総括
FX「ドル円の2月相場の特徴は。米国経済は理想的に推移」
ドル円=145-150、ユーロ円=159-164、ユーロドル=1.06-1.11
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨最下位(最下位)、株価2位(首位)、2月相場の特徴。貿易、物価は、バブル時代との違いは」
円相場は12月最強であったが、1月は最弱になりそうだ。ドル円も11月27日以来の雲の上に出ている。ただ1月末日は下げの日が多い。2月は中旬まではドル円の上げが多い。全体としても過去5年ではややドル上げ基調だ。1月の円は最弱が決定的だが先週は月末ということもあり、円転も出て12通貨中4位。
貿易統計では2023年は9.3兆円の赤字、2022年の20.3兆円の赤字から半減したが、まだ歴史的には赤字が大きい。22年のような9兆円の円介入を23年に行えば需給はフラットになったが財務省もそこまで踏み切らなかったのは国際的配慮もある。23年12月貿易統計は621億円の黒字となった。ただ例年1月は貿易赤字が大きくなり、それが今月の円安にも繋がっている。
日銀の金融政策では春闘の賃上げを見て春以降にマイナス金利を解除したいところであったが、東京1月消費者物価のコア指数が1.6%に低下したこともあり舵取りが難しくなる。最近の相場は株、為替、インフレが1890年のバブル時と数字が似通っているが、金利だけが大きく乖離している。やはりどっぷりつかったマイナス金利相場に慣れ切って、なかなか正常化出来ない。そうなると預金にも付利できず消費も回復しない。個人の資金の株式誘導政策を政府は行っているが、保守的な日本人がどれだけ動くかがカギだ。
(仲値動向基本)月末までは投信の設定も多い
1/29(月) 月末でややドル買い多いが後場の輸出に注意
1/30(火) 月末でややドル多いが後場の輸出に注意
1/31(水) 末日、特殊玉も円売り、円買いと飛び交う
2/1(木) 通常の仲値
2/2(金) 通常の仲値
*米ドル「通貨首位(首位)、株価(NYダウ)8位(6位)、理想的。インフレ低くて、成長強い」
景気は回復、雇用は改善、インフレは低下。バイデン大統領は、2023年の後半6か月間でインフレ率がパンデミック前の基準である2%にあったこと、経済成長率は 2023 年4Qに3.3%、失業率は2年連続で4%未満にとどまったことを自画自賛した。2023年は景気後退に陥る予想もあった中で経済運営は上手く進んだことは評価したい。インフレ低下より、力強い景気回復がFRBの金融緩和を遅らせるかもしれない。
政策金利据え置きが予想される今週のFOMCだがパウエル議長がそのあたりをどう言及するか。インフレ低下は金融政策だけではなく政府のサプライチェーンの整備が大きく貢献した。3月の利下げ確率は45%、5月は90%。
米国の懸念はルービン元財務長官が言うように、財政赤字だ。ルービン氏は「連邦財政赤字に関してひどい状況にあると指摘し、財政悪化に対処するため増税を行うべきだ。膨らんだ連邦債務の約60%は共和党政権が実施した減税によるものだと推定。これらの減税がなければ連邦債務の対GDP比率は約100%ではなく63%程度になっていただろう」と述べた。引き続き、財政の崖問題が定期的にクローズアップされる。それは共和党が政権を奪ってもだ。
*ユーロ「通貨6位(5位)、株価7位(11位)DAX)、弱い景気ほどユーロは弱くない」
景気に力強さはないが、ユーロが円ほど弱くならないのは貿易・経常黒字が再び定着してきたからか。ラガルドECB総裁がインフレよりもユーロ圏が直面する経済的課題により重点を置いたとして、より大幅な利下げ観測が強まっている。スワップ取引では、6月までに0.5ポイント以上の利下げが織り込まれている。先週の政策決定発表前の時点では0.42ポイントの緩和が見込まれていた。早ければ4月に0.25ポイントの利下げが実施される確率は90%織り込まれており、政策発表前の約60%から上昇した。
ECBは25日、政策金利を予想通り4.5%に据え置き、インフレ率が鈍化し続けていることを認めた。特に独の景気の弱さが目立つ。1月のIFO業況指数は85.2で昨年12月の86.3から予想外に低下した。2月の独消費者信頼感指数はマイナス29.7と、前月のマイナス25.4から予想外に悪化した。独連銀は月報で、1Qの経済成長率は最大でも停滞となり、年初のインフレ率は著しく鈍化するとの見通しを示した。
労働市場は歴史的な水準から見れば引き続きタイトだが、消費者は依然として支出に慎重という。また、年初のインフレ率はベース効果を主因に急速に低下する可能性があるとしの見方を示した。
IFOは経済がリセッションに陥っていると述べた。今週はユーロ圏の4Q・GDPが発表されるが予想は弱い。
*ポンド「通貨2位(2位)、株価14位(15位)、指標堅調で早期利下げ観測が後退」
1月は対円で4.79%高、12通貨中でもドルに次いで2位と強い。昨年からの流れが続いている。
1月の英消費者信頼感指数が、インフレ鈍化を背景に22年1月以来の高水準となったことも投資家心理を明るくした。1月の総合購買担当者景気指数(PMI)は前月から上昇。これらを受けて英中銀の早期利下げ観測が後退し、英ポンドがドルに対して上昇した。
今週の英中銀は政策金利を据え置くと見られているが、市場は今年の金融緩和の規模についての予想をさらに引き下げており、利下げ幅は1%未満となる見通し。年初から始まった急速な変化は12月のインフレ統計が予想を上回ったことで加速した。
さてハント財務相は、3月6日に予定されている春季財政報告で打ち出す経済成長押し上げ策に減税が盛り込まれるとの見通しを示した。年内実施が見込まれる総選挙の前に最後となる3月の財政報告の機会を捉えて、与党・保守党の支持率てこ入れを図るとみられる。ハント氏は英経済は「苦境を脱しつつある」と指摘。国民の負担を抑えながら、成長を促進する保守党の政策は効果を上げており、「この計画はうまくいっている。だからこそ堅持する必要があり、続けるべきは増税ではなく減税だ」と強調した。ただ 成長の低迷と実質賃金の下落が足かせとなり、保守党は世論調査の支持率で野党・労働党に約20ポイントの差をつけられている。
