◉マレーシア、インドネシアのイスラム金融の動向


現在のイスラム金融の発端は、1973年の石油ショック後に世界中のイスラム諸国への経済援助と支援を目的とした「イスラム開発銀行」が設立されたことをきっかけとしています。
その後「ドバイ・イスラム銀行」や「バーレーン・イスラム銀行」が設立され、1983年にはマレーシアでイスラム銀行法が設立されました。中東産油国の経常黒字が世界のマネーを呼び込み、イスラム金融の発展へと繋がっていきます。

なお、マレーシアは、ドバイやバーレーンを凌ぐイスラム金融の世界的なハブを目指しています。政府と中央銀行が手を組み、国家プロジェクトとして取り組んでいます。
ちなみにイスラム金融の国別シェアは、1位がイラン37%、2位がサウジアラビア14%、3位マレーシア11%となっています(2007年末時点)。
マレーシア国内では、全銀行部門に占めるイスラム金融の割合は着実に増えていっており、2010年で約20%のシェアに拡大しています。そして、主なイスラム金融の貸出先は、個人ローンの36%であり、内80%が自動車ローンになっています。

インドネシアのイスラム金融の歴史は浅く、1992年に最初のイスラム銀行「インドネシア・ムアマラット銀行」が設立されました。その後、イスラム金融に関する基本方針を制定し、2008年には「金融の成長加速プログラム」も策定し、イスラム銀行資金は3年間で3倍になり、全銀行資産の5%以上に達するようになりました。
インドネシアは経済規模の拡大と共に、イスラム金融も拡大しています。


◉イスラム金融の今後について


先進国や中国経済の低迷とは裏腹に、イスラム金融は拡大しています。そして、豊潤な中東産油国の資本を元に、マレーシアやバーレーンも成長を続けています。

(ただし石油に関しては、シェール革命の動向次第で事情が変わるかもしれません。)

【参考】

シェール革命の動向と予測vol1〜主要各国への影響を比較してみた〜
シェール革命の動向と予測vol2〜影響を受ける産業って?〜

また、比較的歴史が浅い分、さまざまなテクニックを使って今後もイスラム金融の拡大は続きそうです。例えば国債にあたる「スクーク」やイスラム式投資ファンド、シャリアの仕組みや規格など、まだまだ発展の余地は大きくあるといわれています。
2013年3月にはエミレーツ航空(UAE)の発行するスクーク(イスラム債)が、中東の国際証券取引所ナスダック・ドバイへ上場されました。今後、世界のスクーク発行額は、2011年の850億ドルから2012年には64%増の1400億ドルに達すると言われています。

世界金融のボリュームから見れば確かにまだ小規模かもしれませんが、長期的にみれば影響力を拡大させる可能性が高いといえます。今の内からイスラム金融において学んでおくのも、将来の資産運用への布石として良いのかもしれませんね。

BY M.O

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