本記事は、金山拓夢氏の著書『頭の回転が速い人の言語化のコツ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

コミュニケーション
(画像=fizkes / stock.adobe.com)

意外とできていない「相手のことを考える」

自分本位の会話はうまくいかない

社内会議で発言したり、商談や交渉をしたりなどの自分主導で人に話すときは、どうしても「何を話すか」に意識が向いてしまいます。そうすると「自分が伝えたいこと」ばかりになり、聞く側にとっては「特に興味のないこと」「別に聞きたくもないこと」を聞かされることになります。そうなると、話すほうも聞くほうも苦痛の時間となってしまうでしょう。

人と話すときは、自分が「何を話すか」ではなく、相手が「何を聞きたいか」をまず考えましょう。「相手が何を求めているか」という考え方は、プレゼンにおいても有効です。

自分発信で話すときは、1人の具体的な対象者を考えて、その人に向かって話します。聞いてくれている人数が多かったとしても、実際には1人に向けて話すようにするのです。

例えば、「20代の独身男性でサラリーマン。本業のほかにも副業を考えていて、やがては独立したいと思っている人」を対象者と考えます。その人は、副業をしたいけれど何ができるのか、何が向いているのか悩んでいる。そして、その悩みを抱えているために、一歩踏み出せないでいるかもしれない。

このようなひとつの具体的な「ペルソナ(仮想の対象者)」を頭に描き、その人に対して自分の言葉を届けるように心がけます。

ペルソナとは、ビジネスにおいて商品やサービスを提供する際、主にどのような顧客に向けたものであるか、その具体的な人物像を設定することです。自分発信で人に話すときはこの考えが非常に役立ちます。

このように1人に向けて話すようにすると、会話の内容が細かく具体的になるので、より多くの人に届きます。

聞いている人全員に同じように伝わることはない

多くの人に伝えようとすると、結果的に多くの人には伝わりません。

「100人全員に好かれることはない」といわれるように、「聞いている人全員に同じように伝わることはない」のです。

全員に伝えようとすると、一般的で抽象的なメッセージになってしまいます。具体的で分かりやすい例や説明がないと、自分の考えや伝えたいことは相手に全く響かないのです。できるだけ具体的な例やシーンを挙げ、相手にリアリティを感じさせるようにしましょう。

そこで必要になるのが前述したペルソナです。ペルソナを設定することでより多くの人に伝わる理由を次にまとめました。

・具体的でリアルな対象者を持てる

ペルソナは具体的な個人像をイメージするため、抽象的な概念よりもリアリティを持っています。人は抽象的な話よりも、自分に近い具体的な状況や特定のニーズに共感しやすいのです。

・言葉や文脈を選びやすい

ペルソナを意識することで、聞く人が理解しやすい言葉や文脈を選びやすくなります。これにより、伝わりやすいメッセージを届けることができます。

・課題やニーズを理解しやすい

ペルソナを通じて、相手の課題やニーズをより深く理解することができるため、相手が聞きたいと思う話ができるようになります。

「次の言葉」が出てこない人は、
頭の中にフレームワークが入っていない

朝礼の1分間スピーチやプレゼンをする際、次に何を言えばいいのか分からなくなって言葉がなかなか出てこない人は、頭の中にフレームワークがない可能性があります。

スピーチでは、話す順番であるフレームワークを頭に描くことが大切です。

スピーチをするときは、まず大テーマを設定し、話の要点や何を伝えたいのかを整理し、スピーチを聞く人にその理由を明確に伝えたうえで話を進めます。

話の中に3つほどの要点と解決方法をまとめ、これらを同じフローで伝え、なぜその方法が重要なのかを説明します。この流れに従って話を進めることで、聞き手にスピーチの内容が伝わりやすくなります。

頭に明確なフレームワークを持つことで、スピーチする内容を一言一句覚える必要はなく、ざっくりとこの流れを把握しておくだけで、自然に喋ることができるようになります。内容を丸暗記しようとするよりも、流れを組み立てておいて、その流れを覚えておくほうが大事なのです。

丸暗記しないと話せないような、自分が体験したことがない情報をもとにしたスピーチではなく、自分が体験した情報をもとにしてスピーチの構成をしておくと、次はあの話をすればいい、と頭の中で引き出しを開けやすくなります。

「目標達成の重要性」に焦点を当てた例を次に載せます。スピーチをする際は、このように「流れを作って、流れを覚えておく」といいでしょう。

『頭の回転が速い人の言語化のコツ』より引用
(画像=『頭の回転が速い人の言語化のコツ』より引用 / イラストレーション:はるかんぼ )
  1. スピーチの大テーマを設定する
    大テーマは「目標達成の重要性」。目標を持ち、それを達成することがなぜ重要なのかを伝える。

  2. スピーチの目的を明示する
    聞く人に対して、スピーチの目的を明確に伝える。「目標達成の重要性」に焦点を当て、なぜこのテーマが重要なのかを説明する。

  3. 話の要点
    ポイントを3つほど入れて「これがポイントです、なぜならこうです」という形で伝える。

  4. ポイント1「目標の設定」
    なぜ目標を設定する必要があるのかを説明する。目標がなければ、進むべき方向が不明瞭であり、成果を上げるのが難しいことを強調する。

  5. ポイント2「モチベーションの向上」
    目標を持つことがモチベーションを高め、困難な状況に立ち向かう力を生む理由を述べる。

  6. ポイント3「成果の達成と自己成長」
    目標を達成することで得られる成果や、それが自己成長にどのようにつながるかを示す。

  7. 解決方法の提案
    目標を達成するためのステップやアクションを示し、実践的なアドバイスを提供する。

  8. 同じ流れでのまとめ
    スピーチの最後に、話の要点を再確認し、「目標達成の重要性」を強調。

この例では、目標達成に焦点を当てつつ、スピーチの流れ(構成)が作られています。このようなフレームワークを使って流れを押さえておけば、話しながら聞き手の反応も見つつ、具体的な内容を盛り込んでいくことで、魅力的なメッセージを伝えることができます。

ポイント
自分が「何を話すか」ではなく、相手が「何を聞きたいか」をまず考えることが重要。「聞いている人全員に同じように伝わることはない」と割り切り、1人に対して自分の言葉を届けるように心がける。スピーチでは、フレームワークを頭に描いて話すこと。
『頭の回転が速い人の言語化のコツ』より引用
金山拓夢
株式会社TAKUMU 代表取締役。
神戸大学海洋政策科学部中退。在学中の2021年1月に独立しWeb制作事業、SNS集客コンサルティング事業を開始。事業開始1年で年商2.5億円を突破。
自身が運営するSNSマーケティング事業のクライアント数は1年で500人を超え、LIVE配信を駆使したSNS集客「LIVEローンチ戦略」は大きな反響を呼び、言語化スキルを習得したい方が全国に続出。

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