サービスで差別化…りそな銀行の場合
一方、りそな銀行のように新たなサービスで差別化を図ろうとしている動きもある。「銀行の常識は世間の非常識」と改革に乗り出した故・細谷英二氏の言葉は有名だ。
細谷英二氏はもともと東日本旅客鉄道(JR東日本)の副社長だった人だ。りそなホールディングスではまずローコストオペレーションを進めた。伝票で仕事を進めていくことが当たり前の銀行でペーパーレスのオペレーションに切り替えたのだ。
また、営業はリテールに特化していった。平日は17時まで営業していたり、土日もATMは19時まで使えたりと個人に向けたサービス強化は著しい。グループ間の振込みを24時間可能にするなど、新しいサービスも始まろうとしている。りそな信託銀行とりそな銀行を合併させて信託機能をワンストップに提供できるようにしたこともサービスの拡充につながった。
さらに、銀行業界でよく見られるエスカレーター式の人事制度をやめ、ダイバーシティマネジメント(「多様性」を競争力の源泉として活かしていこうという考え方)を徹底させた。細谷英二氏の先導のもと、地道に積み上げてきた成果がかなり効いてきている。
平成15年9月には3兆1,280億円あった公的資金も完済は目前だ。平成30年3月期までに完済をする計画であるが前倒しの可能性も十分にありうる。そうなれば、今まで返済に充ててきた利益の使い道が今度は投資に向くというわけだ。当面は店舗強化に向けていくようであるが、大手銀行がりそなホールディングスを狙っているという噂は絶えない。スーパーリージョナルバンクという選択肢がある一方で、三井住友銀行や三井住友信託銀行が狙っているとされる。
金融庁も積極的に経営統合を促進?
今年の初頭には金融庁の畑中龍太郎長官が地方銀行の頭取たちに対して経営統合を促したという話もある。地方銀行は現在105行ある。さらには信用金庫、信用組合もある。最近では越境して基盤を拡大しようという地方銀行も少なくはない。
横浜銀行は、三井住友トラストホールディングスとも業務提携を検討するとも発表されている。今後、収益の急拡大が見込めない中、規模を大きくしコスト削減を図るという流れには逆らえなくなってくるはずだ。日本銀行が金融緩和を更に推し進め、資金が市場に溢れている中で各銀行は経営統合に走るのか、独自サービスを打ち出し、差別化を図っていくのか、注目していきたい。
(ZUU online)
【関連記事】
銀行からの融資だけじゃない 不動産投資に融資してくれる金融機関とは