雑誌「ハルメク」を発行するハルメクHDの2024年3月期決算は最終利益が前年比61%減と大幅減
2023年3月23日の東京証券取引所グロース市場への新規上場時(画像=「セブツー」より引用)

ハルメクホールディングス(以下、ハルメクHD)は5月15日、2024年3月期の通期連結決算を発表した。売上高にあたる売上収益は314億1500万円(前年比9.3%増)、営業利益は8億5700万円(同57.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4億7600万円(同61.9%減)と増収増益だった。

シニア女性に向けた雑誌「ハルメク」の印刷証明付き発行部数は488,667部(2024年1〜3月)と出版不況にも関わらず大部数を維持しており、これにより主力のハルメク事業が好調だった。しかし、売上収益は前年比で8.9%増となる240億2900万円まで伸ばしたものの、広告効率の悪化によりセグメント利益は同22.9%減となる11億1600万円だった。

全国通販事業は、アパレルを中心にオリジナル商品を増やし、新聞広告も積極的に投下したことから、新規顧客を順調に獲得し、売上収益は前年比10.2%増となる77億2100万円だった。一方、セグメント利益は広告投下量と比例してコストが増え、同64.7%減となる3000万円だった。

2023年秋以降、コロナ禍が落ち着いたことから広告効率やカタログ効率が低下し、前年から4億1000万円減少しており、さらにシステムの除去損失として5億7000万円を計上したことで、営業利益は前年比で大幅に減少した。

ハルメクHDは、2023年3月23日に東京証券取引所グロース市場に新規上場を果たし、「ハルメク」はシニア向け雑誌としてはナンバーワンのポジショニングを築いている。同社サイト「ハルメク365」は、小泉今日子の連載がスタートするなど、コンテンツも充実している。今期は65歳以上のアクティブシニアをメインターゲットとするアナログの基盤事業は安定成長を目指し、50歳代のプレシニアをターゲットにしたデジタル事業に先行投資していく考えだ。

ハルメクHDは同日、2025年3月期の通期業績予想を発表した。売上収益は340億円(前年比8.2%増)、営業利益は10億円(同16.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は6億円(同26.6%増)を見込む。すでに2024年1月に「ハルメク」の定価を690円から720円に変更しており、値上効果もあり今期は増収増益を予想している。