なが~く働くランキング3位
また、「なが~く働くランキング」も興味深いデータだ。全国平均時間の5時間55分に対して岩手県は6時間20分で3位。岩手県の県民性でよく言われるのが「典型的東北人であり、頑固だが妥協しないコツコツとした仕事ぶり」だ。よく話題に取りあげられる大谷選手の行動からもこうした気質が垣間見られる。
日ハム時代には、先輩たちの誘いに応じず自主トレを優先。渡米した後も、休日も一人休まずトレーニングに励んでいる様子がたびたび報じられている。日本でも大きな話題となった2021年シーズン後、年末に日本に戻っても浮足立つ姿は全く見られず、滞在場所とトレーニング場の往復に終始したと伝わっている。
早寝早起き、生活リズムを崩さず、よく働く……生活調査の数字からは、岩手県民の理想的な生活スタイルが浮かびあがる。
地域満足度変化ランキング1位
基本的な生活スタイル調査とは別に一般社団法人ストレスオフ・アライアンスが実施している「地域満足度」を調べたデータがある。同法人は2020年9月に、コロナ禍における「地域満足度」の順位の変化(コロナ禍前後での変化の大きさ)を比較した都道府県ランキングを発表した。
この調査では41位から9位にジャンプアップした岩手県が1位となっており、前回調査から満足度が大幅に上昇したことが注目されている。
この背景にあるのが、地域満足度の高さと自粛期間中の満足度の関連性だ。コロナ禍にあって地域満足度が高い人には「自粛期間中のリラックス方法が豊富である」という傾向が見られる。自宅やその周辺での過ごし方が満足度に大きく影響しているのだ。
都道府県別の人口密度の低さで、岩手県は北海道に次ぐ2位だ。今回はコロナ禍という非常時ではあるが、岩手県民は豊かな自然や土地の広さ、きれいな水や空気といった、普段意識していなかった恵まれた環境を再確認できたのではないだろうか。また、これらも優秀なスポーツ人材を育てる岩手県の強力なポテンシャルであると考えられるだろう。
岩手に行ってみればわかる
岩手県から優れたアスリートが生みだされる理由は一つではない。無数にある要素が複雑にからみ合い理想的な条件が整った結果と言えるだろう。大谷翔平は、佐々木朗希が注目された際、なぜ岩手から傑出した野球選手が生まれるのかと聞かれ、「(岩手に)行ってみればわかります」と答えたそうだ。
ここまで紹介した岩手県に関する様々な数字から、その言葉に通じるものを少しは感じられたのではないだろうか。