本記事は、小林 弘幸氏の著書『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

顔を覆う女性
(画像=kei907 / stock.adobe.com)

自律神経が乱れた状態では、本当の集中力は手に入らない

多くの人が「集中力が欲しい」と願いながらも、そのポテンシャルを発揮できていません。その理由には、体調不良、睡眠不足、運動不足、休養不足、偏った食事、オーバータスク、心の悩み、環境の変化、加齢によるもの、先天的な要因など、さまざまなものがあります。

集中力を得るためには、自分が思い当たる個々の理由を解決していくことが必要です。しかし、これまた多くの人が複数の理由を抱えているため、何から対応していけばいいのかと困ってしまうでしょう。

そこで、まずはこの一点を心がけるようにしてください。

それは「自律神経のバランスを整えた状態を保つ」ことです。

じつは集中できないほとんどの要因は、突き詰めていくと、自律神経に起因しています。

自律神経とは、内臓の働きや代謝、体温などをコントロールするために、自分の意志とは関係なく24時間働き続けている機能のこと。

自律神経には、人間が活動をしているときに活発になる「交感神経」と、リラックスしているときや寝ているときに活発になる「副交感神経」があります。

交感神経が優位になると、血圧が上がり、心と体が活発になった状態になります。そして脳が一生懸命に働くようになり、集中しているときに発生しやすいβ波が出て、集中力が発揮しやすくなります。

ただし交感神経が優位な時間が続くと、アクセルを踏み続けている脳には疲労が蓄積していきます。それを防ぐために、脳に休息を与えるべく、副交感神経が優位な状態に切り替わります。

すると、血圧は下がり、脳は休息モードに入って、脳内にはリラックスしているときに発生するα波が出ます。「集中力が続くのは90分」といわれるのは、この交感神経と副交感神経の波が影響していると考えられているからです。

自律神経を整えたことでモチベーションを取り戻せた

自律神経が乱れて、交感神経と副交感神経がうまく機能しなくなると、集中できなくなります。つまり、安定して集中力を発揮するためには、自律神経を整えた状態を保つことが重要なのです。

かくいう私も、自身の自律神経がおかしくなったことが、研究を始めたきっかけでした。

私はもともと小児外科医として忙しく働いていました。忙しさに比例して体調を崩すことが増え、精神的にもイライラして集中できなくなり、いつしか休日の夕方には「仕事に行きたくない」と、どんよりした気持ちになっている自分がいることに気づきました。

それまで私は、仕事を嫌いになったことがありませんでした。そのためにとくに意識はしていませんでしたが、仕事にも集中できていたので好きだったのだと思います。

それが、なぜ憂鬱な気持ちに陥りやすくなったのか。

その理由を探っているうちにたどり着いたのが、自律神経です。私がうつに近い状態になり、仕事に対する意識さえも変わってしまった理由 ― それは自律神経の乱れにありました。

そして、自律神経のことを深く調べていくなかで整え方を手に入れ、集中力にとっても大切な元気とやる気を取り戻すことができたのです。

集中力のスイッチ
小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年、埼玉県生まれ。1987年、順天堂大学医学部卒業。
1992年、同大学大学院医学研究科修了。
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。
自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。
『医者が考案した「長生きみそ汁」』『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(小社刊)など、著書多数。
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