この記事は2023年10月10日にSBI証券で公開された「日本株のリード役?好業績・上方修正が期待できそうなプライム銘柄を探る」を一部編集し、転載したものです。
日本株のリード役?好業績・上方修正が期待できそうなプライム銘柄を探る
東京株式市場が落ち着きを取り戻してきました。日経平均株価は9/15(金)の取引時間中高値33,634円から、10/4(水)同安値30,487円まで9.4%下げていましたが、10/12(木)終値は32,494円となり、下げ幅の6割超を回復しています。
米長期金利は、10/3(火)および10/5(木)に4.8%前後まで上昇しましたが、その後はいったん低下しました。日米株式市場は、米金利上昇を嫌気して下げてきたので、金利低下で買い直される展開になりました。
今後も反発は続くでしょうか。当面、日経平均株価の「一目均衡表」のクモ上限が32,500円近辺で上値抵抗ラインになっています。米予算審議や中東情勢など、不透明要因も残っており、過度に楽観的になることも危険かもしれません。
こうした中、10/13(金)、米国では、シティグループや、JPモルガン・チェース他複数企業の7~9月期決算発表予定日になっています。米国市場は決算発表シーズンを迎えます。10月下旬以降、東京市場でも日本企業の決算発表が本格化してきます。市場の関心は次第にマクロからミクロに移っていくと考えられます。
そこで、今回の日本株投資戦略では、四半期決算の発表で好業績、あるいは業績予想上方修正が期待できる銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。
(1)東証プライム市場に上場
(2)3月決算
(3)予想を公表しているアナリストが3名以上
(4)市場予想EPS(Bloombergコンセンサス)が過去4週で1%超上昇
(5)直近四半期営業利益(2023.4-6期)が以下の両方の条件を満たしていること
・前年同期比で黒字転換、または50%超の増益
・前年同期比増益率が今期会社予想営業増益率を超過
(6)今期市場予想営業利益が会社予想営業利益を50%超上回っている
(7)来期市場予想営業利益が今期市場予想営業増益率に対し5%超増益予想
(8)日銀短観(9月)で、業況判断指数(大企業)が6月時点の「先行き」から5%以上改善した業種であること
※ここでは、機械(業務用機械)、輸送用機械(自動車)、食料品、卸売業、建設業、不動産業、小売業のいずれかに属す銘柄になっています。
(9)広義の金融は除く
図表の銘柄は上記(1)~(9)の条件をすべて満たしています。掲載は(5)の四半期累計営業増益率の大きい順になっています。
掲載銘柄を解説
ここでは、図表に掲載した銘柄の一部について解説いたします。
セガサミーホールディングス(6460)
エンタテインメントコンテンツ(ゲームソフト)と遊技機が2本柱です。24.3期Q1は売上高1,080億円(前年同期比63%増)、営業利益225億円(同712%増)と順調な滑り出しでした。パチスロ機の販売が好調でリード役になりました。通期(24.3期)では売上高4,330億円(前期比11%増)、営業利益550億円(同17%増)が会社予想です。遊技機部門で既存主力タイトルの追加販売や新作投入を進める方針です。
欧州拠点で構造改革を実施する見込みで、24.3期に143億円の損失が計上される見込みです。市場では営業利益について今期679億円、来期725億円を予想しています。
豊田合成(7282)
トヨタ自動車のゴム研究部門を源流とする会社です。ゴムの柔らかさや復元性、樹脂の温かさや剛性を生かした製品を、自動車向けを中心に提供(トヨタ自動車向けが約2割)しています。内外装部品(メーター類が設置されるインストルメントパネル・構成部品他)が売上高の36%強(24.3期1Q)、各種エアバッグ等のセーフティシステム製品が同36%弱、機能部品が同17%、ウェザストリップ製品が同11%を占めています。 特に各種エアバッグ製品で国内トップ級、世界でも上位に位置する企業です。地域別(同四半期)には日本38%、米州37%、アジア22%他広く海外に展開しています。
24.3期1Qは売上高2,593億円(前年同期比23%増)、営業利益163億円(同421%増)と好調でした。世界的に顧客の生産台数回復や円安が寄与しました。通期(24.3期)では売上高9,200億円(前期比3%減)、営業利益400億円(同14%増)が会社計画ですが、市場予想営業利益は今期585億円、来期647億円となっています。
寿スピリッツ(2222)
お土産などのギフトスイーツを手掛ける企業です。各地に17の子会社を有し、地域ごとの「地域性(Local)」や「専門店性(Specialty)」に特化した製品の企画・生産・販売を行っています。北海道の『ルタオ』や東京の『ザ・メープルマニア』が有名です。基本ポリシーは『熱狂的ファンづくり』です。地方で売上が低迷している製菓会社を買収し、マーケティングなどの面から『ブランド価値の創出』を行うことで、売上を伸ばしてきました。
24.3期1Qは売上高138億円(前年同期比45%増)、営業利益30億円(同165%増)と好スタート。人流回復による追い風が続き、1Qとして過去最高業績を記録。『ザ・メープルマニア』等を擁する子会社シュクレイが伸長を牽引した格好です。通期業績に対する進捗率は、概ね会社計画通りとなりました。インバウンド売上(国際線ターミナル売店卸売売上高)は前期4Q(23.3期1-3月)が7割程度の回復であったのに対し、今期1Q(24.3期4-6月)はコロナ発生前(20.3期4‐6月期比、101.2%)水準まで回復。中国人観光客の受け入れが本格的に再開されれば、さらなる押し上げ要因になると想定されます。同決算発表と同時に、2023/9/30(土)を基準日とした1:5の株式分割の実施を発表。流動性の向上と投資家層の拡大が目的としています。 上期については売上高243億円(前年同期比20%増)、営業利益41億円(同44%増)が会社計画ですが、10/10(火)に会社が発表した売上概況では上期は288億円となった模様です。通期では売上高558億円(前年同期比11%増)、営業利益116億円(同17%増)が会社計画ですが、市場予想営業利益は今期141億円、来期165億円となっています。
大気社(1979)
ビル空調設備(23.3期・完成工事高構成比31%)、産業空調設備(同58%)、塗装システム事業(同11%)という3つの事業領域に展開しています。 ビル空調設備では、ビルをはじめさまざまな施設の中で、人が快適に過ごすための空調設備の設計・施工を行っています。産業空調設備ではさまざまな分野の生産工場や研究施設で、ものづくりに最適な環境を提供する空調設備を設計・施工しており、半導体クリーンルーム等を含んでいます。塗装システム事業では、排気処理や気流制御など、産業空調分野で培ったコア技術を生かし、自動車塗料プラントの設計・施工を手掛けており、この分野では世界トップクラスの売上高を誇っています。建設工事と連動することが多いので、業種的には建設業です。海外売上高構成(24.3期1Q)が35%あり、この業種の企業としてはグローバルな展開を行っています。
24.3期1Qの売上高は565億円(前年同期比42%増)、営業利益32億円(同132%増)でした。半導体関連や自動車メーカーにおける投資が続いており、都市圏における一般ビルの建設需要も堅調に推移しました。受注面(前年同月比)では、ビル・産業ともに空調設備は減少しているものの、塗装システム事業で急増し、全体の受注高は10%増、将来の売上につながる繰越工事高は32%増となっています。
通期(24.3期)では売上高2,550億円(前期比18%増)、営業利益131億円(同13%増)が会社計画です。市場予想営業利益は今期143億円、来期は152億円となっています。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。