トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「下位で安定。増税計画が重し。来週の政策金利は据え置きか」トルコリラ見通し

(通貨11位、株価首位)

予想レンジ トルコリラ/円4.3-5.3

*低位かつ安定、4.8円以上に伸びない
*6月27日に政策金利決定
*増税が計画されているが景気に打撃か
*インフレ期待は1年ぶりの低水準に低下
*世銀はトルコのインフレ対策を評価
*中銀総裁を解任する大統領権限は無効、憲法裁判所
*貿易・経常赤字は続く
*当局によれば資本流入は増加
*輸出業者に対する外貨売却要件を引き下げ
*1QのGDPは強く5.7%増
*トルコには為替レートの目標はなく、インフレ抑制が主要目標
*リラ売り介入を実施とは!リラは長期的に安いが、急激なリラ高を懸念
*過去の急激なリラ安を是正するのではなく、現在の安定を望んでいる
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
*S&P、フィッチは格上げ
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張

(低迷かつ安定、4.8円以上に伸びない)
 4月22日週から4.80挟みで安定しているが、なかなか上に抜けない。週足では
5月27日週の長い上ヒゲで伸び悩んでいる。先週は11位、今月もここまで11位、年間でも11位と安定しているが低迷もしている。株価は断トツに強く世界一。年初来40.17%高、10年債利回りは28.67%と高止まり。

(6月27日に政策金利決定)
 6月27日の中銀金融政策決定会合では政策金利は50%に据え置かれる見通しだ。
中銀は今年3月、インフレ見通しの悪化を理由に政策金利を5%引き上げて50%とした。4月と5月の会合では、政策金利を据え置いた。
中銀のカラハン総裁は先週、抑制的な金融政策環境下で内需が冷え込む中、インフレは6月から減速し始めるとの見方を示した。
トルコのインフレ率は5月に前年比75.45%と、2022年以降で最高となった。中銀はインフレ率を今年末が38%、来年末が14%と予想している。

(やはり増税か)
 トルコ政府は関係者からの意見を受けて株式取引への課税導入作業を延期したが、当局は主に企業を対象とした新たな課税案を起草しており、大幅な改革となるだろう。
シムシェク財務相は、税の効率性と公正性を高め、非公式な税制を削減するための新たな税制規則のパッケージが、近々トルコ大国民議会(TBMM)に提出される予定だと述べた。この法案は過去20年間で最大の税制改革の一つとなる可能性がある。

新たな提案には、国内で得た利益に対して多国籍企業に最低15%の税金を課すことが含まれており、来年には年間約400億トルコリラの追加収入を生み出す可能性がある。また新たな計画にはトルコ企業に適用される新たな最低課税基盤も含まれており、これにより約900億トルコリラの増収が見込まれるという。

財務省は仮想通貨取引に0.03%の取引税を課すことも検討している。報告書によると、これにより年間約37億トルコリラの税収が見込まれるという。

(インフレ期待は1年ぶりの低水準に低下)
トルコのインフレ期待は1年ぶりの低水準に低下しており、国がデインフレ傾向に入る中で圧力が緩和しつつある模様だ。

今後12カ月間のインフレ予想は6月に31.8%に低下し、トルコ中銀が市場参加者に対して行った前回の調査での33.2%から低下した
これは、総選挙と大統領選挙後に当局が緩和政策を撤回し始める直前の2023年6月以来の最低の期待レベルを示している。

インフレ率は5月に年間75%に達し、一連の金利引き上げとトルコリラの比較的安定した相場が安心感をもたらしたと言われている。

シムシェク財務大臣は期待の低下を歓迎し、それがデインフレのプロセスの加速に役立つだろうと述べた。「我々の中期経済計画によって高まってきた信頼と予測可能性は、インフレ期待にも反映されている」と述べた