総括
FX「ドル円2月はデータ通り上昇スタート、今朝は好調パウエル議長登場」
ドル円=146-151、ユーロ円=158-163、ユーロドル=1.05-1.10
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨最下位(最下位)、株価2位(2位)、ドル円2月はデータ通り上昇スタート、貿易統計、新NISA、GPIF」
月足は12月陰線、1月陽線とデータ通り。2月も上中旬はドル高が多く、今年もそのようにスタート。FOMCと米雇用統計が毎年あっても、データが示す動きは変わらない。円は2月は1月同様に最弱でスタート。
貿易赤字幅は縮小したが、まだ大幅な赤字が続いている。今週は1月上中旬の貿易統計の発表がある。新NISAの海外投資信託への1月3400億円の流入ももちろん円売り要因だが、これは投信全体の1月残高からみないといけない。
円買い材料としては、リパトリや4月から開始されるGPIFの為替ヘッジがある。GPIFはもちろん、自身の収益にも影響する円買いは避けたく静かなオペレーションとなるが、少額ならばヘッジの意味もなくなる。また必ず模倣ファンドが出てくるだろう。
さて東京消費者物価や日銀の基調となる物価指標が低下気味でも4月には日銀がマイナス金利を解除する予想が高まってきている。物価の低下はガソリン補助金が4月で終了なので物価下支え要因となる。もちろん原油価格次第だ。賃上げも賃上げ減税もあるので企業は思い切ってやっている。問題は中小企業の賃上げ動向となる。マイナス金利解除は金融緩和でなく正常であり、預金にも付利されることとなる。それくらいの政策変更で日本経済ががたつくなら、先行きも危うい。
(仲値動向基本)
2/5(月)ゴトビ
2/6(火)通常
2/7(水)通常
2/8(木)通常
2/9(金)3連休前ゴトビ
*米ドル「通貨首位(首位)、株価(NYダウ)6位(8位)、好調米国。今朝はパウエル議長登場。懸念は中東、ウクライナ」
景気強くてインフレが低下。文句のつけようがない。外交や国内での大統領選へ向けての不安はあるが、やはり世界でも経済運営が優れている。敵対する国のリーダー達も米国で学んでいるものも多い。
それでも米国とその他の国との格差は広がり、中には米国に戦いを挑んで来るのだろう。今は敵対国も核を含め強力な武器もあるので、大惨事も起きる可能性はある。ただ暫くすればまた米国の経済がいち早く復活してくる歴史がある(9.11など)。
今朝はパウエルFRB議長のインタビューがあるが、自信を示す機会となる。先週起きたNYCBの不良債権問題や、それに関連してブラウン上院銀行・住宅問題委員長が、不良債権などから利下げを要求したFRBへの書簡に言及するかどうか。ただ米国株の勢いからは市場はそれほど気にかけていないようだ。
アトランタ連銀の1Q・GDPナウは4.2%と強く、クリーブランド連銀のCPIナウは下げ止まっている。CNNの恐怖と欲望指数は67とまだ過熱感はない。順調だ。中期的な問題ではないが、短期的には中東、ウクライナ問題か。それと日本から見ればたいしたことがないが、規律の厳しい米国にとっては政府機関閉鎖にも繋がる財政赤字の問題か。
*ユーロ「通貨6位(6位)、株価10位(7位)DAX)、牽引役のドイツ経済が弱い。ドルに差をつけられる」
対ドルでは週足で12月25日週の上位で出た長い上ヒゲでの下落が続く。対ドルで3週連続週足陰線で雲の中で推移。それでも週のボリバンの中位までの下落。全体では12通貨中6位。強いドルに対しては踏みとどまっている。めちゃくちゃ弱いわけではなく下には下がいる。週のボリバン2σ下限は1.04台。
弱い経済指標が続くが、デギントスECB副総裁も「今年のユーロ圏経済成長はECBの予測よりも弱い可能性がある。昨年12月以来、経済見通しは悪化している」と発言している。
ECBで最もタカ派のナーゲル独連銀総裁は、「ECBはインフレという「貪欲な獣」を手なずけることができた」した。 ただ 一方で、「利下げを支持するには程遠く、政策変更について各会合で判断し、今後発表されるデータに引き続き集中すべきだ。コアインフレ率が比較的高水準にあるとし、現在の政策スタンスはそれほど制約的ではない」と主張した。
力強い米経済による世界的な金利上昇でさらに弱い欧州経済が今後傷んでしまうリスクはある。
ユーロ圏の4Q・GDPは前期比横ばいとなり、リセッション入りをかろうじて回避した。独がマイナス成長となる一方でスペインとポルトガルが力強い伸びを記録した。イタリアも小幅増となった。昔は日本と同じく経済の牽引車と言われた独の状況の不安が続く。今週は今夜、ユーロ圏の12月PPIの発表がある。予想はかなり弱く前年比で10.5%低下。
*ポンド「通貨2位(2位)、株価16位(14位)、中銀は慎重な姿勢を維持」
先週は一時、年初来最強通貨となったが、米国雇用統計の強さで2位へ後退。3週連続対ドルで陰線のユーロと比べるとポンドドルの週足は横ばい状態でしっかりしている。
英中銀は、政策金利を5.25%に据え置くことを決定し、金融政策委員会9人のうち6人が賛成した。2人の委員が0.25%の利上げ、1人は5%への利下げにそれぞれ票を投じた。金融政策で利上げと利下げで意見が分かれることは珍しい。インフレの低下に重きを置くか、高いインフレ水準に重きを置くか。ただ多数は利下げ含みの据え置きであった。
IMFの2024年の成長予想は0.6%。ただ0.9%でも0.3%下方修正されたユーロ圏より勢いがあるということか。もちろん2.1%へ0.6%上方修正された米国にはかなわない。長期金利(10年債)は3.92%で独の2.23%より高い。IMFは反対しているが減税も計画されていることは金利の下げ止まりに繋がる。
米銀シティと調査会社ユーガブのインフレ期待が低下した。1年先のインフレ期待は昨年11月に3.9%、12月に3.5%と10月の4.2%から低下した。インフレ率は2Qに2%まで低下する見込みで、差し迫ったリスクは薄れつつあると見られている。
