製造業のDXに対する取り組みについて、コアコンセプト・テクノロジー(CCT)CTOでKoto Online編集長の田口紀成氏が対談する本企画。第19回のお相手は、株式会社堀場製作所のディストリビューション&DX本部 DX戦略センターの栗田英正氏と船田紘平氏です。
堀場製作所は京都市に本社を構える、分析・計測システムを提供するリーディングカンパニーで、3つのフィールドベースでビジネスを展開。自動車・煙道排ガス測定、大気汚染・水質汚濁モニタリング、諸産業の品質管理、臨床診断において世界市場で強みを発揮しています。
また、同社はM&Aなどを通じて世界に約50のグループ会社を持ち、グループ従業員数8,432名(2022年12月31日現在)のうち約64%を外国人従業員が占めています。こうした中、統合化した基幹システムが必要だという声が上がったことから、本格的にDXを推進してきました。今回は、同社におけるDXに対する姿勢や取り組み事例について、お二人にお話を伺いました。
1993年、近畿大学理工学部卒業後、株式会社堀場製作所入社。情報システム部門でITインフラ運用やグループウェア展開に従事、SAPグローバル展開プロジェクトに参画した後、2020年よりICTサービス部 部長、2023年よりDX戦略センター長を担当。
2004年、立命館大学大学院理工学研究科修了後、株式会社堀場製作所入社。生産系システムの開発、開発・設計系システムの企画・開発などに従事。2020年よりデジタル戦略推進部 部長に就任し、全社情報システムの企画・開発を推進。
2002年、明治大学大学院理工学研究科修了後、株式会社インクス入社。自動車部品製造、金属加工業向けの3D CAD/CAMシステム、自律型エージェントシステムの開発などに従事。2009年にコアコンセプト・テクノロジーの設立メンバーとして参画し、3D CAD/CAM/CAEシステム開発、IoT/AIプラットフォーム「Orizuru(オリヅル)」の企画・開発などDXに関する幅広い開発業務を牽引。2014年より理化学研究所客員研究員を兼務し、有機ELデバイスの製造システムの開発及び金属加工のIoTを研究。2015年に取締役CTOに就任後はモノづくり系ITエンジニアとして先端システムの企画・開発に従事しながら、データでマーケティング&営業活動する組織・環境構築を推進。
目次
各部門のIT担当者を集約しDX戦略センターを設立
田口氏(以下、敬称略) 御社は、グローバルにビジネスを展開する分析・計測機器の総合メーカーとしてよく知られています。沿革や社内で行っている取り組みなどについて、簡単にお聞かせください。
栗田氏(以下、敬称略) 当社は1945年に創業者の堀場雅夫が、学生ベンチャーの先駆けとして創業した「堀場無線研究所」が前身で、1950年に国産初のガラス電極式pHメーターを完成させました。その3年後に堀場製作所を設立しています。
「おもしろおかしく」を社是とし、これを具現化するために従業員自らが意識と行動の変革を目的として業務改善などにチャレンジする「ブラックジャックプロジェクト(以下、BJ)」や、ダイバーシティを推進する「ステンドグラスプロジェクト」、従業員自らが講師となり培ってきた技術や知識を次世代に伝える「ホリバカレッジ」などの取り組みも行っています。
船田氏(以下、敬称略) また、トップとその月に生まれた従業員が交流する誕生日会も各拠点で開催しています。管理職は出席できず、役員と一般職員がダイレクトにコミュニケーションを図る、貴重な時間にもなっています。コロナ禍で一時中断しましたが現在は再開しています。
田口 お二方のキャリアや役職をご紹介ください。
栗田 私は1993年の入社以来、一貫して情報システム部門で業務に携わっています。1999年から3年間ドイツ子会社へ赴任し、帰任後は当社グループのSAPグローバル展開プロジェクトに参画、15年ほどそのプロジェクトに従事しました。2020年には社内情報システムとICTインフラの開発構築・運用保守を管轄するICTサービス部を担当、2023年よりディストリビューション&DX本部のDX戦略センター長を務めています。
船田 私は2004年に入社し、まずは生産現場でMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)の業務に携わりました。2009年から1年間海外研修にてフランスのグループ会社に赴任し、帰国してからはCADやPLMといった開発・設計系のシステムに携わり、2019年にはインフォマティクス推進部にて、製品のIoT化や製品に組み込むデータサイエンス関連、いわゆる製品のDXの業務を1年間担当しました。
