物・情報・ノウハウ・スキル・人脈・権利等々)をどう使えば、誰に貢献できるのか?」「どこでそれが売り買いされているのか」を意識し、あれこれ考えず、すぐにその場に移動します。

たとえば、大手家具販売企業で人事を担当するHさんは、毎日、膨大な事務作業や面談、快適な職場づくりの仕事に追われています。人手不足もあり、あまりにも多い仕事量に悩んだHさんは、通勤途中に時間捻出術の本を読みあさり、仕事の優先順位付けや段取り法、断り方などを学習しました。iPadも自腹購入し、より作業効率が上がるように努めた結果、2か月後には残業時間を大幅に減らすことに成功したのです。

その成果が上司の目に留まり、「そのやり方を部内で共有したいので、皆に教えてもらえないか?」と依頼を受けたHさんは、「このやり方、考え方を求めている企業は他にもありそうだぞ」と直感が働き、調べてみることにしました。

Hさんは、まず、「検索エンジンでこのノウハウを探している人がいるか?」を探りました。すると、「時間術」「タイムマネジメント」「仕事術」などのキーワードで、たくさんの人が検索していることがわかりました。

そして、検索結果を見ているうちに、時間術の講座やセミナーがたくさん開催されていることも知りました。また、書店の棚にはたくさんの時間術の関連本が並び、人気コーナーになっていることもわかりました。Hさんと同じように、本を読んで学んでいる人も多かったのです。

Hさんは、時間捻出ノウハウが売買されている(お金の流れが確認できる)場所を、自分も情報を得た「書店」と「セミナー告知サイト」だと特定しました。そして、まずはノウハウをまとめた電子書籍の出版に着手しました。紙の本の出版は今の自分には難しいと考え、できることからスタートしたのです。

次にHさんは、その電子書籍の内容をベースにしたセミナーをつくりました。読むだけの電子書籍に比べ、実際にワークをしたり、アドバイスを受けたりできるセミナーは人気になり、週末3時間1万円で販売したセミナーは、常に満席状態。月に20万円程度の新フローを構築することができたのです。

たった1,000円、されど1,000円

Hさんがやったことを、改めて整理してみましょう。

  • 求めている人がいる情報を電子書籍にし、Kindleにアップした
  • その情報をセミナーにして、セミナー告知サイトに掲載した
  • ワークや個別のアドバイスをして評価を高めた

いかがでしょうか? 初めてのフローをつくる際には、Hさんが実行したように、「素直に求められていることをする」こと、そして、それが売り買いされている場所に行くこと、それだけでいいのです。

ですが、ここでひとつ問題が生じます。Hさんのコンテンツは、実際に大手企業の現役社員が教える、実績があるタイムマネジメント手法であることから、1万円という高単価で売ることができました。ですが、多くのセミナー告知サイトでは激しい価格競争が起こっており、1万円のコンテンツは簡単には売れません。最低価格の講座がズラッと並んでおり、本来1万円で売れるノウハウが1,000円で売買されています。スキルシェアサイトも同様、数をこなし評価を高めなければ見向きもされませんので、どうしても薄利多売になっていきます。

それでも、ここで「そんなの嫌だ」と簡単に投げ捨てないでください。1億円を稼ぐ人は、やるべきことの順番を知っています。まずは薄利であっても評価数を集め、高評価がついていけば、集客できるようになり、単価も上げていくことができるのです。

この「損して得を取る」行動は、時間を使ったら確実にお給料がもらえる会社員にとっては、到底信じられないことかもしれません。ですが、入りのフローを増やすためには、この〝先行(時間)投資?は、大切な考え方になります。「たった1,000円しか稼げなかった」と嘆く必要はありません。次に進むために必要なステップだからです。同時に、その流れを大きく(ついで買い商品)、太く(場所を変える)することにもチャレンジしていきましょう。

Hさんも、決して1万円という価格設定に満足していた訳ではありません。月20万円では全然割りに合わないと感じていました。Hさんはセミナー告知サイトでの評価レビューの平均点を高めつつ、ワークシート集、復習用セミナー録画ファイルなど、ついで買い商品を揃えていきました。そして、低価格競争になっているセミナー告知サイトから脱出し、ホームページTwitter、LINE公式アカウントを開設。セミナーへの誘導はもちろん、希望者に対して3か月の個別指導コース(33万円〔税込〕)を提供し始めました。Hさんの売り上げは月100万円を超えるようになり、新しいお金の流れをつかむことができたのです。

リーダーのように組織で働く
新井 一(あらい・はじめ)
1万人の起業をプロデュースした「起業のプロ」。1973年生まれ。 会社員のまま始める起業準備サロン「起業18フォーラム」主宰のほか、インターネットからの集客術に特化した起業家向けマーケティング支援などを行う。 社会との関わり方に問題を抱え、高校・大学と海外スクールに単身就学。帰国後、日本企業に就職するも、人嫌いを克服できず、さまざまな失敗を繰り返す。 社会になじめず、会社になじめず、自分の居場所を探して、15年間、会社員をしながら事業を続け、独立後は「起業のプロ」として起業家を育てる。 特徴は「人生を変えたい」と願う会社員はもちろん、自立を目指す主婦からニート、フリーター、落ちこぼれまで、起業とはほど遠いと思われがちな人材を一発逆転させてきたこと。 「一緒に考える起業支援キャリアカウンセラー」として高い評価を受けている。 主な著書に『会社で働きながら6カ月で起業する』(ダイヤモンド社)、『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』(総合法令出版)などがある。

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