マテハンとは「マテリアルハンドリング」の略称で、物流現場で業務の自動化・効率化に使用する機械類を総称してこのように呼ばれています。「マテハン」と呼ばれる機器には、保管・運搬・仕分け・梱包など多種多様な用途のものがあります。この記事ではマテハンの意味と導入するメリット・デメリットについて解説し、マテハンとして活用されている機器を具体的に紹介します。

目次

  1. マテハン(マテリアルハンドリング)とは?
  2. マテハンが活用される主な業務5種類
  3. 積み込み・積み下ろしに関するマテハン(マテリアルハンドリング)
  4. 運搬・搬送に関するマテハン(マテリアルハンドリング)
  5. 保管に関するマテハン(マテリアルハンドリング)
  6. 仕分け・ピッキングに関するマテハン(マテリアルハンドリング)
  7. その他、梱包・ラベリングなどに関するマテハン(マテリアルハンドリング)
  8. マテハンを取り巻く物流業界の課題|物流の2024年問題とは
  9. マテハン(マテリアルハンドリング)の今後の展望
  10. まとめ

マテハン(マテリアルハンドリング)とは?

マテハン(マテリアルハンドリング)とは?意味と機器の種類を解説
(画像=MuhammadShoaib/stock.adobe.com)

ここでは「マテハン(マテリアルハンドリング)」とは何か、概要と定義を解説します。

マテハン(マテリアルハンドリング)とは|定義と概要

番号用語定義対応英語(参考)
5001荷役(にやく)物流過程における物資の積卸し,運搬,積付け,ピッキング,仕分け,荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業。マテリアルハンドリングともいう。materials handling
5002運搬物品を比較的短い距離に移動させる作業。生産,流通,消費などいずれの場合にも用いられる。マテリアルハンドリングともいう。carrying,
materials handling
番号用語定義対応英語(参考)
3047マテリアルハンドリング製造に用いる材料,部品,半製品などの物品の移動,搬送,取付け,取出し,仕分けなどの作業及びこれに伴う作業。materials handling

「マテハン」とは「マテリアルハンドリング」の略称で、主に物流業・製造業の現場で使われる言葉です。物流や生産プロセスにおいて、物品や素材の移動、保管、仕分け、梱包などを行う作業全般を指します。物流の現場ではマテハンの対象は物品、製造の現場では材料や部品・製造途中の半製品などであり、それらを「運搬」することや、運搬に付随する作業全般をいいます。

日本工業規格(JIS規格)では物流・FA(ファクトリーオートメーション:工場の自動化)用語として定義しています。FA用語となっていることからもわかるとおり、単純な運搬というよりは省人化や省力化、生産工程の自動化による物品移動の改善や向上において用いられる用語といえます。

現場において「マテハン」と言う場合、マテリアルハンドリングを行う「システム」や「機器そのもの」を指すことが多いようです(「マテハン機器」「マテハン設備」のようにも使う)。他に、物流業務に関する広い範囲を指すことから「運搬管理」とされることもあります。

一方で、マテリアルハンドリングという言葉自体は「運搬」「移動」「仕訳」などと先ほど定義されていましたが、現場で何かを運搬するよう指示するときに「マテハン(する)」などとは言わないため注意が必要です。

マテハンの歴史と現状|マテハン機器の重要性と必要性

物流の概念は、日本においては江戸時代頃から水運を活用した物品の流れとして確立されており、戦後、物流のためのインフラストラクチャの整備が進められます。近代以降は米国フォード社で導入された流れ作業でマテハンは活用されるようになり、物流分野・製造業での重要性が増していきます。

マテハンに該当する機器や設備は現在、効率的な物流を実現する上で欠かせない存在です。例えば、フォークリフトやコンベアなどの機器を使用することで、大量の荷物を素早く移動させることができます。また正確なピッキングや梱包作業を行うためには、自動仕分け機や自動梱包機などの機器が不可欠です。

現在のマテハン業界では、自動化やロボット技術の進歩により、より効率的な物流の作業が実現されつつあります。さらにIoTやAI(人工知能)の活用により、作業の見える化やデータ解析が可能となり、効果的な物流管理が行われています。

マテハン(マテリアルハンドリング)導入のメリットとデメリット

マテハンの導入のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 省人化・省力化が進むため作業時間や人件費の削減が実現され、作業効率が向上する
  • 作業が自動化されることで作業員の負担や危険な作業が減少し、安全性が向上する
  • 自動化された作業によって工程の後戻りがなくなり、品質管理が向上する

一方でデメリットもあります。

  • マテハンの導入には高額な投資が必要となる場合がありコストがかかる
  • 定期的な保守点検(メンテナンス)が必要であり、その負担がかかる。また定期的な更新や、老朽化した場合は置き換えが必要

