以前より「転職」が一般的な世の中になりつつあるが、年齢を重ねてからの転職は給料が減るリスクが高くなるため注意が必要だ。厚生労働省のデータでも、そのことは示されている。転職で給料を減らさないためにはどうすればいいのか。そのためのポイントや不安を減らす対策を紹介する。

転職による賃金変化の世代別データ

50代以上の転職は給料ダウンのリスク大 ! 回避するポイントや不安を減らす対策
(画像=naka / stock.adobe.com)

厚生労働省が行った「令和4年雇用動向調査」の結果によれば、転職者の賃金は年齢により以下の表のように増減している。

年齢区分増加した変わらない減少した
40~44歳38.0%28.9%32.3%
45~49歳34.2%36.5%27.6%
50~54歳24.9%37.4%36.1%
55~59歳29.1%28.4%39.9%
60~64歳16.2%19.6%63.7%
65歳以上13.0%30.8%52.5%

50歳を超えると「賃金減少」の割合が増加

40代の場合は転職後に賃金が増加した人の割合の方が高いのに対し、50歳を超えると減少した人の割合の方が大きくなる。この傾向は世代が上がるにつれて顕著になっている。

50代以上の転職で給料を落とさないためのポイント

50代以上の転職では給料が減るリスクが高まるが、一方で賃金が増加したと回答している人も一定割合は存在している。50代以上の転職で給料を落とさないためには、どうすればいいのだろうか。ここでは、そのポイントを3つ紹介する。

ニーズが高いスキルを身に付ける

市場においてニーズが高いスキルを身に付けている場合は「売り手市場」、つまり求職者側が有利な状態で転職活動を行うことができる。

ニーズが高いスキルを探す際は、市場規模の拡大が見込まれている業界をリサーチすることから始めたい。例えば、AI (人工知能) やブロックチェーン、半導体などの分野が挙げられる。

需要が高い業界に転職する

いわゆる「手に職」といったスキルがなくても、需要が高い業界の企業に転職すれば、その企業の成長も見込まれるため、中期的にみて転職による給与低下のリスクを減らすことが期待できる。

マネジメント能力や経理のスキルはどの業界でもニーズがあるが、どういった業界・企業でそのスキルを発揮するかによって給与が変わってくることを覚えておこう。

50代以上だからこその強みをアピールする

50代以上の転職では、管理職としての実績など若手にはないキャリアをアピールするのが一般的だ。こうした点を魅力的に感じてもらうことができれば、給料にも反映されるだろう。

また「スキルのかけ算」が高い評価につながるケースがあることも覚えておこう。例えば、以下のように複数のスキルを有する人材は絶対数が少ないため、希少価値が高まる。これまでの社会人経験で身に付けたスキルが複数ある場合は、しっかりとその点を強調して伝えよう。

  • ライティングスキル × エンジニアスキル
  • 英語スキル × マネジメント経験
  • 海外経験 × 営業スキル

転職による給料ダウンの不安を減らす対策

しかし、前述のような給料を落とさないための対策を取ったとしても、年齢が上がると給料が減るリスクが高くなる事実は変わらない。

給料ダウンはそのときの生活だけでなく、老後の備えにも直結するため、こうした不安は労働収入に頼らない方法で取り除く視点も持っておきたい。ここでは、多忙な現役世代でも取り組みやすい資産運用法を3つ紹介しよう。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金で専門家が株式や債券などに分散投資を行い、その運用成果を投資家に分配する金融商品のことだ。資産運用を行う際は一定の知識が求められるが、投資信託はプロに運用を任せられるため、投資について学ぶ時間がない人でも気軽に始めることができる。

また、投資信託の中には投資先を分散している商品も数多くある。こうした商品を選ぶことで、手間なくリスクを抑えられる点もメリットだ。

つみたてNISA (新NISAにおける「つみたて投資枠」)

つみたてNISAとは、長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度のことだ。投資方法は積立投資のみとなっており、「毎月」といった頻度で機械的に一定額を投資に充てていくスタイルのため、忙しい人でも始めやすい。

投資タイミングや投資額を変えないことが基本であるため、知識や経験のない初心者でも実践しやすいだろう。

ちなみにつみたてNISAは、2024年1月から新NISAがスタートすることに伴い、新NISAにおける「つみたて投資枠」としてその役割が引き継がれ、投資枠などが拡充される。

外貨預金

米ドルやユーロ、豪ドルといった日本円以外の通貨で預金を行う「外貨預金」もおすすめだ。円預金と同じような感覚で行えるハードルの低さは、忙しい人にぴったりだろう。そのうえ、円預金よりも高い金利収入を安定的に得ることができる。

また、為替レートの変動による為替差益を狙える点もメリットだ。外貨を円に戻すタイミングによっては為替差損が発生する可能性もあるが、複数の外貨を組み合わせて保有したり、積立型で運用したりすることで、リスクを低減できる。

給料ダウンの不安は資産運用で解消しよう

厚生労働省のデータから分かるように、50代以上の転職は給料が下がるリスクが高くなる。これを避けるためのポイントはあるものの、不安を減らすためには労働以外で得られる収入を作っておくことが重要だ。

まだ資産運用に取り組んでいない人は、この機会に外貨預金などを始めてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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