その後、2020年に営業や生産、開発など全部署のIT部隊を統合する形でデジタル戦略推進部とICTサービス部に再編されました。現在私が所属するデジタル戦略推進部は情報システムの企画や導入プロジェクトの運営などを担い、実際に構築・運用するのはICTサービス部という形になっています。
田口 2つの部署は役割で分かれているのですか。
船田 「どんな家を建てたいか・住みたいか」という家の話に例えると、デザインの設計・交渉を担うのがデジタル戦略推進部で、実際に家を作りインフラを通して、トラブルが生じたら対処するのがICTサービス部です。設計と施工で分かれているイメージですね。
田口 事業側と社内のIT戦略を分けるのはよくあるパターンですが、今の体制にした意図はあるのでしょうか。
栗田 現体制の前身は、1990年代に全社業務改革を目的に設立された業務改革推進部です。この部門で全社的なIT推進が進められてきた一方で、企業規模が拡大する中で生産・開発部門にもIT機能が設置されるようになりました。2020年に全社最適視点でのIT戦略を進めるべく、各部門のIT機能を統合し現在の体制となりました。
船田 製品のIoT化やデータサイエンスは開発本部に残し、CADやPLMはこちらに統合しました。今はデータをつなげてこそですから、営業や開発、生産の部隊を集約した形です。
栗田 さらに2023年に社内DXの取り組みを加速すべく、デジタル戦略推進部とICTサービス部を統合する形でDX戦略センターが設立されました。
内製化の負担増をきっかけにDXへ注力
田口 本日は御社のDXに対する取り組みが大きなテーマですが、どういった経緯で推進することになったのでしょうか。
栗田 当社では早い段階から積極的なIT投資を進めてきており、1990年代より社内インフラの構築、2000年代にはSAPグローバル展開とさまざまな情報システム整備を継続的に実施し、2020年の現体制以降もこの流れは継続しています。
一方で、それら過去から導入・構築されてきたシステムは資産である反面、運用・維持の負担も大きく相当の社内リソースを要することになり、爆発的に収益性を高め生産性を上げる次の施策が打てていない状況を生み出しました。こうした流れを断ち切り、DX施策を推進すべく2023年にDX戦略センターが設立されました。
田口 過去に作ってきたITの運用コストは、割と大きいということですね。
栗田 そうですね。当社もSaaSなどのクラウドサービスへのシフトを進めていますが、グローバルSAPの他、開発・設計、生産系や営業系のシステムなど、内製開発されたシステムや社内で運用維持しているシステムをまだ多く抱えています。
新たなシステムを作れば作るほど、維持し続けることが求められますし、一方で新たな領域にも取り組む必要がありますので、限られたリソースの配分に配慮しなければなりません。
田口 実体としてコストセンターという理解のもと進めているのか、あるいはプロフィットセンター側のIT戦略であるのかではまったく話が異なります。ならば、コストとして見た時に外に出した方が好都合ということもあるでしょう。
景気変動で利益が出ない時などにどこでコントロールするかというと、変動費化されているところでせざるを得ません。私の立場からすると、そうしていただくのが良いという見解です。
船田 内製化を継続するには相当のリソースを確保しないといけませんが、最近はその人財はどこにいったのかというくらい足りていません。
田口 日本国内のITエンジニアはおよそ120万人で、そのうち半数はプロジェクトベースで働いています。よって、こういう人材を活用すれば、実質自分たちで内製化し変動費化することも可能です。いずれにしても内製化でDXを進めると、人員を変動費で抱えることもあれば、御社のように負担に感じることもあるなど、各社でグラデーションがかかっている状態だと思います。
栗田 内製を維持すべき領域も、もちろんあります。内製すべき領域とそうでない領域を明確にし、自社でやらなくても良い領域は外部パートナーを活用し、社内人財は内製で取り組むべき領域に集中できる体制をつくり、次世代につなげていく必要があると考えています。
田口 内製化してきたソフトウェアは、実態として各部門でお付き合いのあったシステムインテグレーターが手掛けてきた背景もあると思います。それゆえ、整えにくい状態であると想像しますが、いかがですか。
