トルコリラ見通し
(画像=「Car Me」より引用)

総括

FX「リラ円安定。政策金利は50%で据え置きか、5月は財政黒字が過去最大」トルコリラ見通し

(通貨11位、株価首位)   

予想レンジ トルコリラ/円4.3-5.3

*リラ円は安定、ドルリラは上昇
*6月27日に政策金利決定
*最近の指標は弱い
*フィッチは2024年のトルコの成長率を上方修正
*5月に月間予算黒字が過去最大に
*インフレ期待は1年ぶりの低水準に低下
*世銀はトルコのインフレ対策を評価
*貿易・経常赤字は続く
*輸出業者に対する外貨売却要件を引き下げ
*1QのGDPは強く5.7%増
*トルコには為替レートの目標はなく、インフレ抑制が主要目標
*過去の急激なリラ安を是正するのではなく、現在の安定を望んでいる
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
*S&P、フィッチは格上げ
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張

(リラ円は安定、ドルリラは上昇)
 トルコリラ円は8.84近辺で安定している。あまりにも動かないので5日線と20日線がほぼ同じレベルとなっている。一方、ドルリラは小刻みに上昇、32.9311をつけ史上最高値を更新している。
 株価指数(イスタンブール100)は年初来44.14%高と世界のトップ。10年国債利回りは28.715%。

(政策金利は50%で据え置きか)
 6月27日に政策金利決定がある。大半のエコノミストは、主要金利が50%で据え置かれると予想している。
 中銀はインフレリスクに対する警戒を強調し、月々のインフレ傾向の持続的な低下が見られ、インフレ期待が予測範囲と一致するまで金融引き締め政策を継続すると表明している。5月、トルコのインフレ率は前年比で4月の69.8%から75.45%に急上昇し、前月比3.37%の上昇となった。中銀は2024年の年末インフレ率予測を36%から38%に修正したが、2025年と2026年の予測はそれぞれ14%と9%で据え置いた。

 シムシェク財務大臣は、政府の経済計画によりインフレが抑制されるとの自信を示し、インフレ率は今年後半には40%台前半から30%台後半、来年には10%台半ばまで低下し、最終的には1桁台に達すると予測した。

 エルドアン大統領も4Qのインフレ見通しが改善したことを示唆し、より好ましいインフレ水準を達成するには金利調整が鍵となると強調した。

(最近の指標は弱い)
 最近の指標は弱い。6月企業信頼感指数は102.8で5月の105.4から悪化。6月消費者信頼感は78.3で5月の80.5から悪化した。4月小売売上は前年比10.2%増で、3月の19.8%増から悪化している。

(6月消費者物価予想は)
6月消費者物価予想は前年比76.0%の上昇。5月の75.45%以上の伸びとなる。前月比は3.0%の予想で5月の3.37%増から改善する。

(フィッチは2024年のトルコの成長率を上方修正)
 フィッチは2024年にトルコの成長が加速すると予測した。

国内総生産(GDP)が2024年に3.5%拡大すると予想しており、これは前回の2.8%増から上方修正した。2025年の予測は3.1%から3%にわずかに引き下げた。

トルコの経済は1Qに5.7%拡大し、金融引き締め政策にもかかわらず堅調な国内需要に牽引され、年初としては世界でも最も高い成長率の1つとなった。
 インフレ高騰に直面した中央銀行による一連の積極的な金利引き上げが経済活動の重しとなり、今年の残りの期間、成長は緩やかになると予想される。
 フィッチは、トルコにとって依然として最大の課題であるインフレ率は、年末までに43%に達すると予想していると述べた。

フィッチは、インフレ率が2025年と2026年にそれぞれ23%と18%に低下すると予測している。政府は、2年後にはインフレ率が1桁に低下すると予測している。