本記事は、永江 将典氏の著書『税金でこれ以上損をしない方法』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています。

税務調査と書かれたブロックとコイン
(画像=ELUTAS / stock.adobe.com)

個人事業主に税務調査が来る確率は?

ここからは、話を税務調査に切り替えましょう!

まずはそもそも「税務調査」とは何なのかを、改めて確認します。税務調査というのは、法人や個人事業主が行った確定申告の内容が本当に正しいのか、税務署が行う調査のことです。

税務調査がやってきて間違いが見つかった場合どうなるかは後述しますが、簡単にいうと、過去に遡って申告漏れやミスのあった税金を払うことになります。

できれば一生遭遇したくないイベントですね。

では、あなたが一生のうちに税務調査を経験する確率はどのくらいあるのか一緒に見てみましょう。

国税庁の発表によると、令和3年度に行われた税務調査のうち、「実地調査」と呼ばれる自宅やオフィスで行われる調査が3万1,407件ありました。

ただし、実地調査の件数はここ数年、コロナの影響によって大きく減少していたので、例年の実地調査の件数を調べるならコロナ以前の数値を見たほうが良いでしょう。

下記の資料(国税庁が公表している税務調査の統計データ)によると、コロナ前であった平成30年度の実地調査の件数は約7万3,000件。

これは多いのでしょうか、少ないのでしょうか?

1つの判断基準として、全国のフリーランスは約220万人と見積もられているので、税務調査が家に来る確率は、

220万人÷7万3,000人=30

おおよそ30年に1回の調査です。確率で言うと約3%。220万人を全員調査するには30年が必要な計算になるので、一生に1度あるかないか、という感じのレベルですね。

ただし、そこで安心するのは少し早いかもしれません。

税金でこれ以上損をしない方法
(画像=税金でこれ以上損をしない方法)

実は、税務調査官が家までやってくる実地調査の前段階として、電話や手紙で「ちょっと説明して」と言われる「簡易な接触」という調査形態もあります。

こちらもコロナ前の平常時でみてみると、年間53万7,076件の「簡易な接触」が行われています。

そう考えるとやはり、いつ税務調査や簡易な接触があっても良いように、しっかりと申告をすることの重要さが実感できるかと思います。

簡易な接触とは?

原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡または来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するもののことをいいます。

税務調査と違い、申告内容に修正が生じても加算税が生じることはありません。

また、簡易な接触はあくまで税務調査の前段階ではありますが、税務署からの文書や電話を無視したり、適当な回答をしていると税務調査に移行しかねません。

もしも税務署から申告内容に対するお尋ね文書や電話が来た場合は、「よくわからないなぁ」「怖いから見れない!」と躊躇せず、内容を確認してしっかりと自分がどういう経緯で質問されていることに対して確定申告していたか回答するようにしましょう。

ちなみに、税務調査で狙われやすい人にはどんな特徴があるのか?
税務署は完全に狙いをつけて来ているわけではなく、ランダムに来ることもあります。

それと、よく勘違いしている人がいるのですが、税務調査が来たから「悪い人」になったわけではありません。

実際に、先ほどの表を見てみると、税務調査の件数7万3,579件に対して、実際に申告漏れが指摘され、税金を払った「申告漏れ等非違の件数」が6万964件となっていることがわかります。

逆に見れば、「約1万3,000件が税金を1円も払わずに調査を終えた」と言えるのです。

税務調査は来たけど、確定申告の内容は正しかった、つまりは「税務署に何も問題がないと判断された」ということです。

「税務調査=追徴課税」ということが確定しているわけではなく、仮に調査になっても適切な対応ができれば、1円も税金を払わずに済むことも、このように普通にあります。

ですから、仮に税務調査になったとしても落ち着いて対応していきましょう。

とはいえ、最初から税務署に目をつけられないのが何よりではあるので、私が実際に税務調査に立ち会った経験をもとに、税務調査で狙われやすい人の特徴と対策をお話ししていきます。

ぜひ、あなたにも参考にしてもらえると嬉しいです。

税金でこれ以上損をしない方法
永江 将典(ながえ・まさのり)
公認会計士、税理士。税理士業の他、4つの会社を運営する複業オーナー経営者。
1980年愛知県生まれ。2003年、早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。2003年、公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツへ入社、一部上場企業の監査や、株式公開支援など約30社を担当。
社会のレールに乗せられ、自分のやりたいことが見つからないまま、気づけば嵌ってしまっていた「社畜」の沼。月間残業200時間超えの生活に疲弊し、2008年、ホワイト企業の代表格「世界のトヨタ」へ転職。
しかし、常に感じる劣等感や人間関係に疲れ、経理部の仕事にもまったくやりがいを感じられない日々を送る。
2012年、夢と自由、本当の自分を求めて32歳で無計画に起業。年収700万円の超安定会社員から、年収150万円以下の社会の底辺へ。自分を殺し泥水をススるような営業に身を削るどん底時代に、シンガポールの億万長者にお金を稼ぐ極意を学ぶ。
その後3年で、税理士業は5店舗へ拡大。お金を稼ぐ極意は凄まじく、YouTubeでは3ヶ月で1億円を稼いだり、飲食業やリハビリ業、不動産業などを開始。2018年、法人化し、事務所名を税理士法人エールへ変更。
現在は、東京丸の内、新宿、横浜、大阪の店舗を運営するオーナー経営者となる。

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