ホリゾン・ジャパン株式会社アイキャッチ
(画像=株式会社ホリゾン)
宮﨑 進(みやざき すすむ)
ホリゾン・ジャパン株式会社代表取締役社長
2019年、国内で43年間展開していた東西2社の販売会社を1社に統合し、ホリゾン・ジャパン株式会社が誕生。新会社の設立を機に、新社長として就任した。就任前はホリゾンと取引関係にあったキヤノンマーケティングジャパンで営業12年、マーケティング部門を16年歴任してきた。現在は、グローバルに展開するホリゾングループの再編に伴い、国内に加えアジア・オセアニア地域を担い、ビジネス拡大に貢献している。
ホリゾン・ジャパン株式会社
印刷後の紙を加工する産業用機器において世界トップクラスのシェアを誇り、120ヵ国以上で展開する株式会社ホリゾン。加工における「紙折り・丁合・針金綴じ・糊綴じ・断裁」の5カテゴリーの機器を開発する世界唯一のメーカーとしてもその地位を確立している。ホリゾン・ジャパン株式会社はホリゾン製品の国内・アジア・オセアニア地域を担う販売会社で、国内No.1シェアを獲得。自グループ内で開発・製造・販売の一貫体制を敷き、自動化・省人化する技術力・製造力・ノウハウを活かし業界全体の最適化を図ることはもちろん、印刷製本業界の枠を超えた Smart Factory 化を推進している。

これまでの事業の変遷について教えてください。

私のキャリアは1991年、キヤノンへの入社から始まります。コピー機、ファックスといった事務機器の営業経験を12年間積み、それらを活かしたマーケティングや商品企画のフィールドで16年間、様々な視点で携わりながら業界を見渡してきました。その中で印刷業界との接点が生まれたのは企画職に就いていた時期で、自社の製品分野の中でもプロダクションプリンターの市場展開に携わっていました。ホリゾンとのかかわりはこの時期からで、ビジネスを通してホリゾン経営層との関係性が深まり、ホリゾンにとっての変革を迎える時期に新会社の社長としての新たなご縁をいただきました。これまで大きなプロジェクトを同時に進めるなどの経験が今の立場にも活かされていると感じています。

ホリゾン・ジャパン株式会社
(画像=株式会社ホリゾン)

メーカーであるホリゾンは歴史のある企業で、1946年の創業時は電気器具の試作や修理業としてスタートし、後に電気計測器等の製造を始めますが、オイルショックにより事業転換を迫られました。社運をかけ印刷業界への進出を決意し、製品の開発を進めたのち、1975年に設立したのが自社の製品を扱う販売会社の株式会社ホリゾンです。当時の社名は、製造会社は太陽精機株式会社で、販売会社が株式会社ホリゾン。事業展開が進む中で販売会社も体制を整え変革しながら社名も変わり、今のホリゾン・ジャパン株式会社があります。私が参画したのは、ホリゾングループにとってのサードジェネレーションの一環としてでした。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私が一番感銘を受けた書籍は、スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』です。この書籍は私にとって非常に重要であり、創設されたばかりの新会社をリードする中で大きな支えとなりました。

経営者という立場になるまでは、中国の軍事戦略本『孫子の兵法』やイギリスの戦略本『ランチェスター戦略』といったマーケティングに活用できるジャンルの本に触れる機会が多く、重要度合いは「戦わずして勝つ」、「弱者の戦略」であるなど、マーケティング領域の書籍に感銘を受けてきました。それに対し、自身が経営者としての進化を求めている時期に『7つの習慣』と出会い、まさに企業人の悩みにも応える本だと感銘を受けました。製本に関わる会社ですので、本に関する話や推薦本を求められる機会もある中、特に思いを持って薦めている一冊です。入社式の際にも紹介し、研修などでも活用しています。

読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

中期経営計画の策定と課題解決の中で、まさに『7つの習慣』が役立っています。社長への就任後、まず進めたのは現状把握です。社員との1on1面談から課題をヒアリングし、22個にわたる中課題にまとめることで今までになかった見える化を図りました。それらを「顧客満足度向上、人材育成、コンプライアンス、収益の改善、中期経営計画の立案」という5個の大課題にまとめることで、何をしなければいけないのかを明確にしたのです。

特に課題感として強かったのがこの「見える化」で、この背景には世代交代がありました。社には創業当時からのベテラン層が多く、ノウハウが属人化していたことで、若い世代に習得してもらいたいノウハウが、継承されにくい状況があり、これらを共有しやすい環境をつくらねばとの思いでした。それには、これまでの文鎮型の組織を、ピラミッド型の組織に変えていく必要があり、同時にインナーブランディングを含めたホリゾンブランドをどのように上げていくのかをミッションとして置いていました。その際にフィットする本を見つけると何冊もまとめ買いしてチームごとに読み回せるように渡し、本を通して方向性を共有するなどの意思疎通を図ってきました。

経営において重要としている考え方を教えてください。

ここでも『7つの習慣』がカギとなりますが、まずは「パラダイム・シフト」です。個の集団から組織への変革、トップなくとも戦える組織づくり、中期経営計画の達成、ゴールを定めローリングする事業の在り方など、この先も進化し続けるための大切な考え方です。

「終わりから描く」については、先に述べました「見える化」でもあり、当社が掲げている共感、共鳴、共創へと繋がります。その為にKPIによる指標や顧客対応の見える化のための営業のDX化を推進し、これらを人財育成にも活用しています。

また、ホリゾングループでは近年MVVが革新されました。新しい時代に向けて、これらを軸とする価値観・考え方の共有を意識しています。その中で当社には、既存事業の上に新規事業を乗せ、その上に成長事業を乗せる、三階建て事業の考え方があります。これらを中期経営計画ツールの共有によって社内の意識を包括しています。

最後に、御社の未来構想について教えてください。

ホリゾン・ジャパン株式会社
(画像=ホリゾングループ)

とにかく変わり続けなければいけないと思っています。業界の変革に力を入れるという点で、当社の売上だけでなく、お客様の成功、社会に貢献していく「三方よし」を目指さなければなりません。デジタル化が進む中、印刷製本業界へのイメージを俯瞰して捉えた上で業界を活性化するアプローチも必要です。当社ではAI・IoTのロボティクスを取り込んだ製品の公開や付加価値の創出により、これからの方々に業界への魅力を感じていただけるような機会を提供していきます。

さらに環境対応も重要で、GX(グリーントランスフォーメーション)を広める必要があります。グローバルビジネスには輸送時の環境負荷が発生しますし、プリントしたものを在庫にする「プリント トゥ ストック」も同様です。これらを「プリント トゥ オンデマンド」へ変えることが環境負荷軽減に繋がるため、地産地消の考え方を浸透させることが必要です。ホリゾンの得意とする、多品種少量生産を可能にする製品はGXに向けた時代にマッチし、更なる可能性とニーズに応えます。業界内や自社の取り組みの中で培った経験と実績を基に、業界の枠を超えた社会課題を解決する自動化・省人化への提案と展開を進めます。

氏名
宮﨑 進(みやざき すすむ)
会社名
ホリゾン・ジャパン株式会社
役職
代表取締役社長