船田 当社は自前主義だった文化もあり、お抱えのシステムインテグレーターに丸投げということはなく、また、2003年に「ワンカンパニー宣言」という新しい経営方針のもと、グループ各社の横のつながりを強くするため、ERPとPLMなどの業務システムの整理を進めていました。
田口 背景としては、コストの最適化や戦略的にIT投資ができないという課題があったのでしょうか。
栗田 構築から保守までパートナーに頼っていたら、その領域はブラックボックス化し、何かあった時に自分たちで対応できないリスクを抱えます。完全に内製とはいきませんが、この部分は内製化、それ以外は外製化といったかじ取りが必要と考えています。
田口 エリアの特性もあるのでしょうか。私が見るに、京都のものづくりの企業は社内だけではなく、同じ京都のパートナーと一緒に進めています。
栗田 京都の企業とは情報交換する機会も多く、ITに関しては、先進的な取り組みをされている企業があり、学ぶべき点も多々あります。
船田 ものづくりに関しては、昔から付き合いのある協力会社がありますが、京都のパートナーだけというわけではありません。また、ITに関しては京都のパートナーというのはあまり意識していません。
DX最大の目的はデジタルによる業務改革
田口 御社は2023年に初めて「DX」を冠する部署を設立しました。それまでなかったのは、デジタル化に対するハードルや、DXという言葉を使うことに抵抗があったからでしょうか。
栗田 デジタルと言うとHowの話になりがちで、そうなりたくなかったという思いはあります。本質はデジタルでビジネスを変換(トランスフォーメーション)させることだと思いますし、私たちもそれを追求しています。
具体的には、プロセスや商流の改革、働き方の変革といったアプローチになりますが、それがない中でデジタルの言葉だけが先行すると、本質を外すのではないかと考え、今まではあえてDXという言葉を使っていませんでした。事業としても、お客様に提供する計測器のデータ活用や、計測器のリモートモニタリング・操作、サブスク型ビジネスでの測定データ提供など、デジタル化の取り組みは以前から継続しています。
田口 製造現場でデータドリブンマネジメントやマニュファクチャリングを実現するには、定量化が必須です。そして、定量化するには計測や分析した結果を数値として持つことが必要です。製造現場にDXを取り込むには御社の技術が必要になるため、取り組んでいないわけがないと思っていましたが、自然な形でデジタル化やデータドリブンをしているので、わざわざDXという言葉を使うこともなかったと感じます。
船田 ただし、生産現場ではまだまだ取り組みは進んでいません。当社のビジネスは個別受注生産が多いため、データは取るものの突き合わせて解析したり、活用する動きはまだまだこれからです。
田口 お客様からデータを取れるようにしてほしいという要望はありますが、御社の中で活用できるかと言うと、そうでもないのですね。
目標に対して、数字・データをもとに行動する
田口 Salesforceを導入されていますが、うまく活用できていますか。
栗田 導入はしましたが、マネジメントツールとして十分に活用するまでには至っていないのが課題です。
船田 例えば、自動車業界であれば、お客様にしっかりと密着した営業をしてきたので、上がってくるレポートを見てアクションを起こしていくような仕組みづくりはこれからといったところです。
田口 会社組織としては、特定の営業担当に依存する形では困ります。本来はデータで回せる状態が望ましいのでしょうね。
栗田 そういった考えは当然ながらあります。
田口 そうは言いながら御社の利益はすさまじく、その背景を知りたいと思いました。利益に対する感度は経営層だけが高いわけではないと思いますが、どこまで浸透しているのですか。
栗田 さまざまな数字・データを可視化し、各部門の予算管理にも活用しています。我々もIT部門としてITコストの適正化に加え、投資対効果の刈り取りについても厳格に評価しています。そういう点で、社内での数字とデータに基づいた動きはそれなりに実践されている一方で、会社全体として、数字・データだけではない、それ以外のプラスアルファも見るといった社風もあります。
田口 毎月の誕生日会のことも聞きましたが、経営層との距離が近く経営者目線になれる従業員も多い印象を受けました。
