本記事は、永江 将典氏の著書『税金でこれ以上損をしない方法』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています。

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簡易課税を利用して「消費税」を節税

フリーランスの方が押さえておきたい節税方法として「簡易課税」を紹介します。確定申告で消費税を払わないといけなくなった時、消費税を節税できる可能性がある制度です。

ここでは、消費税の制度を解説しながら、簡易課税を使って節税する方法についてお伝えしていきますね。

消費税の納税額

原則、消費税は下記の式で計算します。

課税期間中の課税売上にかかる消費税額−課税期間の課税仕入れにかかる消費税額(仕入控除税額)

例えば、年間の売上が1,200万円(税込1,320万円)で経費が500万円(税込550万円)の場合は、売上にかかる税額 1,200×0.1=120万円から仕入れにかかる税額、500万円×0.1=50万円を差し引き、70万円を消費税として納めることになります。

ここで問題なのが、この計算が実に面倒なこと。そこで、この計算を簡単にするために用いられる制度が「簡易課税」です。簡易課税を用いると、それぞれの業種によって、国が決めた「みなし仕入れ率」という数値を使い、消費税を手早く計算することができるのです。

例えば、あなたがシステムエンジニアだったとしましょう。1年間の売上は1,200万円(税込1,320万円)。簡易課税のルールに従うと、みなし仕入れ率は50%(後述の表の第5種事業)。本来は支払った経費に含まれる消費税を集計しなければいけないのですが、簡易課税を利用した場合、年間売上1,200万円×50%=600万円を消費税計算上の経費の額とみなすことができます。このみなし経費600万円にかかる消費税は60万円です。よって、売上の消費税120万円−みなし経費の消費税60万円=60万円が納めるべき消費税として求められます。

業種別のみなし仕入れ率

みなし仕入れ率は業種によって変わり、次の通りになっています。

税金でこれ以上損をしない方法
(画像=税金でこれ以上損をしない方法)

システムエンジニアの多くの方は、他の業種に比べて経費が少ない方がほとんどです。このため、簡易課税を利用したほうが消費税が少なくなり節税になる場合がほとんどです。「簡易課税を使ってみたい!」と思ったら、まずは自分の場合は本当に節税になりそうかを試算してみましょう。

そして、実際に簡易課税を利用することに決めたら「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出する必要があります。期限は原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日(事業年度の最終日)までです。

例えば、令和5年3月15日期限の確定申告で消費税の計算を簡易課税で行いたい場合は、令和3年12月31日までに税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要があります。

また、一度簡易課税を選択すると、2年間はその選択を変更することはできません。

提出する場合は慎重に検討してからにしてください。

税金でこれ以上損をしない方法
永江 将典(ながえ・まさのり)
公認会計士、税理士。税理士業の他、4つの会社を運営する複業オーナー経営者。
1980年愛知県生まれ。2003年、早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。2003年、公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツへ入社、一部上場企業の監査や、株式公開支援など約30社を担当。
社会のレールに乗せられ、自分のやりたいことが見つからないまま、気づけば嵌ってしまっていた「社畜」の沼。月間残業200時間超えの生活に疲弊し、2008年、ホワイト企業の代表格「世界のトヨタ」へ転職。
しかし、常に感じる劣等感や人間関係に疲れ、経理部の仕事にもまったくやりがいを感じられない日々を送る。
2012年、夢と自由、本当の自分を求めて32歳で無計画に起業。年収700万円の超安定会社員から、年収150万円以下の社会の底辺へ。自分を殺し泥水をススるような営業に身を削るどん底時代に、シンガポールの億万長者にお金を稼ぐ極意を学ぶ。
その後3年で、税理士業は5店舗へ拡大。お金を稼ぐ極意は凄まじく、YouTubeでは3ヶ月で1億円を稼いだり、飲食業やリハビリ業、不動産業などを開始。2018年、法人化し、事務所名を税理士法人エールへ変更。
現在は、東京丸の内、新宿、横浜、大阪の店舗を運営するオーナー経営者となる。

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