本記事は、金川顕教氏の著書『50代からの「幸せ」設計図』(ごま書房新社)の中から一部を抜粋・編集しています。
3つの魔法の言葉で、たいていの困難は乗り越えられる
人間、生きていれば何度となく困難に直面します。それをどう乗り越えていくのかが、人生をおもしろくするには避けて通れない課題です。
人生の壁にぶつかったとき、とっておきの魔法の言葉があります。それが、「まぁ、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」の3つです。これは、『課長島耕作』シリーズで有名な漫画家、弘兼憲史さんが大事にしている3つの魔法の言葉です。
1つ目の「まぁ、いいか」は諦観、諦めです。人が思い悩むのは、多くは自分がしたことが思い通りの結果に結びつかなかったときです。
仕事だったら労多くして功なしに終わったり、人間関係なら信頼していた人に裏切られたりといったケースです。
しかし、いったん結果が出てしまったことはくつがえせないですし、やり直しもきかないです。
クヨクヨして落ち込むのは時間のムダです。「まぁ、いいか」と現実を受け入れて、次の一歩を踏み出しましょう。
「まぁ、いいか」でほとんどのことは乗り越えられますが、それでもモヤモヤが残るときには、2つ目の「それがどうした」の出番です。ある種の開き直りですが、時には開き直りも必要です。
3つ目の「人それぞれ」は、他人と比較しそうになる自分をいましめる言葉です。比較する愚かしさは分かっていても、ふと比較しそうになる自分に気づくことがあります。
そういうときには「人それぞれ」と言い聞かせてください。人と比べるから幸せになれないとお伝えしましたが、人と比べなければ人生はどんどんシンプルになり、自分らしく生きられます。
「まぁ、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」の3点セットは、人生楽しく、おもしろく生きる上での知恵です。
ただし、注意しないといけないのは、他人様への義理です。義理を欠いての「まぁ、いいか」や「それがどうした」は、いけません。義理の前では封印です。
残された時間は誰にも分からない。クヨクヨせずに、楽しく生きる
人は、自分の死に対して案外無頓着です。いつも通りの生活を送っている間は、自分がいつ死ぬかといったことは、あまり考えたりしません。
がんなど死亡率の高い重篤な病にかかって余命宣告でもされたら、死の影が迫ってくるのを感じるでしょうが、自分にどれくらいの時間が残されているかは、誰にも分かりません。明日、交通事故に遭わないとも限りません。
そして、いつ死ぬかが分からないからこそ、今、その瞬間をできる限り楽しく生きましょう。
生きていれば心配も悩みもいろいろあります。しかし心配事や悩みのほとんどは、どうでもいいことか、どうしようもないことです。
自分の健康を心配しても、健康状態がよくなるわけではないですし、実際に健康を害したときに、医者にかかるなど適切な対応を取ればよいだけです。老後の生活の悩みなど、それに対して備えることは必要ですが、いくら思い悩んでもどうすることもできません。
どうでもいいこと、どうしようもないことは考えずに放っておいてください。今を楽しむことに全力を傾けましょう。
世の中に、自分が生きた証として何が残せるか考える
人生をおもしろく生きるのも大切ですが、もう1つ、大切なことがあります。
「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」という言葉がありますが、みなさんがこの世を去るとき何を残せるか、ということです。この世界に残すものは、みなさんがこの世に生きた証です。例えばビルを建てたら、自分が死んでもビルはこの世界に残ります。
「自分には、そんなものは何もない」と思う人も多いですが、この世界に残すものとして「子ども」や「会社」、さらには「人材」を残すということもあります。仕事を通じてあなたが育てた人たちが、次の時代を作っていきます。それもまた、みなさんが生きた証です。
「この世界に自分が生きた証を残す」ことを意識すると、今からできることがたくさんあります。
社会人になってから40代くらいまでは、それこそ「あっという間だった」人がほとんどだと思います。仕事を覚えたり、プロジェクトに加わったりして、成功したり落ち込んだり、結婚した人は、子どもが生まれたり。
50代になった今、仕事にも慣れ、子どものいる人は子どもも大きくなって、ようやく自分に向き合える時間が多く持てるようになります。
人生が後半に入ったタイミングで、自分の人生の意味を、そして「この人生で何を残すのか」「今の自分に何ができるのか」を考えてみてください。生きた証が仕事や家族であるとしたら、そのためにできることは何かを考えて実行してください。
人生を振り返ってみると、あとになって「歴史的なこと」を自分が体験していたこともあります。2019年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大、私たちが体験したコロナ禍も、まさに第一次世界大戦中の1918年に始まったスペイン風邪のように、 50年後、100年後に、歴史として語られることになるでしょう。
「歴史」とは、自分と関係ないところにあるのではなく、自分もまた、その歴史の一部であることを自覚してください。僕たちは、歴史を生きています。
今日のことが歴史になっていくことを意識して生きることが、自分の生きた証を残すことにもつながるのです。
三重県生まれ、立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、世界一の規模を誇る会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループである有限責任監査法人トーマツ勤務を経て独立。
執筆活動では、ビジネス書、 自己啓発書、小説など多岐にわたるジャンルでベストセラーを連発。
中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム等、世界中で翻訳出版されている。※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
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