本記事は、永江 将典氏の著書『税金でこれ以上損をしない方法』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています。

接待交際費と書かれたブロックが置かれたデスク
(画像=ELUTAS / stock.adobe.com)

明日の仕事につながる、取引先などを接待するための「交際費」

ビジネスを拡大していく上で、お客様との関わりはかかせません。

そして、お客様と円滑な関係を築いていくうえでは「飲み代」「食事代」「プレゼント代」などの費用も当然かかってきますよね。

こういったお客様を接待するためにあなたが払った費用も、きちんとルールを守って取り扱いをすれば、「交際費」として経費に計上していくことができます。

ここでは、交際費の正しい取り扱い方を学び、お客様とのつながりを大事にしながら節税をする方法をマスターしていきましょう!

では、まず改めて交際費の定義を見てみます。

『交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するもの』

と国税庁のホームページに書かれています。これは法人の交際費についての定義になりますが、個人事業主・フリーランスの場合もこの定義を参考にしながら経費にできるかを判断していきます。

ここでキーになるのが「その得意先、仕入れ先その他事業に関係のある者等」という言葉です。

つまり、ざっくり言うと「ビジネス関連の人との飲み会やプレゼントなど」というイメージですね。注意しなくてはいけないのは、ただ飲んで騒いだだけではダメだということ。しっかりと仕事と関係していないといけないのです。

そして、もう1つ、交際費の金額にも注意が必要です。お金を使うことでビジネスがどれくらい伸びるか、これを考えながら出費をコントロールしましょう。

例えば、年間10万円分の仕事をくれるクライアントに対して、毎年100万円分の贈り物をしていたら……「このお金の流れはさすがにおかしい」と思われて当然です。

逆に言うと、受注した金額が大きければ高級レストランなどでの接待も全額交際費として計上することができるので、この場合は積極的に経費計上していくと良いでしょう。

例として、私が贅沢なワイン会の参加費を全額経費にした例を紹介します。

以前、参加費が30万円以上するワイン会にお世話になった方をお誘いして参加しました。私はこの参加費を交際費として経費にしたのですが、お誘いした方から事前に年間2,000万円以上の仕事の依頼をいただいていたお礼として参加しました。また、ワイン会の後にも何件も仕事を依頼いただくことができました。税務署の方に、「30万円以上もするワイン会は贅沢すぎて経費として認められない!」と指摘されたら、この方経由で紹介された仕事を全て説明して、「この時の接待がなかったら売上が年間1,000万円以上減少し、利益も税金も減ってしまいます!」と説明するつもりです。

税務署が反面調査(税務調査対象者ではなく、取引先などの関係先に対して実施される調査)でお世話になっている方のところへ「本当ですか?」と質問に行かれても、後ろめたいことは全くないので(お時間を取らせることは申し訳ないですが)、堂々と経費に計上しています。

確定申告は、まずは自分が思った通りに経費を入れることができます。そして、税務署が税務調査に来た時に答え合わせをすれば良いのです。必要以上に心配して、経費を減らしすぎては勿体ないです。

というわけで、交際費を使ったら、とにかく記録、記録、記録!「誰と」「何のために」お金を使ったのか、これをしっかりと領収書やレシートにメモしておきましょう。税務署と揉める前に自分で正確に把握しておくことが大事なのです。

お客様を接待するために使ったお金を経費として計上していけば、税金を減らしながら人脈を構築していくことができるので、ビジネス上大きなメリットがあります。

ルールを守りつつ、交際費を賢く活用して、事業を大きく展開していきましょう。

ちなみに、30万円のワイン会は私の過去最大の交際費でした。でも、このワイン会に参加していた他の方とも仲良くなった結果、そこからも大きな仕事に発展しました。30万円をポンと出せる人たちは会社の規模も大きく、1つの仕事の依頼金額も大きくなるのです。また、ビジネスに対する考え方も、一緒に話しているだけでとても勉強になります。

上手に交際費を使いながら、大きな仕事を出してくれる人脈を増やしていきましょう!

税金でこれ以上損をしない方法
永江 将典(ながえ・まさのり)
公認会計士、税理士。税理士業の他、4つの会社を運営する複業オーナー経営者。
1980年愛知県生まれ。2003年、早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。2003年、公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツへ入社、一部上場企業の監査や、株式公開支援など約30社を担当。
社会のレールに乗せられ、自分のやりたいことが見つからないまま、気づけば嵌ってしまっていた「社畜」の沼。月間残業200時間超えの生活に疲弊し、2008年、ホワイト企業の代表格「世界のトヨタ」へ転職。
しかし、常に感じる劣等感や人間関係に疲れ、経理部の仕事にもまったくやりがいを感じられない日々を送る。
2012年、夢と自由、本当の自分を求めて32歳で無計画に起業。年収700万円の超安定会社員から、年収150万円以下の社会の底辺へ。自分を殺し泥水をススるような営業に身を削るどん底時代に、シンガポールの億万長者にお金を稼ぐ極意を学ぶ。
その後3年で、税理士業は5店舗へ拡大。お金を稼ぐ極意は凄まじく、YouTubeでは3ヶ月で1億円を稼いだり、飲食業やリハビリ業、不動産業などを開始。2018年、法人化し、事務所名を税理士法人エールへ変更。
現在は、東京丸の内、新宿、横浜、大阪の店舗を運営するオーナー経営者となる。


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