本記事は、藤井孝一氏の著書『本当に頭のいい人が実践している AI時代の読書術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
本をアクティブに読む
いよいよ実際に読んでいきます。繰り返しますが、AI時代の読書は、脳トレが目的です。ポイントは、アクティブに能動的に読むことです。そのためにはアウトプットを前提にすることです。
読書は、どうしても受け身になりがちです。著者の講義を一方的に聴くように、字面を追うだけになりがちです。結果、著者の思考の後追いになります。もちろん、それでも効果はありますが、さらに効果を高めるには、アクティブに読むべきです。内容の理解が進み、気づきも得やすくなります。重要な箇所を繰り返し読んだり、考えたりすれば、さらに理解が進み、深く脳に刻まれ定着します。文章をじっくり読むため、語彙力や表現力も向上し、自分の意見やアイデアを表現する力もつきます。
◎「熟読」と「流し読み」を使い分ける
ただし、分厚い書籍を最初から最後までアクティブに読むことは現実的ではありません。
アクティブに読む際は、立ち止まって考えたり、メモをとったり、調べものをしたり、要約したりするなど、追加の作業が色々と必要になります。そのため、普通に読むより、時間とエネルギーを要してしまいます。
また、こうした作業は読書の流れを妨げ、著者の理論を見失わせてしまいます。さらに、注意深く読むことでストレスもかかります。その結果、読書が苦痛になってしまい、読むのを止めてしまうとしたら、本末転倒です。
授業を受ける時も、絶えず緊張感を持って前のめりで聞いているわけではありません。
普通は、講師の話を受動的に聴きながら「ここは重要そうだ」とか「テストに出そうだ」という箇所になったところで、覚醒し、集中して聴くはずです。さらに大事なところは、後で参照できるようにノートに記録したりするのです。最初から最後まで、講師の話を一言一句聞き漏らさないように集中することはできないからです。
読書も同じです。
◎「流し読み」で熟読すべき箇所を選別する
まず、熟読すべき箇所を選別するために読みます。ここで役立つのが「流し読み」です。
どこをじっくり読むかを見つける目的で読むのです。そして「これは」と思う箇所を見つけたら、立ち止まり「熟読」するのです。
まず、目次を頭に入れたら、読み始める場所を決めます。すでに述べた通り、頭から読む必要はなく、目次の段階で気になるところから読めばいいのです。特になければ、頭から読んでいきます。
この時は、あまり深く考えず、全体の流れをつかむつもりで字面を追っていきます。その際、役に立つのがペンと付箋です。これはという箇所を見つけたら、すかさず印をつけます。後で見失わないための目印ですから、簡単で大丈夫です。
大事なことは、目だけで読むのでなく、手を動かしながら読んでいくことなのです。
◎重要箇所を能動的に「熟読」する
こうして読む中で、気になる箇所を見つけたら、そこは能動的に「熟読」します。その際は、著者と対話するように読むことです。たとえば、著者に質問したり、共感したりしながら読んでみます。著者の主張や論理を
仮に著者の主張に納得できないなら、その理由を考え、自分なりに反論してみます。そのためには、他の文献を参照したり、インターネットを活用したり、場合によってはAIを活用したりする必要もあるかもしれません。
こうして著者と対話するように読むことで、読書は能動的な取り組みになります。実際、書籍の中には、読者と著者の対話形式で書かれたものもありますが、これは対話が理解を促す上で有益だからです。
また、重要箇所は、書き出してみたり、自分が理解しやすいようにまとめ直したりします。時には、自分で図解したり、著者の表現を自分なりの表現に変えてみたり、内容について仮想の相手に講義してみたりすることもあります。このように、重要箇所に徹底的にじっくり関わることで思考力を鍛えます。
ただし、時間も集中力も限られるので、熟読は重要箇所に限ります。そのためには、重要箇所を見つけるための流し読みが必要です。こうして流し読みと熟読を組み合わせて読み進めることがアクティブな読書には必要なのです。
- ワンポイント
- 「流し読み」と「熟読」を組み合わせてアクティブに読む
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