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2014年10月31日、総務省は、『SIMロック解除に関するガイドライン』の改正案を発表した。その内容は、2015年5月1日以降に発売する端末からSIMロックの解除を義務づけるというものだ。前回の2011年のSIMロック解除に関するガイドラインでは、事業者の自主性に委ねていたため実効性に乏しく、ほとんどロック解除が進んでいなかっただけに、かなり前に踏み込んだ内容といえる。

ちなみに、SIMロックをしているのは日本だけではない。米国や韓国などもSIMロックがかかっている。米国では、今年8月にSIMロック解除合法化法案が施行されており、契約期間満了後は、携帯電話会社の許可無く、携帯電話等のSIMロックを解除することが合法となっている。しかし、米国での法案は、あくまで契約期間満了後のSIMロック解除なのに対し、日本では、全ての端末についてSIMロックを解除することを義務化するということなので、かなり進んだ内容となっている。


SIMロックとは

携帯電話や通信機能のあるタブレットで通信するためには、SIMカードと呼ばれる電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードを挿入する必要がある。ところが、日本で販売される携帯電話等の端末は、その販売した通信事業者しか使えないように『SIMロック』と呼ばれる設定がなされている。


『ガラパゴス携帯』と『SIMロック』が海外競争で負ける要因

以前日本の携帯電話は『ガラパゴス携帯』と言われ、日本独自でしか通用しない機器になってしまい、アップルやサムスンといった汎用性のある諸外国メーカ−に携帯電話シェアを奪われたという苦い経験がある。海外でのSIMロックは、本来SIMフリーである端末にロックをかけるというものであるが、日本の場合、携帯電話各社が電機メーカーとともにオリジナルの携帯電話を作るというスタイルを採るため、技術力はあっても全く汎用性がないという特徴がある。

また、日本企業の悪い風習として横並びで同じような料金体系にするため、競争が阻害されやすいという傾向がある。SIMロックにより顧客が不便なのであれば、当社は顧客の利便性向上のため「SIMロックを解除する」というような企業が1社でも出てくればよいのだが、残念ながら「他社がやらないなら当社もやらない」という発想の企業しかない。調和を重んじていると言えば聞こえはよいが、国内ではよくても競争激しい海外では通用しない。