保有しているアクティブ・ファンドは、どのようなタイミングで売却すればよいでしょうか。
投資信託にはアクティブ・ファンドとインデックス・ファンドがあり、それぞれ運用方針や信託報酬の傾向が異なります。一般的に、アクティブ・ファンドは市場平均(株価指数など)を上回る成果を目指す代わりに、信託報酬がやや高い傾向にありますが、インデックス・ファンドと比べて損をしやすいわけではありません。
投資信託で期待できるリターンは、最終的に運用実績やパフォーマンスの影響を大きく受けます。つまり、アクティブ・ファンドないしインデックス・ファンドだからこその売り時があるわけではなく、ファンドを保有したときに売り時をどのように考えるかが重要です。
本記事ではアクティブ・ファンドを中心に、保有ファンドをいつ売ればよいのかについて解説します。
ファンドの売り時5選

売り時1.目標利益が実現できる時
購入する時点で目標利益額を設定しておき、それを達成した時が売却のタイミングです。上昇局面では「まだ上昇するかもしれないから売却しないでおこう」などと踏ん切りがつかず、売り時を逃して逆に損失を被ってしまうこともあります。最初から目標金額や節目となる金額を決めておけば、基準価額の動きに心惑わされずに、機械的に利益確定をしていくことが可能となるでしょう。
売り時2.運用予定期間が到来した時
住宅の購入や子供の進学、さらに老後の生活資金など、まとまった資金が必要になる時期に備えて運用する場合は、そのタイミングまでが運用期間となります。運用期間が到来すれば、ファンドを売却して現金化することになります。
ただし、売却時に基準価額が大きく下落している場合も考えられますが、その後の上昇や回復が見込まれるのであれば、まずは必要となる金額分のみ売却するという方法もあります。
売り時3.より魅力的な投資先がある時
相場によっては、株式や債券、不動産といったほかの投資対象の方がパフォーマンスが良好な時期が訪れるかもしれません。よりパフォーマンスがよい新たな投資対象に乗り換えるためには投資資金が必要です。投資資金を準備するために、保有しているファンドの売却を検討しましょう。
売り時4.ファンドの成長性が期待できなくなった時
購入した当初は良好なパフォーマンスであっても、時間経過とともに経済環境や社会情勢が変化すると、将来のパフォーマンスが期待できなくなることがあります。
たとえば、急激に円安が進行して輸入物価が上昇し、海外の製品・食料を輸入している小売業は値上げできない経済環境だった場合、利益が圧迫され、株価にまで影響を与えるかもしれません。このような銘柄が多く含まれているファンドの場合は、将来のパフォーマンスを悪化させる可能性があります。該当ファンドの成長性が期待できなくなったら、値動きに影響を与える情報やデータを収集した上で売却を検討してみましょう。
売り時5.ポートフォリオをリバランスする時
複数の金融商品に分散して投資する場合、自身の投資目的やリスク許容度に適した資産配分(ポートフォリオ)にすることが大切です。時間経過とともに各資産の価格が変動し、当初定めた資産配分比率から乖離していくことがあります。資産配分を定期的に調整することで、当初のポートフォリオに戻す作業をリバランスといいます。ポートフォリオ内のファンドの基準価額がほかの資産と比べて上昇していくと、当初予定していた配分比率を上回ることになりますので、一部を売却することでリバランスが行われることになります。
ファンドの売却で失敗を防ぐポイント
投資信託の売り時が訪れても、保有ファンドを焦って売却すると失敗することがあります。ここからは、ファンドの売却で失敗を防ぐ2つのポイントをご紹介します。
値動きが一時的かどうかを判断する
基準価額が上昇または下落した場合は、その値動きが一時的かどうかを判断することが重要です。たとえば、値下がりの直後に焦って売却をすると、パフォーマンスが改善されたときに損をするかもしれません。
また、基準価額の上昇がしばらく続く場合も、すぐに売却をすると損につながってしまいます。相場状況によって向いている戦略は変わるため、「値動きしたから手放す」のように安易に判断することは控えましょう。
短期的な値動きで一喜一憂せず、その後の値動きを冷静に分析することがポイントです。
一部だけ売却することも考える
ファンドの売り時が訪れたときに、全ての保有銘柄を手放す必要はありません。10%ずつや半分ずつのように、一部だけ売却する選択肢もあります。
売却する分を一部に留めると、ファンドが値上がりしたときに恩恵を受けられます。また、売却自体をしなかった場合に比べて、一部を手放している影響で損失のリスクを抑える効果も期待できます。
特に相場状況が不安定な局面では、リスクを抑えるために一部を売却し、様子を見ながら残りの保有分を売却するタイミングを見定めたり、同じ銘柄に再投資したりする方法がひとつの選択肢になります。投資戦略の幅が広がるため、売り時が訪れたら一部売却も意識してみましょう。
まとめ
購入タイミングと同様に、売却タイミングも重要です。
投資家各々の置かれている状況や投資の目的によって最適な売り時は異なるので、買い時よりも判断が難しいといえるでしょう。いざ売却しなければならなくなった時に初めて売却するタイミングを考えるのではなく、最初に保有する時点で「どういう状況になったら売却するか」を考えておくことで、ファンドの売り時に悩むことは少なくなるかもしれません。
※本記事はファンドに関わる基礎知識を解説することを目的としており、ファンドへの投資を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)