中小企業や起業におすすめの補助金・助成金

ここからは、中小企業や起業に役立つ補助金・助成金制度を紹介する。「起業・雇用・事業」の3つのジャンルに分けているため、目的に適したものを見極めていこう。

起業に役立つ補助金・助成金

・1.創業支援等事業者補助金

創業支援等事業者補助金は、産業競争力強化法に基づく形で中小企業庁が実施している制度だ。起業時にかかる経費を補助してもらえる制度であり、新たに創業するすべての人が対象に含まれている。

補助限度額(1,000万円)も大きい魅力的な制度だが、公募期間が短い点には注意したい。令和元年分の公募期間は5月中旬~6月中旬の1ヶ月であり、この期間を逃すと同年内での利用はできなくなる。

なお、2020年以降は支給されていないが、以前から「地域創造的起業補助金」や「創業補助金」として実施されていた制度なので、新たに公募が始まることを想定してこまめに情報をチェックしておきたい。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・2.事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、親族内承継やM&Aによって経営者を交代する企業を対象にした制度である。新規の創業は対象外だが、新事業や新分野への進出が補助対象に含まれるため、「第二創業」を目指す後継者に適している。

補助上限額は事業承継のスキームによって異なり、M&Aでは最大750万円、それ以外では最大450万円の補助を受けることが可能だ。人件費や設備費、材料費などさまざまな経費が対象となるため、事業承継の予定がある企業はぜひチェックしておきたい。

ただし、公募期間が約1ヶ月と短いため、毎年の実施期間はこまめに確認しておこう。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・3.創業助成事業(東京都)

創業助成事業は、起業してから5年以内の事業者や、起業予定の人を対象にした東京都の制度だ。人件費や広告費などさまざまな経費が対象であり、最大300万円までの補助を受けられるため、採択されれば起業時の負担を大きく抑えられる。

また、助成対象期間(交付決定日から最長2年)が長めに設定されている点も、この制度ならではのメリットと言える。この期間内であれば、ほかにも賃借料や専門家指導料などの助成を受けられるので、東京都で起業する場合は積極的に利用しよう。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

雇用に役立つ補助金・助成金

・4.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用者のキャリアアップを目的とする厚生労働省の制度である。「正社員化コース」や「賃金規定等共通化コース」など全7種類のコースが用意されており、労働者の属性や雇用形態などによって適用されるコースが異なる。

この制度の魅力は、アルバイトやパートタイマーに関する取り組みも補助対象に含まれる点だ。そのほか、契約社員や派遣社員、障害者に関するコースもあるため、新たに人材を雇う場合は支給要件を満たせる可能性が高い。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・5.雇用調整助成金

新型コロナウイルスによる影響を受けた場合は、厚生労働省が実施する雇用調整助成金の利用を検討したい。この制度では、事業の縮小を余儀なくされた場合に、最大で1日15,000円(従業員1人あたり)の助成を受けられる。

もともとは2021年6月までの制度だったが、新型コロナウイルスの収束が遅れている影響で、2022年2月現在でも募集がかけられている。状況次第では今後も継続される可能性があるので、引き続き実施情報をチェックしておこう。

なお、申請にあたっては出勤簿やタイムカードなども必要になるため、関連資料はしっかりと保管しておくことが重要だ。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・6.人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、労働者のキャリアアップを目的として実施されている制度だ。従業員のキャリア形成のために以下のような取り組みを行うと、1事業所につき年間最大1,000万円までの助成を受けられる。

・教育訓練休暇制度の規定
・職業訓練の実施
・中小企業における担い手の育成

なお、この制度では「特定訓練コース」や「一般訓練コース」など複数のコースが用意されており、申請するコースによって支給額や要件が変わってくる。また、対象となる職業訓練も細かく規定されているため、申請前には各コースの詳細をしっかりと確認しておこう。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・7.両立支援等助成金

自社の従業員に世帯持ちが多い場合は、両立支援等助成金による支援を受けられる可能性がある。この制度は、仕事と育児などの両立をサポートするものであり、以下のような取り組みを行った企業に対して助成が行われている。

・育児目的休暇制度の導入
・育休取得の推進
・介護休業取得の推進 など

支給金額は取り組み内容によって異なり、例えば男性の育休取得を促進する「出生時両立支援コース」では、従業員1人あたり最大72万円の助成を受けることが可能だ。ほかにも、仕事・介護の両立を支援する「介護離職防止支援コース」などが用意されており、従業員の職場復帰も助成対象に含まれている。

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事業に役立つ補助金・助成金

・8.ものづくり補助金

ものづくり補助金は、以下のような製品開発に取り組む中小規模事業者をサポートしている制度である。

・革新的な製品やサービス
・デジタルトランスフォーメーションにつながる製品やサービス
・温室効果ガスの排出削減に資する製品やサービス

補助上限額は製品・サービスの種類によって異なり、例えばイノベーション創出につながる「ビジネスモデル構築型」では、最大1億円までの補助を受けられる。他分野についても、基本的には数百万円〜数千万円の補助金が支給されるため、採択されるメリットは大きいと言えるだろう。

また、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」では、雇用拡大に取り組む事業者に対して補助が行われている点も魅力的なポイントだ。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・9.IT導入補助金

IT導入補助金は、企業のITツール導入をサポートしている制度だ。デジタルトランスフォーメーションの推進を主な目的としており、業務に係るITツールを導入することで最大450万円の補助を受けられる。

また、新型コロナウイルスの蔓延による影響を受けて、最近では「低感染リスク型ビジネス枠」が新たに設けられた。この枠では、テレワークなどにつながるITツール導入を支援しており、通常枠よりも補助率を引き上げる形で補助金が支給されている。

IT化を進める企業にとっては魅力的な制度だが、業種によって資本金・従業員に関する要件が異なる点には注意しておきたい。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・10.事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業の新分野展開や業態転換、事業再編などを支援している制度だ。小規模事業者から中堅企業まで幅広い企業が対象であり、事業の再構築に関する取り組みを行うと、最大1億円の補助を受けられる。

ただし、申請にあたっては3~5年分の事業計画書を、認定経営革新等支援機関からアドバイスを受ける形で策定しなければならない。また、新型コロナウイルスをきっかけに新設された制度なので、売上減少に関する要件も満たす必要がある。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説

・11.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、従業員20名以下の小規模事業者をサポートするための制度である。対象の事業は限定されているものの、開発費や広報費などさまざまな経費が補助対象となるため、採択されると大きなコストカットにつながる。

ただし、申請にあたっては商工会議所または商工会から助言を受ける必要があり、経営計画も提出しなければならない。受給までに手間がかかる制度ではあるが、専門家の意見を聞きながら経営改善にも取り組めるので、金銭面以外のメリットも感じられるだろう。

ちなみに、要件を満たせば個人事業主でも利用できるため、ケースによっては起業前の段階から補助を受けることも可能だ。

起業時の補助金・助成金とは? 利用時の注意点も解説