不動産投資の初期費用はいくら?費用を抑えるコツやシミュレーションを紹介

ワンルームや戸建てなどの不動産投資に興味はあるけれど、初期費用はいくら必要なのかと不安になっている人も多いのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、初期費用をクリアにイメージできるように初期費用の詳細について解説します。初期費用の実際のシミュレーションや初期費用を抑えるコツも紹介しますので、不動産投資を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

不動産投資の初期費用には何がある?

不動産投資の初期費用はいくら?費用を抑えるコツやシミュレーションを紹介
(画像:PIXTA)

不動産投資の初期費用として諸手数料と金融機関への頭金があり、合わせて物件価格の20〜30%が一般的です。頭金は必ず必要なものではありませんが融資の際に求められることがあり、物件価格の10〜20%が一般的です。

また、初期費用でかかる諸手数料には登記費用や仲介手数料、固定資産税などがあり、物件価格の10〜20%かかります。初期費用をしっかり把握し、計画的に準備することで、安心して不動産投資を始めることができます。

不動産投資での初期費用(諸手数料)の目安と内訳

不動産投資で発生する初期費用のうち、諸手数料は物件価格の10〜20%が一般的です。ここでは、不動産投資での初期費用のうちの諸手数料の目安と内訳を紹介します。

費用の内訳初期費用
不動産仲介手数料物件の価格の3%+6万円+消費税
融資事務手数料3万円~融資額の2%程度
保証料借入金額の2%(金利上乗せ方式では初期費用0円)
印紙税2万円
登録免許税新築:固定資産税評価額×0.4%
中古:固定資産税評価額×2%
抵当権の設定借入金額×0.4%
司法書士への報酬5~10万円程度
固定資産税・都市計画税固定資産税評価額×(1.4%+0.3%)
損害保険料(火災保険、地震保険、その他特約)10~30万円程度
合計物件価格の約10~20%

なお、アパート経営での初期費用については以下のコラムで詳しく解説しています。
【関連記事】アパート経営の初期費用はいくら?運営費用も解説

不動産仲介手数料

不動産仲介手数料は不動産仲介会社に売買契約が成立したときの成功報酬として支払うものです。不動産仲介手数料は法律によって上限が決まっており、400万円より高い価格の物件は「物件の価格の3%+6万円+消費税」が上限です。

例えば、3,000万円の物件を購入する場合の仲介手数料は約96万円(税抜き)となります。なお、仲介手数料は交渉の余地があり、仲介業者によってはサービスの内容や対応の質が異なるため、信頼できる業者を選ぶことが成功の鍵となります。

融資事務手数料

不動産投資ローンを組む際には、融資を受ける金融機関に対して事務手数料を支払います。事務手数料は「定額制」または「ローンの総額に対する定率制」の2種類があります。定額制の場合は3万円ほど、定率性の場合は借入金額の2%が一般的です。融資事務手数料は金融機関の規定や融資条件によって異なるため、事前に確認することが重要です。

保証料

保証料は金融機関からの融資を受ける際に、その融資の保証会社から保証を受けるために必要な費用です。保証料の支払い方法には「一括前払い方式」と「金利上乗せ方式」があります。一括前払い方式では借入金額の2%程度を契約時に支払い、金利上乗せ方式では年率0.2%程度をローンに上乗せして支払うのが一般的です。

印紙代

ローンの契約書や物件購入の契約書などの不動産取引に関する文書に課せられる税金です。印紙税の金額は取引する物件価格によって税率が異なる累進課税制です。例えば契約書に記載している金額が1,000〜5,000万円の場合は約2万円の印紙代がかかります。なお、電子契約の場合は印紙税が不要となりますので、契約時に電子契約が可能か確認しましょう。

登録免許税

不動産を購入する際にその所有権を法的に登録するために所有権や抵当権を設定する必要があり、それらの複数の登記をする際にかかる税金です。これらの登記を「不動産登記」と呼びます。

所有権にかかわる不動産登記には、新築の物件では所有権保存登記、中古の物件では所有権移転登記があります。所有権保存登記の税率は固定資産税評価額×0.4%、所有権移転登記の税率は固定資産税評価額×2%です。

なお、固定資産税評価額は一般的に購入価格の50~70%といわれ、 例えば2,000万円の物件であれば1,000~1,400万円が固定資産税評価額の目安となるため、所有権保存登記の場合は4万円~6万円程度、所有権移転登記の場合は20万円~28万円程度です。

抵当権の設定

不動産投資ローンを組む際には金融機関にて物件の抵当権を設定し、その登記手続きにかかる費用です。抵当権とは不動産を担保として金融機関から借り入れる際に設定される担保権です。抵当権設定登記にかかる登録免許税は、借入金額の0.4%が一般的です。

司法書士報酬

前述のとおり不動産を取得する際にはさまざまな登記が必要です。これらの登記の手続きは自分でもできますが依頼することが一般的です。司法書士事務所に任せた場合の報酬は目安として10万円ほどかかります。

固定資産税・都市計画税

固定資産税や都市計画税は不動産所有者が納税する地方税です。固定資産税はその年の1月1日に所有している人が納税します。固定資産税の納税額は物件の固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は固定資産税評価額の0.3%が上限とされています。市町村によって課税金額は異なり、物件によっては都市計画税がかからないこともあります。なお、これらの税金は初回購入時だけでなく投資後も毎年支払う必要があります。

損害保険料(火災保険、地震保険など)

万が一に備えて不動産に発生した損害を補償する目的で契約され、火災保険への加入は融資の条件とされることが一般的です。不動産の価値やリスクなどによって保険料の水準は異なりますが、火災保険料はマンションで10年間10万円ほど、壊れやすい木造の物件では鉄筋コンクリート造の3倍ほど高くなる傾向があります。

不動産投資での初期費用(頭金)の目安

不動産投資の初期費用はいくら?費用を抑えるコツやシミュレーションを紹介
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不動産投資の頭金とは物件を購入する際に代金の一部を支払うものです。頭金は必ずしも必要なものではなく一部のケースで求められ、物件価格の10〜20%が一般的です。なお、フルローンを活用することで頭金なしで不動産投資を始めることも可能です。

不動産投資での頭金について、以下のコラムで詳しく解説しています。

【関連記事】不動産投資ローンの頭金は必要?相場や頭金なしのケースを解説!