マテハンが活用される主な業務5種類

マテハン機器・システム・設備などには具体的にどのようなものがあるか紹介する前に、マテハンが関連する物流・製造業の作業について解説します。

マテハンの作業分類

上記、日本工業規格の用語説明にもあるとおり、マテハンの作業は、物流用語、FA用語では大きく3つに分かれています。

  • 荷役:物資の積卸し・運搬・積付け・ピッキング・仕分け・荷ぞろえなど
  • 運搬:材料や部品、半製品など物品の比較的短い距離への移動・搬送など
  • 保管:一時的に物品を格納し、入出庫・保管・管理を行う

さらに工程別に分類すると、以下の5つに大別できます。

マテハンの主な業務5種類

①積み込み・積み下ろし

積み込み・積み下ろし作業は、製品や素材を輸送用の容器に積み込んだり、取り出したりする作業です。パレタイザやフォークリフトなどの機器が使用されます。

②運搬・搬送

運搬・搬送作業は、製品や素材を移動させる作業です。搬送系ロボットなどが使用されます。

③保管

保管作業は、製品や素材を一時的に保管する作業です。スチールパレットのネステナー(ネスティングラック/ネスラック/スタックテナー/テナーなど呼称は多様)などが使用されます。一連の保管業務を自動化した自動倉庫もあります。

④仕分け・ピッキング

仕分け・ピッキング作業は、製品や素材を適切な場所に仕分けたり、取り出したりする作業です。これには、ソーターなどの機器が使用されます。

⑤その他、梱包・ラベリングなど

梱包作業は、製品や素材を適切な包装材で包み、出荷用の容器に詰め込む作業です。梱包には、自動製函機やエアー緩衝材製造機などの機器が使用されます。ラベル自動貼付機にはオートラベラ―などがあります。

積み込み・積み下ろしに関するマテハン(マテリアルハンドリング)

ここからは前章で分類した5つのマテハンの種類について、具体的なマテハン機器を順に紹介します。積み込みと積み下ろしに関連するマテハンには以下のようなものがあります。

パレタイザ・デパレタイザ

パレタイザは、箱詰めされた荷物類(製品や素材)をパレット上に自動的に積み上げる装置です。デパレタイザは、パレットに積まれた製品や素材を自動的にバラしておろす装置です。

フォークリフト

物流で用いられるフォークリフトは、パレットなどの荷物を持ち上げ、運搬するための機械です。大きく分けて「カウンター型」「リーチ型」があり、さらに様々なタイプやサイズのものがあります。倉庫や工場などで広く使用されています。

バンニング/デバンニングシステム

バンニング/デバンニングシステムは、主に輸出貨物などの荷物を積み込む作業(バンニング)または輸入貨物をコンテナから降ろす(デバンニング)作業を行うシステムです。効率的な積み込み・積み下ろしが可能です。

運搬・搬送に関するマテハン(マテリアルハンドリング)

運搬や搬送に関連するマテハンには以下のようなものがあります。

カゴ台車(カゴ車・ロールボックスパレット)

カゴ台車は、製品や素材を運搬するための台車です。さまざまな形状やサイズがあり、作業現場に応じて選択されます。

搬送系ロボット

マテハン(マテリアルハンドリング)とは?意味と機器の種類を解説
(画像=angkhan/stock.adobe.com)

搬送系ロボットは、製品や素材を自動的に運搬するためのロボットです。無人搬送車(AGV)などが含まれます。

コンベア(コンベヤ)

コンベアは、製品や素材を運搬するためのシステムです。製造ラインや倉庫で広く使用されています。自動化された高速コンベアシステムなどもあります。

天井走行車

天井走行車は、天井に設置されたレールを走行する搬送装置全般を指す呼称です。倉庫などの狭い空間でも効率的な運搬が可能です。メーカー各社によって呼び方が異なり、「天井走行式無人搬送車」「天井走行台車」「天井走行リフト」などさまざまな呼び名があります。

AGV(無人搬送車/無人搬送ロボット)

AGVは「Automatic Guided Vehicle」の略で、一般的に無人搬送車もしくは無人搬送ロボットと呼ばれます。人間の手を介する必要がなく自動で走行できるマテハン機器を差し、走行ルートや移動範囲によって、AGV、RGV、AMRの種別に分けられます。

保管に関するマテハン(マテリアルハンドリング)

保管に関連するマテハンには以下のようなものがあります。

ネステナー

マテハン(マテリアルハンドリング)とは?意味と機器の種類を解説
(画像=makotomo/stock.adobe.com)

ネステナーは、製品や素材を効率的に保管するためのスチールパレット(鉄製の容器)です。複数のネステナーを縦に積み重ねて・横に並べ、パレットに載せた貨物を枠内と上に格納します。縦にネステナーを積み重ねることで、倉庫内の天井までの空間を無駄なく有効活用できます。

仕分け・ピッキングに関するマテハン(マテリアルハンドリング)

仕分けやピッキングに関連するマテハンには以下のようなものがあります。

ソーター(仕分けシステム・自動仕分け機)

ソーターは、製品や素材を自動的に仕分ける装置です。光学センサーやカメラを使用して、製品の種類やサイズに応じて仕分けられます。近年では大型倉庫などで使われるコンベヤタイプだけでなく、ロボットタイプも使われています。

