中小企業がメガバンクを利用するメリット
ここからは、話をメガバンクに絞って解説を進めていく。まずは、中小企業がメガバンクを利用する主なメリットから紹介しよう。
信用力がアップする
メガバンクは総じてネームバリューがあり、法人口座を開くだけで信用力がアップする。特にメインバンクにしている場合は、取引先や顧客から一目置かれることもあるだろう。
取引銀行はホームページなどにも記載するため、信用力への影響は想像以上に大きい。
高額融資にも対応してもらえる
豊富な資金をもっている点も、メガバンクの大きな魅力である。地方銀行などに比べると圧倒的な資金力であるため、魅力的な事業計画やビジネスプランを持ち込めば、数億規模の高額融資にも対応してもらえるかもしれない。
さらに、メガバンクは低金利で貸し付けるケースが多いため、融資のコストとなる利息も抑えられる。
日本全国でサービスを利用できる
メガバンクは日本全国に支店を構えているため、よほどの田舎でない限りはATMなどのサービスを利用できる。また、スマホバンキングをはじめとしたサービス面も充実しているので、急な税金の支払いなどにも難なく対応できるだろう。
特に国内出張が多い経営者や、全国で展示会などを開催する企業にとって、サービスの利便性が高いメリットは大きいものとなる。
海外送金にも対応している
メガバンクの法人口座は、海外口座への送金にも対応している。例えば、MUFGの外国送金サービスでは、米ドルやユーロをはじめとした外貨建てで海外送金をすることが可能だ。
さらに、インターネットからの送金も24時間受け付けているため、利便性の面でも申し分ない。海外との取引が多い輸出企業やIT企業などにとって、この点は非常に大きなメリットと言える。
専任の担当者がつく
ネット銀行などとは違い、メガバンクで法人口座を開くと専任の担当者がつく。融資をはじめ、専任担当者はさまざまな経営相談に乗ってくれるため、中小企業にとっては心強い存在になるはずだ。
メガバンクを利用するデメリットや注意点
一方で、メガバンクの利用には注意しておきたいデメリットも潜んでいる。特に中小企業には深刻なリスクもあるため、デメリットも確認した上で口座開設を検討しよう。
審査のハードルが高い
最大のデメリットは、審査のハードルが高い点である。前述の通り、メガバンクの顧客は大手企業やグローバル企業などが中心であるため、一般的な中小企業に興味を示す可能性が低い。
中でもバーチャルオフィスを利用する企業や、資本金が少ない企業などは、審査に通過しづらいと言われている。事前の審査対策も可能ではあるが、メガバンクでの口座開設にこだわり過ぎると、本業に支障が生じる恐れもあるだろう。
法人口座の開設に時間がかかる
メガバンクはマネーロンダリングや犯罪行為を防止するため、慎重に審査を行っている。その影響で、法人口座の開設には申し込みから2~4週間ほどかかると言われている。
したがって、事前に法人口座を開設していない場合は、スピード感のある融資を期待することは難しいだろう。
口座維持手数料が高い
ネット銀行などに比べると、メガバンクの口座維持手数料は高いとされている。プランや銀行にもよるが、例えばインターネットバンキングのサービスを利用する場合は、毎月数万円のコストが発生することもある。
資金が限られた中小企業にとって、維持コストが高い点は深刻な問題になり得る。それ以上のサービスを受けられれば問題ないが、コストパフォーマンスが低いと判断した場合は、口座開設を見送ることもひとつの選択肢だ。
ネット銀行より振込手数料が高い
ネット銀行に比べて振込手数料が高い点も、メガバンクのデメリットと言えるだろう。現代ビジネスは振込の機会が多いため、振込手数料の小さな差が大きな負担につながることもある。
日常的なコストを抑えたい場合は、メインバンクとしてほかの銀行を利用することも検討してみよう。
担当者と長期的な関係を築きにくい
メガバンクの専任担当者は心強い存在だが、全国展開している影響で転勤の機会が多い。したがって、ケースによっては1人の担当者と長期的な関係を築くことは難しくなる。
一方で、地域密着型の地方銀行や信用金庫では、パートナーと言えるような担当者と出会えることもある。ただし、メガバンクにおいても情報共有や引き継ぎは十分にされていると考えられるので、担当者が変わったからと言って必ずしも悲観する必要はない。
上記は、ここまで解説したメリット・デメリットをまとめたものである。
メガバンクは他の銀行にはない魅力をもっているが、やはり審査のハードルが高い点は軽視できない。仮に法人口座を開設できたとしても、融資を受けられるかどうかは別の話になってくるので、その点も踏まえて検討する必要がある。
また、地方銀行や信用金庫などにも、メガバンクにはない特有のメリットが存在する。取引銀行をひとつに絞る必要はないため、複数の銀行を利用することも視野に入れながら、今後の計画を立てていこう。