不動産投資の初期費用シミュレーション

不動産投資の際には初期費用や頭金が必要なことを解説してきました。では、実際にはどのくらいの初期費用が必要なのでしょうか。ここでは、例として新築2,000万円の新築物件を融資期間30年で投資する場合のシミュレーションを見てみましょう

大項目費用の内訳初期費用
諸費用不動産仲介手数料66万円
融資事務手数料3~40万円
保証料0~40万円
印紙税2万円
登録免許税4~6万円
抵当権の設定8万円
司法書士への報酬5~10万円
固定資産税・都市計画税17~24万円
損害保険料(火災保険、地震保険、その他特約)10万円
合計(頭金が不要な場合)115~206万円
頭金200~400万円
合計(頭金が必要な場合)315~606万円

上記のように2,000万円の新築物件に投資をする場合、頭金が不要な場合は115~206万円、頭金が必要な場合は315〜606万円程度あれば不動産投資を始められるでしょう。

不動産投資の初期費用を抑えるコツ5選

不動産投資をする際には少なくない初期費用が必要です。ここでは、不動産投資の初期費用を抑えるコツを5つ紹介します。

  • オーバーローンを活用する
  • 仲介手数料を交渉する
  • 頭金を交渉する
  • 売主が不動産会社の物件を検討する
  • 中古物件を検討する

オーバーローンを活用する

オーバーローンとは物件の購入価格よりも多く借り入れし、諸費用もカバーした形で融資を受けて初期費用を抑える方法です。オーバーローンを活用することでのメリット・デメリットは以下があります。

オーバーローンのメリットオーバーローンのデメリット
・レバレッジ効果が高い
・初期費用を抑えられる
・借入額が増える
・金利上昇の影響を受けやすい
・売却の際に差額を返済することがある

メリットとしては、初期費用を抑えられるだけでなく、多くの融資を受けることができるために「小さい資金で投資額に対して数倍の投資をして収益性を高める」というレバレッジ効果が高くなります。

デメリットとしては、借入額が大きくなるために金利上昇の影響を受けやすくなります。また、物件を売却したいと思ったとしても売却後にローンが残り、差額の返済が必要になることがあります。

仲介手数料を交渉する

仲介手数料の金額は一定ではないため、交渉をすることで安くしてもらえることがあります。複数の不動産業者から見積もりを取得したり、不動産市況や需要供給の状況から仲介手数料を交渉したりすることが有効です。なお、仲介手数料の値下げは必ずしてくれるものではないため、担当者との関係性に気を付けながら相談しましょう。

頭金を交渉する

融資を受ける際の頭金の支払いを少なくできるように交渉することも重要です。金融機関や不動産業者に対して自身の信用履歴や収入状況などをアピールすることで、頭金の交渉を有利に進めやすくなることがあります。

頭金を少なく交渉すると、融資の審査に通りにくくなるリスクがあることに注意が必要です。また、頭金の金額を少なくすると初期費用は少なくなりますが、借入額が大きくなり金利負担が大きくなることも注意しましょう。そのため、初期費用だけでなく将来の返済計画も考慮した上でバランスを考慮しながら交渉を行うことが必要です。

売主が不動産会社の物件を検討する

売主が直接販売する物件は仲介手数料が発生しないため、初期費用を抑えられます。不動産会社との直接取引であるため、契約手続きが早く進む可能性があることもメリットです。一方で売主物件は不動産会社が売買価格を決めるため、仲介より割高になってしまうことが少なくありません。また、自社の物件を積極的にプロモーションし、他の物件よりも有利な面を強調することがあるため、自ら情報収集や調査を行うことが必要です。

中古物件を検討する

中古物件は新築物件に比べて価格が割安であることが多く、初期費用を抑えることが可能です。しかし、物件の状態や築年数、修繕の必要性などを十分に確認し、将来的な収益性を慎重に評価することが重要です。また、周辺環境や需要の見込みも考慮する必要があります。実際に物件を見に行ったり、近隣の入居状況を事前に確認したりしましょう。

物件購入後にかかる費用はある?

不動産投資の初期費用はいくら?費用を抑えるコツやシミュレーションを紹介
(画像:PIXTA)

不動産投資においては初期費用だけではなく、主に以下のような費用が定常的にかかります。

  • 不動産の維持や管理に関する費用(管理会社への手数料など)
  • 固定資産税などの税金
  • 火災保険、賠償責任保険などの保険料
  • ローンの返済
  • 修繕積立金 など

さらに、エアコンなどの設備の故障や空室時に実施する広告費などの突発的な支払いも発生します。初期費用だけでなく運用する中でも費用がかかるため、運用後の資金も十分に確保することを心がけましょう。

(提供:manabu不動産投資

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