デジタルアソートシステム/DAS (Dynamic Allocation System)

DASは、倉庫から商品を出荷する際の業務(ピッキング作業)の効率を向上させるシステムです。在庫情報や注文情報をリアルタイムで分析し、最適なピッキングルートを提供します。「種まき式」と呼ばれる仕組み(商品を認識するとボックス上の表示器に同商品の投入数を表示するシステム)です。

DPS (Dynamic Picking System)

DPSは、作業員が集品箱を持ち、商品をピッキングしていく「摘み取り式」のシステムです。仕入れ先を指定すると、対象の商品が入っているボックスの表示器が光り、ボタンを押すことで摘み取り数を表示します。

その他、梱包・ラベリングなどに関するマテハン(マテリアルハンドリング)

梱包やラベリングなどに関連するマテハンには以下のようなものがあります。

自動製函機(ケースフォーマー)

自動製函機は、折り畳まれたままの平面状態の段ボール箱を、荷物などを入れられるよう組み立てる作業を自動で行う装置です。導入することで梱包作業の省力化、省人化、コストダウンが可能です。また人的ミスも防ぐことが可能になり、生産性が向上します。

自動封函機(封緘機・自動梱包機)

封函(ふうかん)とは、箱を封じることです。自動封函機とはこの作業を自動化したもので、ライン上に流れてくる段ボール箱の片面を折込み、閉じます。決まった大きさ・同じ形状の箱しか封函できないものから、箱の大きさや形状が複数ある場合にも使えるもの(ランダム封函機)など、さまざまな種類・能力のものがあり、必要な仕様に合わせたシステムを選ぶ必要があります。

オートラベラ(オートラベラ―)

オートラベラは、製品などにラベルを自動貼付する装置の総称です。製品の供給からラベルの貼り付けまで全て自動のものと、製品の供給だけは手動で行うものがあり、後者は半自動ラベラーとも呼ばれます。

マテハンを取り巻く物流業界の課題|物流の2024年問題とは

自動車運転業務の時間外労働時間の上限規制が、働き方改革関連法により2024年4月から適用されます。これにより、物流業界にはさまざまな問題が生じると懸念されています。

日本の物流を担う多数のトラックドライバーの時間外労働時間が削減されることで、企業やドライバーの収入が減るなどのリスクが考えられます。また運転時間が減るため実際に運搬できる物量が減るおそれもあります。

この問題に対応するための方策としては、人材確保や問題意識を広く一般に共有するための広報活動のほか、システムの活用があります。自動化が進むマテハンによって効率化・省力化・省人化が叶えば、業務効率化となり、不足する人材の募集も容易になる可能性があるといえるかもしれません。

(参考)公益社団法人 全日本トラック協会「物流の2024年問題を知っていますか?

マテハン(マテリアルハンドリング)の今後の展望

マテハンに関する技術は、さらなる進化を続けると予想されています。特に、IoTや人工知能の技術を活用した自動化や効率化が進むことで、物流業界の生産性や効率性が大幅に向上すると期待されています。

21世紀になった現在、システム化、IT (情報技術) 化、そしてグローバル化が進むに伴って、企業経営においてはDXで課題を解決するビジネスの在り方が主流となりつつあります。特に、物流を高度化して総合的かつ戦略的な経営管理体制(=ロジスティクス)においては、マテハンは要となる技術といえます。

元来ロジスティクスとは、企業内で考えるべき「物流の最適化」を意味します。しかし現在はロジスティクスの意味は広がり、物流だけでなく物流を取り巻くステークホルダー(原材料提供者、生産者や開発者)を包括し、マーケティング、保守点検なども含めたプロダクトライフサイクルを最適化することから「サプライチェーンマネジメント 」につながる考え方となっています。モノの流れを一元管理し、より効率化・最適化する考え方ともいえます。

優れたロジスティクス・システムを構築するために、マテハンは今後、ますます重要度を増してくると予想されます。そのため物流・製造業界内での活用だけにとどまらず、ITによる新しいソリューション・ビジネスと連携し、社会全体の発展を担う可能性があると期待されています。

(参考資料)
「我が国におけるマテリアルハンドリング企業の生成と発展に関する研究ー前史」,藤江昌嗣, 明治大学経営学研究所,『経営論集』68巻第4号,2021年3月,p1-p85
「物流におけるマテリアル・ハンドリングの機能に関する研究一海外のマテハン動向も踏まえて-」,丹下博文,愛知学院大学,『経営管理研究所紀要』第18号2011 年12 月,p43-p56

まとめ

マテハン(マテリアルハンドリング)は物流業界や製造業において欠かせないものであり、効率的な物流作業や省人化・省力化・効率化による生産性の工場、さらにその先のロジスティクス・システム構築を実現するための重要な要素です。様々なマテハン機器や作業が存在し、それぞれの役割に応じて適切に活用されています。今後もマテハンはニーズの変化に柔軟に対応して進化し、より効率的な物流システムを構築することが求められます。

(提供:Koto Online