補助金・助成金にもデメリットはある?利用時の注意点

補助金・助成金は魅力的な制度だが、実は利用にあたっては注意しておきたい点もある。特に以下で挙げる点はデメリットにもつながるので、申請の準備を始める前にしっかりと確認しておこう。

1.申請準備に手間がかかる

最も注意しておきたいデメリットは、書類作成などの準備に手間がかかることだ。制度によっては会社概要をまとめた申請書だけではなく、事業計画書や財務諸表などの提出も求められる。

また、要件を満たすための準備が必要になることも忘れてはいけない。特に労働環境や雇用環境に関する制度では、準備期間だけで数ヶ月かかるケースもある。

あまりにも手間がかかる制度を選ぶと、周りに負担が溜まったり本業が疎かになったりなどの弊害が生じるので、基本的にはスムーズに申請できるものから検討していこう。

2.審査に落ちる制度もある

万全の準備を整えたからと言って、必ずしも補助金・助成金を受給できるとは限らない。特に、予算や採択数が少ない影響で審査が行われる制度では、準備にかけた手間や努力が報われないこともある。

準備のすべてが無駄になるわけではないが、多くの手間をかけるほど審査に落ちるダメージは大きい。また、補助金・助成金の受給を想定して事業計画を立てていた場合は、プランの全体的な修正も必要になってくる。

審査に落ちることは珍しい話ではないため、特に審査が厳しいと思われる制度に申請する際は、受給できなかった場合のプランも用意しておこう。

3.入金までに時間がかかる

補助金・助成金は原則として「後払い」であり、申請からすぐに現金を受け取れるわけではない。入金までに1ヶ月以上かかる制度もあるため、急を要する資金調達には適していないだろう。

それでも短期的なつなぎ資金として利用したい場合は、銀行などの融資と組み合わせることが必要だ。直近の必要資金を融資によってカバーすれば、補助金・助成金の支給まで経営をもたせることができる。

採択の可能性を上げるには?補助金・助成金の審査のポイント

補助金・助成金制度の準備では、審査の傾向を押さえて申請書類を作成することが重要になる。制度によって細かい基準は異なるが、ここからは特に意識しておきたい審査のポイントを解説する。

1.実現可能性は高いか

どんなに魅力的なビジネスプランがあっても、実現可能性が低ければ外部からは評価されない。つまり、実現可能性の高さは前提条件であるため、ほかのポイントよりも強く意識することが重要だ。

ビジネスプランの実現可能性は、主に売上予測などのデータや、申請者本人の熱意(実績や経歴など)によって判断される。特に数値などのデータは細かく確認されやすいので、根拠のない情報は記載しないように心がけよう。

2.独創的な事業内容か

次に意識しておきたい点は「事業の独創性」だ。すでに他社が行っている事業や、ありふれたビジネスモデルなどは基本的に評価されにくい。

また、斬新な商品・サービスだけではなく、事業内容に「工夫が見られるか?」も重視されやすいポイントになる。ただし、独創性に強くこだわり過ぎると、前述の実現可能性が下がってしまう恐れがあるので、うまくバランスを取りながらビジネスプランを考えていこう。

3.多くの収益を期待できるか

どのような事業も、一定の収益がなければビジネスとしては成り立たない。事業を立ち上げること自体は可能だが、継続できないビジネスは評価されないため、「事業の収益性」にもこだわる必要がある。

事業の収益性を高めるには、ターゲット層を明確にし、根拠のある売上予測を立てることが重要だ。また、実施スケジュールやリスク管理なども評価対象に含まれる可能性があるので、ビジネスプランは細かい部分まで突き詰めたい。

4.資金調達の目途は立っているか

前述でも解説したように、補助金・助成金は支給までに時間がかかるため、これらの受給だけで事業を進めることは難しい。つまり、別の資金調達方法を用意していなければ、そのビジネスプランは実現可能性が低いことになってしまう。

特に創業直後は資金調達面で悩まされやすいので、補助金・助成金の申請準備を始めると同時に、融資を受ける準備も進めることが必要だ。融資はどのみち必要になるため、補助金・助成金の申請時期に関わらず、できるだけ早めに準備を始めておこう。