船田 経営層が現場の情報を吸い上げることを大事にしており、冒頭でご紹介したBJもその1つです。毎月、各部門で取り組んでいるテーマの中からその進捗や成果を発表する会があり、発表されたテーマの中からBJ賞を決めています。また、年1回は国内外から代表者が集まってワールドカップを開催するほどで、これは現場の改善活動を経営層が肌で感じたいという意思の表れだと捉えています。
田口 DXに関しても、経営層や現場の理解を得ながら進める工夫はされていますか。
栗田 DX戦略センターの設立前から、月例で経営層との会議体を持ち、将来の計画や戦略、取り組み中の事案、重要な課題などについて情報を共有する場を設けています。現場に対しても距離間を大事にし、状況を正確に把握すべく、現場に密着して取り組みを進めています。
ワンカンパニー宣言のもと、グローバル統合SAPを導入
田口 これまでに取り組んだ、DXの具体的な事例をご紹介ください。
栗田 グローバル経営基盤であるグループ統合SAPシステムの構築は、大きな意味でDXに取り組む最初のトリガーでした。
私が入社した1990年代初頭から、当社はM&Aを通じて事業を拡大し、グローバル展開を加速させてきました。事業規模の拡大が進む一方で、各社ではそれぞれが異なるERP・基幹システムを利用する状況が続いていました。
2000年代初頭、財務部門からグループ全体の経営管理に向けて、グループ統合基幹システムが必要との声が上がるようになりました。そして2003年のワンカンパニー宣言に合わせ、統合SAPシステムの導入を検討することが正式に決まりました。個別受注設計プロセスのSAPでの実現が最大の課題であったため、このプロセスのSAPでの実現性を評価したうえで、2005年からグローバル展開をスタートさせました。
ところが、当時のプロジェクト運営の問題で計画通り進まず、加えてリーマンショックの影響もあり、2009年にグローバル展開はいったん中断を余儀なくされました。その後、2011年に第2次プロジェクトとして再出発することになりました。
初回の展開の失敗要因は、グループのプロセス標準化検討が十分に行われていなかったことでした。そこで第2次展開の際は、海外拠点も含めた各社の業務プロセスオーナーが集まり、プロセス標準化について深い議論を行い、その結果をSAPのテンプレートに反映。これを2013年から2019年にかけてグループ各社に順次展開しました。
田口 差し支えなければ、テンプレートの内容をお聞かせください。
栗田 グループ共通の会計基準や標準業務プロセスを盛り込みました。例えば、HORIBAグループの会計基準コンセプトの反映、勘定科目の統一、決算プロセスそのものを標準化しました。生産であれば個別受注生産や標準品生産などパターンごとにシナリオを整備し、さらに各国の法定要件を反映する形でテンプレート化しています。
田口 これまでの導入実績はどのようになっていますか。
栗田 これまでにシングルインスタンスでのグループ統合SAPシステムを、16ヵ国20法人に導入しています。
田口 シングルインスタンスということは、どこかにサーバがあり、皆さんがアクセスしているわけですね。
栗田 そうですね。米州と欧州の複数拠点をカバーするため、24時間365日運用をフォローする必要がありますし、新しい要件に対応するとなると、それがグローバルに影響しないよう綿密に調整しながら対応を進める必要があり、神経を使います。
田口 これを動かし続けるのも、なかなか大変ではないでしょうか。
栗田 将来的にどうするか、議論を始めているところです。ただし、次の5ヵ年で会社が事業成長する間は、シングルインスタンスの基盤は不可欠であり維持継続する方針です。その後については具体的な計画はまだありませんが、2030年あたりのタイミングでは次の基盤について検討が必要になると考えています。
今後は各ERPベンダーがクラウドにサービスを移行していき、サービスのパッケージ化が進むと予想しています。そうなると、会計とその周辺の業務機能だけをERPに残し、ものづくりやお客様とのコンタクトなど柔軟性が要求される機能はERP以外が担うなど、構成を変えないといけない可能性もあります。
田口 SAPの導入以外にも取り組んだことはありますか。
栗田 グローバルでみると、Salesforce導入のほか、2019年にはコミュニケーション基盤としてOffice365のグローバル展開を実施しました。コロナ禍でTeamsが有効活用され、グループ全体で一気に浸透しました。
