鹿児島を拠点にする百貨店の山形屋は5月10日、私的整理手法のひとつである事業再生ADR制度の手続きに入ったことを明らかにした。事業再生ADR制度とは、中立な専門家が金融機関などの債権者と債務者との間の調整を実施し、企業の早期事業再生を支援するためのもの。山形屋の金融機関への負債総額は約360億円と見られ、メインバンクの鹿児島銀行などの金融機関らの支援を受けて再建を目指す。
山形屋は1751年に初代源衛門が紅花仲買と呉服太物行商として創業し、1772年に山形屋と称した。2022年は367億円の売上高を計上するも新型コロナウイルスの影響からの立ち直りに難航し、経営状態が悪化していた。コロナが大きな社会問題になっていた2020年6月には、山形屋のテナント従業員がクラスターが発生したショーパブで感染し、臨時休業する事態となり、全国的なニュースにもなった。
山形屋が同日発表した声明によると、収益性確保と資本強化、そして持続的成長を目的とした、より確実性の高い事業再生計画案の策定に取り組でいるとしている。山形屋は2023年4月時点で従業員は733名おり、今後は人員の見直しなども計画していくとみられる。