*豪ドル「通貨10位(9位)、株価12位(13位)、IMFは利上げ推奨。今週のCPI次第」
昨年同様に全体では強くはないが、円がさらに弱いので日本から見ると豪ドルは強く見える。アルバニーズ首相は、政府が提案した第3段階減税の変更案の可決を確実にする。見直し案では、収入が15万豪ドル未満の人はより大きな減税を受けることになるが、それ以上の収入の人は以前に約束したよりも少ない給付を受けることになる。インフレと力強さのない経済、財政規律の中での苦しい選択となる。
経済指標はマチマチだ。12月の企業景況感指数はプラス7と、前月から2ポイント低下した。1月製造業PMIは50.3と12月の47.6から大きく改善した。サービス業PMIは47.9と12月の47.1から小幅改善した。
今週は4Q消費者物価、12月消費者物価の発表がある。前回より上昇幅は縮小する予想だが、まだ目標の2-3%まだは遠い。IMFはインフレ率が2026年になって初めて目標の2-3%に戻ると予測している。これはRBAの2025年12月の予測よりも遅い。
IMFは、金利上昇により豪の金融状況は逼迫しているが、金利上昇は他の先進市場経済に遅れをとっていると述べた。
サービスインフレ率は高止まり雇用市場は依然逼迫しており、これによりインフレの低下がさらに鈍化する可能性があり「ベースラインで予測される2026年より早くインフレ率が目標に戻るよう、金融政策はさらに引き締められるべきだ」とした。
次回、政策金利決定はは2月6日だ。
*NZドル「通貨11位(10位)、株価9位(10位)、豪とともに景気の弱さは中国の景気減速にあり。インフレはまだ高く利下げは遠のく」
今年もNZドルは強くはない。12通貨中11位。下には円がいるだけだ。2023年3QのGDP成長率が前期比マイナス0.3%となったことを引きずっている。ウィリス財務相は経済状況が依然厳しい状況にあると述べた。また、長引くインフレに対応するための政策金利上昇が生活費の高騰で苦しむ家計を圧迫していると現在の状況を説明した。豪、NZともに以前ほどの景気の強さが見られないのは、やはり中国経済が数字が示すほどの強さがなく、豪、NZともに恩恵を受けていないのだろう。
さて23年4Qの消費者物価は前年比4.7%上昇し、予想と一致した。目標の1-3%に向け鈍化し続けているが、国内要因のインフレは高止まりしている。 ウエストパックは「インフレ率の国内要素と輸入要素の乖離は、中銀がバランスを取ろうとしている大きな懸念を浮き彫りにしている。今回の統計が示したのは低インフレではなくインフレ鈍化だとし、国内インフレは中銀が安心できる水準より依然高いと指摘。利下げは当面検討されないだろう」と述べた。
ASBのアナリストは現在、NZ中銀の最初の利下げが8月に行われると予想しているが、リスクは遅い開始に偏っていると述べている。
テクニカル分析
*ドル円「148を挟んでもみ合う」
日足、148を挟んでもみ合う。1月25日-26日の上昇ラインがサポート。1月23日-26日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。20日線上向き。
週足、ボリバン2σ中位越え維持。4週ぶり陰線だが下ヒゲ長い。1月15日週-22日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-1月22日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、実需の季節的ドル下げのデータ通り11月、12月は陰線。年初からはそのドル下げのデータはない。1月はここまで陽線。22年4月-12月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線上向く、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロドル「ボリバン下限で推移、雲中に落ちる」
日足、ボリバン2σ下限で推移、12月8日-月16日の上昇ラインがサポート。1月25日-26日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、雲中へ下落。12月11日週-1月23日週の上昇ラインがサポート。1月15日週-22日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
月足、11月、12月連続陽線も1月はここまで陰線。7月-12月の下降ラインが上値抵抗。10月-11月の上昇ラインがサポート。5か月線上向き、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。ボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。今年は陰線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポートできるか。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロ円「5日ぶり陽線、ボリバン中位は維持」
日足、5日ぶり陽線。1月25日-26日の上昇ラインがサポート。1月23日-26日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向く。
週足、ボリバン2σ下限から急回復。上位。1月15日週-22日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-1月22日週の下降ラインが上値抵抗。5週線が20週線を上抜く。
月足、11月-12月の下降ラインを上抜く。23年3月-12月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。24年も陽線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。