本記事は、金川顕教氏の著書『50代からの「幸せ」設計図』(ごま書房新社)の中から一部を抜粋・編集しています。

保険
(画像=Song_about_summer / stock.adobe.com)

生命保険で資産形成をしようとは思わないこと

みなさんは生命保険に入っていますか? 日本人の多くは、保険に対して絶大な信頼を持っています。

日銀が3カ月ごとに公表する「資金循環統計」によれば、2023年3月末の個人保有の金融資産は2043兆円でした。そのうち、現金・預金が1107兆円、それに次ぐ535兆円が保険・年金・定型保証で、341兆円の証券等・債務証券・投資信託を大幅に上回っています。

そもそも、生命保険商品の本質は「保障」であって、投資ではありません。それなのに、資産形成ができる「運用商品」と考えている人が多いのです。

昔、生命保険の中で、変額保険というタイプが人気になりました。この保険は、大幅に元本を割り込むことはなく、万が一のときは、払い込んだ保険料とほぼ同額の保険料が出るというものでした。

しかし保険商品というのは、保障機能があることによって、保障部分を確保するためのコストが必要です。そのため純粋に運用に回せるお金が少なくなります。運用に回せるお金が少なくなれば、その分だけ運用利回りは低下します。

つまり保険料を払い込んだ時点で、投資信託の購入手数料や信託報酬よりもはるかに高いコストが差し引かれているのです。

ですから、保障(=生命保険)と運用は切り離したほうがいいです。保険で資産形成をしようとせず、あくまでいざという場合の保障に限定して、生命保険に加入することをおすすめします。

節税やトラブル対応のために、税理士や弁護士との関係を作っておく

残りの50年を自分の希望通り乗り切るためには、お金の知恵が必要です。

家計を上手に管理して経済的な不安から解放されないと、人生100年時代を楽しく生きることはできません。

しかし50代になると、役職定年で収入がダウンしたり、パートで働いている人も、これから働く時間を増やして収入を増やすのは体力的にも厳しくなります。

そこで支出を減らしていくことが大切ですが、意外と落とし穴になるのが税金です。

50代は、「いざというとき」が起こりやすい年代です。例えば相続がその1つです。相続の申告自体は自分ですることができますが、相続に慣れた税理士に手伝ってもらったほうが相続自体にかかるお金を安くできることもあります。

他にも税金を低く抑える方法は、いろいろあります。医療控除や扶養控除、年末調整などで戻ってくるお金など、いつでも相談できる相手がいることが大切です。

また、税理士だけでなく弁護士も「いざというとき」に頼りになります。離婚、浮気、交通事故、借金、近隣トラブル、職場での労働問題、賃貸の退去時の原状回復など、専門的なアドバイスをもらえるだけでも、心の平穏が取り戻せます。

税理士や弁護士を探すのは、口コミが一番です。税理士の場合は、周囲に相続税を支払ったことのある人、会社経営者、自営業をしている人などに節税対策もしっかりしてくれる税理士さんを聞いてみることです。

友人知人からの紹介が、一番信用できます。

弁護士も同様に、まずは友人知人に聞いてみてください。直接の知り合いでなくても、名前があがった人に会って話を聞いてみることも大切です。かかりつけ医を持つような気持ちで、信頼できる税理士や弁護士を探し、上手に利用しましょう。

50代からの「幸せ」設計図
金川 顕教(かながわ あきのり)
経営コンサルタント、ビジネスプロデューサー、投資家、事業家、作家、公認会計士、「YouTube図書館」運営
三重県生まれ、立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、世界一の規模を誇る会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループである有限責任監査法人トーマツ勤務を経て独立。
執筆活動では、ビジネス書、自己啓発書、小説など多岐にわたるジャンルでベストセラーを連発。
中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム等、世界中で翻訳出版されている。

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