ホンダの最上位ミニバンとなるのが「オデッセイ」です。そのライバルと言えるのが、トヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」の兄弟車、そして日産の「エルグランド」です。「アルファード」と「ヴェルファイア」は兄弟車ですから、比較車として「アルファード」に絞って、「オデッセイ」と「エルグランド」「アルファード」の3車を比較してみます。文・鈴木ケンイチ/写真・PBKK
3モデルのリリースのタイミング
ホンダの「オデッセイ」は、2013年に第5世代として誕生しました。初代モデルは1994年に誕生しています。現行モデルは、従来までの5ドアではなく、スライドドアを備える、一般的なミニバンの恰好になったのが現行モデルの特徴です。ただし、2021年末に一旦生産が終了となり、2023年12月に販売が再開されています。
トヨタの「アルファード」は、2023年6月に最新モデルが登場しました。2002年の初代モデルから数えること4世代目となります。先代モデルは2015年に発売となって、販売ベスト10に入るほどの人気を集めています。また、発売直後の「アルファード」の販売も順調で、2024年1月の販売ランキングでベスト10入り(7位)になっています。
日産の「エルグランド」の現行モデルの登場は2010年。1997年の初代から数えて3代目となります。「オデッセイ」、「アルファード」というライバルよりも、最も先に登場しつつ、最も長く生産が続いています。
3台それぞれのコンセプトと狙い
「オデッセイ」のコンセプトは、「これまで以上の広い室内」と「走りの良さ」の両立です。広い室内空間は、歴代モデル初となるスライドドアの採用と、超低床プラットフォーム、先代モデルよりも約150㎜高めた車高で実現。とはいえ、その全高は、ライバルよりもまだまだ低いため、「オデッセイ」らしい、走りの良さが維持されています。
「アルファード」のコンセプトは「“快適な移動の幸せ”を極めること」。2列目以降の乗員だけでなく、運転手も含めた乗る人すべてが幸せになることを目指しています。高級サルーンなみの走行性能と快適性を実現し、ゆとりに溢れ、使い勝手に優れた室内空間を磨きあげています。
「エルグランド」は「真の高級車」として開発が進められました。プラットフォームをFFに刷新して低重心化を実現。風格あるエクステリア、もてなし感あふれる室内空間、意のままの走りを目指しています。
寸法の比較
ミニバンとしての3モデルの寸法はどのような違いがあるのでしょうか?
「オデッセイ」の寸法は全長4860×全幅1820×全高1695㎜。室内寸法は、長さ2915×幅1560×高さ1285㎜です。車両重量は上位グレードで1950㎏。ホイールは18インチを装着しています。
「アルファード」は、全長4995×全幅1850×全高1935㎜。室内寸法は、長さ3005×幅1660×高さ1360㎜。車両重量はハイブリッドの最上位グレードで2230㎏、ホイールは17インチです。
「エルグランド」は、全長4975×全幅1850×全高1815㎜。室内寸法は、長さ3025×幅1580×高さ1300㎜。車両重量が最上位グレードで2020㎏。ホイールは18インチを装着しています。
サイズ的には、「オデッセイ」が最も小さく、「アルファード」が最も大きくなっています。
パワートレインの比較
パワートレインは「オデッセイ」は2リッターのハイブリッドのみ。また、駆動方式はFFのみとなります。「e:HEV」と呼ぶハイブリッドは、モーター走行とエンジン走行を切り替えながら走行する2モーター式のハイブリッドです。走行用モーターの最高出力は135kW(184ps)/最大トルク315Nm。エンジンの最高出力は107kW(145ps)/最大トルク175Nm。燃費性能は最高のグレードで、19.9km/l(WLTCモード)となります。
「アルファード」のパワートレインは、2.5リッターのハイブリッドと、2.5リッターのエンジン車の2つ。どちらもFFと4WDを用意します。2.5リッターのハイブリッドのシステム総合出力は、184kW(250ps)。燃費性能はFFで17.5km/l(WLTCモード)、4WDで16.5km/l(WLTCモード)です。4WDは、後輪をモーター駆動するE-Fourという方式です。2.5リッターのエンジン車は、最高出力134kW(182ps)/最大トルク235Nm。燃費はFFで10.6km/l(WLTCモード)、4WDで10.3km/l(WLTCモード)です。
「エルグランド」のパワートレインは、3.5リッターのV型6気筒と2.5リッターの直列4気筒エンジン。トランスミッションは、すべてCVTで、どちらもFFと4WDが用意されています。エンジンのスペックは、3.5リッターのV6は、最高出力206kW(280ps)/344Nmで、燃費性能がFFで8.7km/l(WLTCモード)、4WDで8.4km/l(WLTCモード)。2.5リッターの直4は、最高出力125kW(170ps)/245Nmで、燃費性能がFFは10.0km/l(WLTCモード)、4WDが9.7km/l(WLTCモード)となります。
3モデルのスペックを見比べると、「オデッセイ」は燃費が良く、「エルグランド」はパワーに優れ、「アルファード」はパワーと燃費のバランスが良いことがわかります。
価格の比較
「オデッセイ」の価格はエントリーが480万0400円から始まり、最上位で516万4500円となります。
「アルファード」の場合は、エンジン車の価格が540万円から559万8000円。ハイブリッドが620万円から642万円。最上位グレードの「エグゼクティブラウンジ」が850万円から872万円となります。
「エルグランド」は、2.5リッターが403万8100円から509万7400円。3.5リッターが482万7900円でスタートして、593万4500円。最上位グレードの「VIP」が636万7900円から837万8700円になります。
3モデルの価格帯を見ると「エルグランド」の2.5リッター車が最も安く、続いて「オデッセイ」、その上に「エルグランド」の3.5リッター車、そして「アルファード」、「エルグランド」の「VIP」、その上に「アルファード」の「エグゼクティブラウンジ」という順番になります。
国産Lクラスミニバンとして「オデッセイ」とライバルとなるのが「アルファード」と「エルグランド」です。最新の「アルファード」は、サイズが最も大きく、価格帯も高いものとなっています。「エルグランド」はエンジン車だけのラインナップで、価格帯の幅が広いのが特徴と言えるでしょう。