本記事は、金川顕教氏の著書『50代からの「幸せ」設計図』(ごま書房新社)の中から一部を抜粋・編集しています。
50歳は人生のスタート時。「人生の本番」は、70歳から始まる
50歳は人生の折り返し地点ですが、仕事を始めた20代からの30年を自立した人間になるまでの準備期間と考えれば、50代からが人生本番の幕開けです。
誰でも20代、30代、40代と、仕事に限らず家事やプライベートなど、さまざまな知識や技能を身に付けコツコツと積み重ね、貴重な知恵をたくさん得てきたと思います。昔から「亀の甲より年の功」と言いますが、年長者の知恵や教えは、若い者にとっては貴重であり、尊重すべきものなのです。
この宝のような経験を活かさないままリタイヤしてしまうのはもったいないです。
特に組織に勤めていた人は、定年を迎えると、組織に拘束されていた時間をすべて自分の自由に使えるようになります。1日24時間365日。この膨大な時間をムダにするのはもったいないことです。
自分が培ってきたことを活かすために、自分を磨くために、人としてさらに成長するために、何かに打ち込んでみてください。
葛飾北斎が富嶽三十六景を描いたのは70代のときでした。そして90歳で亡くなる前に、「あと5年命があれば、本物の絵かきになれるのに」と言ったそうです。
つまり、人は何歳になっても成長できるものなのです。人生の本番は70代から。大輪の花を咲かせられるよう、50代から種まきをして、たくさん栄養分を与えて大切に育てていきましょう。
人生で大切な心の若さを保つために、勉強する習慣をつける
自動車会社フォードの産みの親であるヘンリー・フォードに、こんな名言があります。
「学ぶことをやめた者は老人である。
20歳であっても80歳であっても。学び続ける者はいつまでも若い。人生でもっとも偉大なことは、心の若さを保つことである」勉強しなくなった人は、急速に老け込んでいきます。仕事をしている今は、仕事をすることが日々勉強のようなものかもしれませんが、それ以外の勉強をする習慣を50代のうちに身に付けてください。
最近は学びのスタイルも多様化しており、教室に通うだけではなくオンラインで学ぶ方法もあります。特にコロナ禍以降は、オンラインで学びを提供するサービスも増えています。海外の大学院では、オンラインだけでMBAやEMBAを取得できる入学プログラムもあります。
学ぶことは何でもよいのです。みなさん自身が学びたいことを学んでください。好奇心が赴くままに広く浅く勉強するのも楽しいですが、50歳からは「1つのことを突き詰める」ことを意識して、勉強を続けてみてください。
学生時代に学んだことの学び直しでもよいでしょう。大学時代、第二外国語でとった中国語やドイツ語など、語学を学ぶのもおすすめです。
若いころに学んだことは頭の片隅に残っているので、勉強を再開すると記憶が蘇り、上達スピードが速いのでモチベーションもアップします。
50代になると自分に向いていることや不向きなこと、好きなこと嫌いなことも見えてきます。その中で、自分に向いていること、好きなことを突き詰めてください。
例えば料理が得意なら栄養士の勉強、家計簿をつけるのが好きなら会計士の勉強をしたり、歴史などが好きなら大学入試問題で高得点を目指すなど、受験を目的にするのではなく、知識の取得を目的として勉強するのもよいでしょう。
脳を働かせ、いつまでも若々しくあろうとすることが大切です。
教養がある人間とそうでない人間とでは、人生の質が大きく変わる
勉強をし続けることは、いつまでも若々しくいられる以外にもメリットがあります。知識と教養を持って人生を送るのと、教養がないまま人生を送るのとでは、人生の質が大きく変わるからです。
例えば、向いていることや好きなことを突き詰めていけば、「○○のことは、あの人に聞けばいい」と、周囲に得意分野の印象を残すことができます。そうすることで、人脈や仕事につながる可能性が高くなります。
人とコミュニケーションをとるときに、一番楽しいのは自分の知らないことを教えてもらえることです。
知識や教養のある人とは、何気ない会話をしていても新しい発見があります。質問をしたときにも、その他大勢の人とはひと味違うアドバイスをもらえるので、周りの人に頼りにされますし、本人にとっても人の役に立つ実感が得られます。
そこで、積極的に学び、新しい知識や教養を身に付けてください。教養を磨いたり知識を身に付けるためには、お金が必要なこともあります。しかし、そのお金をケチらないでほしいのです。
自分が学ぶことで周りの人が喜んでくれるとしたら、そこでご自分の人生の価値が高まります。これは、お金では決して買えない価値になるのです。
三重県生まれ、立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、世界一の規模を誇る会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループである有限責任監査法人トーマツ勤務を経て独立。
執筆活動では、ビジネス書、自己啓発書、小説など多岐にわたるジャンルでベストセラーを連発。
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