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(画像=株式会社トリケミカル研究所)
太附 聖(たづけ きよし)
株式会社トリケミカル研究所代表取締役社長
1964年10月21日生まれ。東海大学工学部卒業。新卒で1987年当社に入社。
2007年に当社取締役営業本部長、2009年に㈱エッチ・ビー・アール監査役(現任)、2012年に当社専務取締役、2014年に当社代表取締役社長、2016年にSK Tri Chem Co., Ltd.取締役(現任)、2017年に三化電子材料股份有限公司董事(現任)、2022年に当社代表取締役社長執行役員(現任)に就任。 化学分野におけるニッチな特定の製品の開発・製造・販売に一環として取り組んでいる。
株式会社トリケミカル研究所
トリケミカル研究所は山梨県上野原市に本社を置き、1978年の創業以来、電子電気工業用の高純度化学薬品の開発・製造・販売を行っている会社です。1994年に日本エア・リキード合同会社との合弁で関連会社㈱エッチ・ビー・アールを設立。
現在では半導体の製造が盛んな韓国、台湾など東アジアを中心にグローバル展開を進めています。2016年にSK Inc. との合併で関連会社SK Tri Chem Co., Ltd.を韓国で設立、2017年に100%子会社の三化電子材料股份有限公司を台湾で設立しています。

これまでの事業変遷について

冨田: 創業が1978年で、2007年にIPOをされていますが、現在までの事業の変遷についてお聞かせいただけますか。

株式会社トリケミカル研究所 代表取締役社長・太附 聖氏(以下、社名・氏名略)
当社の創業社長は現在の会長である竹中です。私は設立10年目くらいの時期に、まだ社員数が20人、売上も4億円ほどの規模の当社に新卒で入社しました。創業当初から、半導体向けの材料に取り組みたいという意向はあったものの、実際には光ファイバー向けの材料や大学・研究開発機関向けの試薬などで売上を立てているような状況でした。
そのような中、フロン規制や半導体の製造工程の変化など、半導体を取り巻く外部環境の変化が契機となり、当社の半導体部門の売上も拡大し、2007年に大証ヘラクレス市場に上場を果たしました。その後も、リーマンショックや太陽電池バブルの崩壊などの影響によって安定しない時期もありましたが、ここ10年で企業として大きく飛躍を遂げることができています。

成長の大きな要因は、新しい技術の出現によって、半導体の周辺に小さなマーケットがたくさん形成されたことです。当社は、材料の品目数を増やすことによって、売上を拡大していくストーリーを描いていたため、この外部環境の変化が、当社のスタイルと非常にマッチし、成長を続けています。

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経営判断をする上で最も重視していること

冨田: 非常に美しい成功だと思いますが、経営判断をされる中で重視していることは何でしょうか。

太附: 「少量・高付加価値」というテーマは常に重視しています。これを実践できれば高利益率が確保できますので、このテーマを軸に開発から販売まで全部やっていこうという方針です。
具体的には、営業利益率25%を1つの基準においています。売上を拡大させつつこの利益水準を保つことができれば、間違いなく利益が増えていきます。この営業利益率25%という数字は、大手の化学メーカーであってもなかなか達成することができない水準です。大手の化学メーカーさんとは比較にならない程に小さな設備規模の当社が、この数字を達成し続けるためには、頭を使って大手とは違った戦い方をしていく必要がありますが、この水準を保っていこうと常に全社員に対して話しています。

経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み

冨田: 次に、社長の経営者としてのルーツをお伺いできればと思います。これまでのご経験から積み上げられてきた強みは何でしょうか。

太附: もともと私は当社にエンジニアとして入社しています。当時は20人程の小さな組織だったこともあり、一度は営業を経験するというのが当社の方針でした。私も入社5年目ぐらいから営業に配属となりました。
通常は3年ほどでエンジニアに戻るのですが、私の場合はなぜかエンジニアになかなか戻れず、気がつくとそのまま営業を続けていました。営業職として、当然ながらお客様のニーズを正しく把握する事が必要です。お客様のニーズを理解するために、半導体について必死で勉強しましたし、話術や応対術も培いました。そういった経験の積み重ねの結果、開発した製品がいくつかヒットしたことで当社はヘラクレス市場に上場できました。また、社長就任後も、私が営業として開発した製品が、時間差で商材として機能するようになった例もありました。

冨田: エンジニアと営業の両方の専門性が高いからこそ、お客様と共通言語で会話ができ、最先端のニーズが聞けて、それにカスタマイズされた研究開発ができるという、好循環のサイクルになっているのですね。

自社が今後関連していくテーマ

冨田: 社長やトリケミカルさんにとっての今後のテーマを教えてください。

太附: 今後も3つのキーワード「少量」「多品種」「高付加価値」を変えることなく事業を拡大していきます。半導体は、当社にとって間違いなく重要ですので世界のフィールドも見据えて事業を拡大していきます。加えて、半導体以外に関しても同様に、お客様のニーズに高次元で応えるために未来に向けて投資し、しっかりとした準備をしています。
仮にですが、今後も右肩上がりで事業を伸ばす事ができ、営業利益率25%の水準を保つ事ができた場合、売上が500億円まで拡大すると、かなりの額の利益が期待できますし、会社にもキャッシュが積み上がっているかと思います。そうなった場合は、私ではなく、次の世代の人が積み上がった利益を活用して当社をさらに発展させていく方が良いと思っています。

冨田: サクセッションプランニングに関しても既に考えられているんですね。

思い描いている未来構想

冨田: トリケミカルさんの今後の未来構想をお聞きできればと思います。

太附: 基本的には手堅く着実に事業を推進していくことが第一ですが、それと同時に、社員が生き生きと仕事ができるような環境を守り続けていくのが私の役割です。
当社は、平均勤続年数は9年、離職率は約3%と非常に高い定着率を誇っています。この数字は社員がそれだけ楽しく仕事ができていることを表しているかと思いますので、この環境を守るためにも手堅く事業を進めていきます。

ZUU onlineのユーザーへ一言

冨田: 素晴らしいですね。最後に、ZUU onlineのユーザーや投資家の方々に向けて、一言いただけたらと思います。

太附: とにかく面白い仕事をして、着実に結果を残していきたいと考えています。株主の皆様には良い結果をお届けできるようこれからも努力して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

氏名
太附 聖(たづけ きよし)
会社名
株式会社トリケミカル研究所
役職
代表取締役社長