本記事は、金川顕教氏の著書『50代からの「幸せ」設計図』(ごま書房新社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ミセス
(画像=radekcho / stock.adobe.com)

ストレスに強いのは、「いい加減になれる」人

日本人のよいところでもあり、悪いところでもあるのは、真面目すぎるところです。特に、終身雇用が当たり前だった中高年の方は、大きな会社組織の中で歯車となって、コツコツと地道に働いてきた方が多いです。

さらに、「こうあるべき」「こうしなければいけない」といった完璧主義に陥っている人も多く、そういった完璧主義は、自分を追い込んでしまい、ストレスの大きな要因となります。

完璧主義者の人は、他人にも同じように100%を求めてしまう傾向があります。なので相手ができないと当然イライラしてしまうし、相手から嫌われる要因にもなってしまいます。

一般的に、完璧主義や頑張りグセというものは、年齢を重ねる中で、さまざまな経験を積んでバランスの取り方を覚えていくものですが、壁にぶつかることが少ない人は、そのまま完璧さを求めたまま大人(老人)になってしまいます。

そして、いつのまにか完璧主義から生じるストレスの渦から抜け出せなくなるのです。

どうしたら、このストレスから抜け出すことができるのでしょうか?

それは、「いい加減」になることです。「いい加減」とは、「テキトー」という悪い意味ではなく、「いい加減=よい加減」ということ。

そのいい加減になれる手段として一番簡単な方法は、自分に課しているハードルを、まず下げることです。

「こうあるべき」という考え方を「このほうがよい」という言葉に置き換えるのです。例えば、「健康のためには朝は6時に起きて、1時間散歩をすべし」という考えを、「朝は6時に起きて、1時間散歩をしたほうがよい」と置き換えるだけで、寝坊をして散歩ができなかったときの自分への追い込み方が、全く違うのが分かると思います。

そうやって、できなかった自分を許してあげるのです。

そして、「6時半に起きてしまったから、30分だけ散歩をしよう」というように、「やらないよりはよい」という、プラスの基準を持ちましょう。

もし、完璧にこだわるのであれば、自分自身ができる範囲の中で「一番」を見つけることです。

「健康のために、出勤時の地元駅では必ず階段を使う」というように、規模が小さいことや時間的に限られていることだったとしても、達成感や充実感が得られれば、それが爽快感となってストレス解消にも役立ちます。

人生がおもしろくないと思うのは、人と自分を比べているから

もしみなさんが「人生がおもしろくない」と思っているのであれば、それはみなさんの周りで人生をおもしろそうに送っている誰かと自分を比べるからです。

「よいことなど、何もない」と、ふてくされているのなら、それはよいことに囲まれていそうな誰かと自分を比べているからです。

お釈迦様は「足るを知る」という言葉を残しました。僕たちは、すでにすべて足りていて、何も望むことなどないのに、それを探しては苦しんでいます。

なぜ、僕たちが「足るを知る」ができないかというと、その原因の一つが「比較」です。つい自分と誰かを比べて、「自分にないもの」を探し出しているのです。

そのいっぽうで、自分よりも恵まれない境遇や環境にいる人を見ると少し安堵するのも、これまた他の誰かと自分を比較することで生まれる感情です。

上を見たらキリがないし、下を見てもキリがないのです。人と自分を比べることは、全く意味がありません。上を見てしょげ、下を見てはしゃぐのは、意味のない一喜一憂です。

小さいころ、両親から誕生日プレゼントに仮面ライダーや、リカちゃん人形をもらって、飛び上がるほど嬉しく思って遊んだ経験があるでしょう。

しかし後日、友達の家に遊びに行って、変身グッズやリカちゃんハウスを見て、羨ましく思い、両親に不満の気持ちを抱いた経験がある人もいるのではないでしょうか。

他と比較するまでは、満足していて幸せだと感じていたのに、比較した途端に不満足で幸せでないと感じるようになるとは、まさに「不幸な話」です。

比較グセのある人の不幸なところは、終わりがないことです。世の中には、すごいお金持ち、すごいハンサムや美人、すごい天才がいます。

人と比べたところで、自分が変わることはありません。人と比べることで、ご自分のつまらなかった人生がおもしろくなりますか? よいことがなかった人生に、よいことがやってくるのですか?

受験勉強や出世争いなど、競争社会で常に人と競争をしてきたので、つい人と比べるクセがついているのかもしれませんが、そろそろ人と比べることをやめましょう。

「人は人、自分は自分」と腹をくくれば、人生はスッキリします。自分の尺度、価値観で生きましょう。

よそ見をして、人が行く道に目を向けていたら、自分の足元がおぼつかなくなります。とにかく、自分の道を行けばよいのです。人生の楽しさも、おもしろさも、ご自分の道の中にしかないのです。

「足るを知る」ができない人生を送ることから、そろそろ卒業してはいかがでしょうか。

50代からの「幸せ」設計図
金川 顕教(かながわ あきのり)
経営コンサルタント、ビジネスプロデューサー、投資家、事業家、作家、公認会計士、「YouTube図書館」運営
三重県生まれ、立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、世界一の規模を誇る会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループである有限責任監査法人トーマツ勤務を経て独立。
執筆活動では、ビジネス書、 自己啓発書、小説など多岐にわたるジャンルでベストセラーを連発。
中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム等、世界中で翻訳出版されている。

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