時価総額2兆円目前の「アシックス」が次に狙うのは「テニス」と「パデル」
「ボス」とコラボレーションした限定モデルを手にする、「アシックス」のアドバイザリースタッフ契約選手のマッテオ・ベレッティーニ選手(画像=「セブツー」より引用)

アシックスは6月18日、アナリストや投資家などに向けた経営方針の説明会「インベストメントデイ」を開催し、テニスやバレーボール、サッカーなどさまざまな競技に関連するシューズカテゴリーの成長戦略について説明した。

シューズカテゴリーは2020年までは赤字を計上していたが2021年に黒字転換し、その後は売上高で年平均30%超の成長率を達成している。アシックスはシューズカテゴリーのなかでも特にテニスをランニングに次ぐ収益の柱とする戦略を描いており、グローバルでのマーケットシェアで首位獲得、さらに売上高300億円を目指す。

富永満之社長も5月にパリで開催された、テニスの4大国際大会のひとつである全仏オープンを自ら視察し、テニス市場の今後の可能性を肌で感じてきたという。実際、全仏オープンに出場した男子全128選手のうち31選手が「アシックス(asics)」のテニスシューズを着用しており、21選手の「ナイキ(NIKE)」、16選手の「アディダス(adidas)」をおさえてトップの着用数だった。なお、31選手のうち20選手はアドバイザー以外の選手であり、自らの意思で「アシックス」を選択していた。

アシックスは、世界最多の24回のグランドスラム優勝を誇るノバック・ジョコビッチ(Novak Djokovic)選手と複数年にわたるアドバイザリー契約を結んでおり、トップアスリートであるジョコビッチ選手の意見を取り入れたシューズ開発も行なっている。富永社長の直轄プロジェクトである「Tプロジェクト」も立ち上げ、最高峰のパフォーマンスを引き出すシューズ作りをさらに強化していく。

テニスの競技人口も世界的に増加している。日本では競技人口が3万人ほどのためまだ広く知られていないが、テニスとスカッシュの要素を持ったラケットスポーツであるパデルやピックルボールは、米国を中心に拡大している。ラケットが扱いやすく子どもや高齢者でも楽しめることもあり、パデルのプレイヤーは全世界で3000万人以上まで拡大している。アシックスは、こうしたラケットスポーツ全般まで裾野を拡げていくことで、テニスシューズのマーケットの拡大を目指す。

アシックスの株価も今年に入り上昇を続けている。1月4日の始値で4302円だった株価は、年初来最高値を更新し続け、シューズカテゴリーの成長戦略を発表した翌々日6月21日の終値は9786円とこの半年で2倍強にまで上昇している。さらに時価総額は1兆8581億円と2兆円目前だ。