次代を担う成長企業の経営者は、ピンチとチャンスが混在する大変化時代のどこにビジネスチャンスを見出し、どのように立ち向かってきたのか。本特集ではZUU online総編集長・冨田和成が成長企業経営者と対談を行い、その経営戦略に迫る。

株式会社タカミヤ
(画像=株式会社タカミヤ)
髙宮 一雅(たかみや かずまさ)―― 代表取締役会長 兼 社長
1966年8月18日生まれ、大阪府出身。米国留学を経て、1991年に朋栄森林開発に入社。その後、1992年にタカミヤに入社し、数々の要職を歴任。2002年には代表取締役社長に就任し、その後もリーダーシップを発揮し続け、現在は代表取締役会長兼社長を務める。企業の持続可能な成長と革新に重点を置いています。
次世代足場「Iqシステム」をはじめとする仮設機材のプラットフォーマーとして、建設業界のソリューションを支え ています。技術革新を通じて付加価値の高い製品やサービスを生み出し、建設業界の安全や施工性の提供から建設工 事にまつわるサービスをワンストップで提供しています。

目次

  1. 貴社の事業について
  2. 経営判断をする上で最も重視していること
  3. 経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み
  4. 思い描いている未来構想
  5. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言 など

貴社の事業について

冨田:貴社の事業について教えていただけますか?

株式会社タカミヤ 代表取締役会長 兼 社長・髙宮 一雅氏(以下、社名・氏名略)

当社のビジネスモデルの特徴についてお話しします。実は、当社の事業は建設業界の仕組みを大きく変えたと言えます。身近な変化に例えると、昔はレコードやCDを購入して音楽を聞いていましたが、今はスマートフォンでダウンロードして音楽を聞く時代に変わっています。これと同じように、足場も各建設会社が保有していたものを、当社が買取り、DXに対応して足場を管理したことで、足場のプラットフォームを創ったのです。

冨田:興味深いですね。詳しく教えてください。

髙宮:当社は足場のプラットフォームを作り、事業を展開しています。これにより、DXを活用して物流倉庫などで足場を管理することで、お客さんはタカミヤで購入した足場をタカミヤに預け入れることにより、日本全国どこからでも自由に足場をひきだすことができ、足りないものは我々のレンタルを使っていただけます。

また、足場のニーズは近年上昇傾向にあります。建設投資の動向として、1992年度の84兆円をピークに減少傾向が続き、2010年度にはピーク時の50%程度である41兆円まで減少しました。しかしその後は、東日本大震災の復興需要や民間設備投資の回復により増加傾向となっており、2023年は約70兆円の見通しとなっています。

さらに、デフレからインフレに移行して物価が上がっているため、足場の購入が伸び悩んでいます。これにより、現在は人手不足と足場不足が問題となっているため、我々の事業へのニーズが高まり、現場への貸し出しも増えています。今後もこのような状況が続くと予想されます。

経営判断をする上で最も重視していること

冨田:経営判断する上で、最も重要視していることは何でしょうか?

髙宮:まず、建設業界は様々な面で変わらなければならないのですが、なかなか変化していないという問題があります。労働生産性が上がらず、安全基準が厳しくなる一方で、コストがかかっているのが現状です。

そのため当社は主に2つのことを大切にしています。1つ目はDXを活用して安全基準を明確にすることです。これまでの安全性は明確な根拠があったわけではなく、「目視で点検」というような気合と根性論に近い状態でした。そこで当社は足場の安全基準をデータとして可視化するために、強度試験などを日常的に行っています。これにより足場の安全基準をデータ化して安全性を可視化しています。

2つ目は労働生産性を上げることです。労働生産性を上げるためには業界の古い慣習を変える必要があります。足場の購入業者は人手不足の状況でも、未だに電話やファックスで営業をしています。そこで当社のDXやITを活用したプラットフォームを活用してもらうことで、コストダウンを図ることができるのです。営業は直接訪問せず、代わりにDXを活用することで便利さが向上し、現場の改革が進むと考えています。

経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み

冨田:髙宮社長の強みはどのような部分にありますか?

髙宮: まず、今はZ世代の時代です。Z世代の人たちは非常に効率を重視し、物事に対して合理的です。実際、私自身もZ世代だと思います。なぜなら、面倒くさいことが嫌いで、無駄なことはやりたくないタイプだからです。自分のやりたいことだけをやりたいという思いが強いのです。

私は、営業を行わない会社にしようと考えています。現在、営業部門は200名の人員がいますが、社内では「営業はもう行かない」と言っています。なぜなら、無駄になることをやらせるより、若い世代が得意なことだけをやらせる方が効果的だと思っているからです。

冨田: その考え方は、今のZ世代にとって非常に合っていると思います。それが会社の文化にも浸透しているのでしょうか。

髙宮: そうですね。実際、当社はZ世代の若者を中心に、ビジネスアイデアを出し合い、サービスに変えていっています。

お客様にとって価値のあるものを提供し続けることが、私たちの使命です。例えば、従来の足場の高さは170cmが標準でした。しかし当社はさらに作業しやすい環境を作るために190cmに変更しました。当初は業界の中で「そんなことが通用するわけない」と言われましたが、今ではそれがスタンダードになっています。このように、常にどうやって変えられるかということを考えていますし、それがやりがいだと感じています。

冨田: なるほど、髙宮さんの考え方や経験が会社の成長に大きく影響しているのですね。今後も業界の変革を牽引していくことと感じました。

思い描いている未来構想

冨田: 思い描いている未来構想についてお伺いさせてください。

髙宮: 建設業界に改革を起こします。

私は当社のサービスを利用するプラットフォームユーザーがこれから勢いよく増えていくと考えています。物価が上昇しているため、自分で足場を用意し管理していくのは高くつきます。そのため、当社のプラットフォームを活用する方がお得なのです。

このようにしてプラットフォームを拡大し、建設業界のDX化を推進していきます。建設業界はDXを取り入れる必要があり、当社がDXの先駆者になります。仕組みを作ることで、データや数値で建設業界を見ることができるようになり、現場の採算性や安全性を担保しなければならない時代に変わるでしょう。このような改革を進めることで働く人たちにとってより魅力的な業界になることを目指しています。

そして最終的には足場をフリーマーケットのように運用するプラットフォームを創出しました。足場を自分で使うもよし、貸すもよし、売り買いで儲けるもよしというサービスです。これにより、足場の価値を品質保証や製品の更新を通じ、プラットフォームユーザーの足場が常に一定の価値を生み出すように管理します。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言 など

冨田:ZUU onlineユーザーの方々へ一言お願いします。

髙宮: 経営者は誰しもが持続可能な世界を目指していると思います。私も建設業界を含めた業界全体が良くなることを願っています。人々の生活が向上する中で、私たちのプラットフォームが働く人たちの安全や健康を守るきっかけとなり、多くの人に役立つ存在になりたいと考えています。我々のプラットフォームビジネスは、世の中にとって必要とされ、注目されるビジネスになると信じていますので、どうか応援していただけますと幸いです。

冨田: 今日はたくさんの貴重な情報をお話しいただき、ありがとうございました。

氏名
髙宮 一雅(たかみや かずまさ)
社名
株式会社タカミヤ
役職
代表取締役会長 兼 社長

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