また、事業に貢献する取り組みとして、お客様との接点強化を目的に、販売会社をターゲットにした会員制のWebサイトを2022年にオープンしました。製品・サービスに関する情報の提供や、消耗品などのオンライン注文にも対応しています。
船田 現在は販売会社向けのサービスですが、今後はエンドユーザーを含めどこまでつなげていくのか、まさに今話をしているところです。
栗田 また、当社は個別受注生産が多いので、案件ごとにお客様と情報を共有できる基盤を構築する計画も進めています。
船田 また、従来のIT部門は、各担当がお抱えのシステムを持ち、新しい領域に手が出ることはありませんでしたが、今の組織になってからはチームのメンバーが現場へ行ってネタを探し、設備からのデータ収集やセルフBIツールによる可視化や品質改善への活用など、事例を積み上げながらDXを進める文化を作るようにしています。
DXは手段にすぎず目的を見失わないこと
田口 今後の展開や目指すべき姿について、お聞かせください。
栗田 当社では2024年より新たな中長期経営計画がスタートしますので、DXについても同様に新たな戦略を検討しているところです。まだ議論中ですがいくつか軸はあり、次の5ヵ年でHORIBAグループのグローバルな事業成長をより進めると考えた時、未導入の主要拠点を中心にSAPのグローバル展開をはじめ、グローバルサプライチェーンの強化にも取り組みたいと思っています。
また、当社の開発・生産拠点は国内外に点在しているため、ものづくりの基盤・体制も強化していかなければなりません。これからの事業拡大を限られた人的リソースで実現する必要があり、グループ全体で生産性を向上すべく、AI活用など有効な手段は積極的に取り入れたい考えです。
田口 IT人材については、どうお考えですか。
栗田 IT人財確保は大きな課題ですし、限られたリソースですべて内製化するのは難しいので、外部パートナーとの関係をより強化し、パートナーに委託する範囲・量を増やしています。それにより創出した時間で、社内IT人財には新しい取り組みにチャンレジしてもらい、IT技術力を強化するとともに、業務・事業の課題解決力も強化していきたいと思います。主体的にDXを推進する人財の育成が目標です。
船田 現在、2004年頃に構築したPLMとMESの刷新を開始しており、次世代のIT部門のリーダー候補を中心にプロジェクトを進めています。現場では、昔は生産のすべてを把握している従業員がいましたが、今は事業が大きくなり自分の仕事を見るだけで精一杯です。そのため、このタイミングで次のリーダー候補を出してもらってアサインし、総勢70名規模で刷新に取り組んでいます。
田口 DXをスムーズに進め、成功させる秘訣はありますか。
栗田 まだ道半ばですから、私が田口さんにお聞きしたいくらいです(笑)。ただ、DXは手段であり本質はビジネスのトランスフォーメーションであるという意識は重要だと思います。目的はビジネスの変革なので、課題意識を見失ってはいけません。
船田 工場のデジタル化は、グローバルで戦うための大前提です。ただし、そこになかった文化を作るには小さなことから取り組み、成功を積み重ねていくことです。効果を確認しながら規模を拡大していくのが良いと思います。
田口 最後に、Koto Onlineの読者へメッセージをお願いします。
栗田 デジタル技術を活用しビジネスを変えることで、会社や従業員、お客様、そして社会に価値をもたらすという目的・ストーリーを見失わず、今後も取り組みを継続していきたいと思います。
船田 チームメンバーから、自分のしていることが会社のビジネスにどうつながっているのかイメージがわかないという悩みを聞いたことがあります。とりわけ今の若い世代は社会貢献に対する意識が高く、何かヒントを与えることが大切だと思います。
田口 DXがうまくいっている会社の共通点は、マーケットとの距離が近いこと。Z世代はこれに敏感で、距離が近いほど定着性が高くなると統計に表れているほどです。情報システムの業務は中にこもりがちですが、目的意識を持ってもらうことは重要だと感じます。本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
【関連リンク】
株式会社堀場製作所 https://www.horiba.com/jpn/
株式会社コアコンセプト・テクノロジー https://www.cct-inc.co.jp/
(提供:Koto Online)