ベイリー中銀総裁は、インフレは「正しい方向に進んでいる」としながらも、中銀は慎重な姿勢を維持しており、インフレ率が目標の2%に向けて低下しても「仕事が終わった」わけではないと強調。「インフレが目標の2%まで低下し、その水準にとどまるという証拠を利下げ前に見極める必要がある」と述べた。
*豪ドル「通貨11位(10位)、株価9位(12位)、豪ドルは対ドルで弱い。5週連続週足陰線」
豪ドルは対ドルで弱い。5週連続週足陰線。先週は豪消費者物価の低下と生産者物価の上昇で下げて上げたが、最後は米雇用統計の強さで下落した。米国の成長率の強さにもかなわない。
23年4Qの消費者物価は4.1%で、3Qの5.4%から低下した。ただRBAの目標範囲である2-3%を上回っている。短期的には追加利上げの可能性は低いが、利下げはしばらく先になる可能性がある。
一方4Qの生産者物価は消費者物価と同じく4.1%であったが3Qの3.8%から上昇した。
今週のRBA理事会では政策金利は4.35%で据え置くと見られている。ラボバンクは「しばらくの間、政策金利は動かないと考えているが利下げを促す強い根拠も存在しない。RBAは物価上昇率が目標の中間に戻るとの確信を得られるまで、利下げしないだろう」と述べた。
豪の成長率はまだ3Qまでしか出ていない(4Q発表は3月6日)が3Qは前期比0.2%増と、予想の0.5%増を下回っていた。前年同期比では2.1%増加した。年間成長率が10年間平均の2.4%から鈍化しつつある。
貯蓄率は1.1%と8四半期連続で低下し、2007年以来の低水準に落ち込んでいる。住宅ローンの利払い負担増加とインフレ圧力で景気回復は遅れている。中国景気の鈍化も影響しているだろう。
*NZドル「通貨10位(11位)、株価8位(9位)、根強いインフレと景気減速懸念。強くなれないNZドル」
豪ドル同様に円よりは強いが、ドルの強さや中国景気の減速でNZドルは下位に低迷している2024年序盤だ。中国移民を受け入れば景気には良い影響はあるが、自由に不動産投機をされると、国民からは住宅価格急騰、金利負担増で不満が高まる難しい局面だ。経済が予想よりも弱いにもかかわらず、インフレ率を中銀の目標範囲である1-3%に戻すにはさらに時間が必要だとコンウェイ中銀エコノミストは述べた。
11月に中銀は、インフレ率を1-3%に戻すには政策金利を2024年まで5.5%に維持する必要があると述べた。しかし、経済が予想外に縮小したことや消費者物価指数が予想を下回ったことを示す12月のデータにより、早ければ5月にも、多くは8月に利下げが始まるとの期待が高まった。金融政策委員会の委員であるコンウェイ氏は、2月28日の政策決定についてコメントを控えた。市場の予想は据え置きだ。
コンウェイ氏は3Q・GDPの縮小は、需要の低迷だけでなく、経済の生産能力の低下も示していると述べた。
4Qのインフレ率は4.7%で、中銀予想の5%を下回ったものの、非貿易品インフレは中銀が予想したほど減速しなかった。国内の物価圧力を推定する非貿易品は依然として「粘り強く」、「2%には程遠い」とコンウェイ氏は述べた。
テクニカル分析
*ドル円「1月31日-2月1日の下降ラインを上抜く大陽線」
日足、1月31日-2月1日の下降ラインを上抜く大陽線。2月1日-2日の上昇ラインがサポート。1月23日-2月2日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。20日線上向き。
週足、ボリバン2σ中位越え維持。下ヒゲの長い実体は短い陽線。2週連続下押して戻す。1月15日週-29日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-1月29日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、1月大陽線。2月も陽線スタート。22年4月-23年1月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線下向く、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロドル「ボリバン下限、雲下」
日足、雲下へ下落。ボリバン2σ下限で越週、12月8日-2月2日の上昇ラインがサポート。1月24日-2月2日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、雲中。3週連続陰線。10月30日週-1月29日週の上昇ラインがサポート。1月15日週-22日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
月足、11月、12月連続陽線も1月は陰線。2月も陰線スタート。7月-12月の下降ラインが上値抵抗。10月-11月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。ボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。今年は陰線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポートできるか。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロ円「先週末は回復、雲の上を維持」
日足、雲の上は維持。2月1日-2日の上昇ラインがサポート。1月23日-31日の下降ラインを上抜く。1月23日-2月2日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向く。
週足、ボリバン2σ下限から回復も息切れ。ボリバン上位。1月1日週-29日週の上昇ラインがサポート。1月22日週-29日週の下降ラインが上値抵抗。5週線が20週線を上抜く。
月足、11月-12月の下降ラインを上抜く。12月-1月の上昇ラインがサポート。11月-1月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。24年も陽線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。