本記事は、金山拓夢氏の著書『頭の回転が速い人の言語化のコツ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
そもそも、会話ってなんだ?
人は感情を共有するために言葉を使う
自分の気持ちや考えをうまく伝えられないことがあると、「なんで自分はこんなに話すのがへたなんだろう……」と、自分のことが嫌になってしまうものです。
時には、プレゼンテーションやスピーチなど、自分が一方的に話さなければならない場面もあるかもしれません。そのようなときも、自分の言語化力に自信がないと、「伝わるかな……」と不安に思いながら話すことになるので、しんどくなり、結果的にそれがストレスになります。
自分の意見や感情をうまく表現できないしんどさを取り除かないと、言語化することのハードルはどんどん高くなる一方です。
言語化のコツが分かっても、実際に言語化をする場面である「会話」とどう向き合うかが分かっていないと、せっかく身につけたノウハウも活用することができません。
まずは「そもそも会話とは何か?」から知ることで、言語化の苦手意識を軽減し、今より気楽に自分を表現できるようになります。
私たちが普段行っている日常会話についてですが、そのほとんどが意識していないまま会話をしているはずです。では、そんな日常会話の意義とはなんなのでしょうか?
なぜ言葉が生まれたのかという理由は諸説ありますが、1番は危険を回避するためです。人間に限らず生き物は必ず死ぬものですが、その死に対して「恐怖」がプログラミングされています。なぜなら、生き物は種の保存のために子孫を繁栄させることが絶対条件だからです。
生き物の最大の使命は「命をつなぐこと」です。命をつなぐためには、危険を仲間に知らせる必要があります。言葉がなかったら伝えることができず命にかかわることでも、言葉があることで危険を伝えられ、命を救うことができるのです。
人が初めて話した言葉というのは、危険を伝えるために音を発したのが始まりではないかとさえ思えるほどです。それは、人類が発展するための最初で最大の叫びだといえるのではないでしょうか。
今の時代は、そういった「あそこは危ない」「それを食べると死に至る」など、危険を回避する情報が言葉によって受け継がれたことで、ずいぶんと安全な世の中になりました。そんな時代での日常会話における意義は、喜びや悲しみなどの喜怒哀楽の感情を共有することです。感情を共有することは、人にとって絶対に必要な要素であり、それがあるからこそ人間ともいえるくらいです。
人間のような豊かな喜怒哀楽の感情の表現は、ほかの生き物にはなかなか見られません。人間は喜怒哀楽という感情を大切にし、また感情を共有することでかけがえのない関係を築いてきました。人と人が関わり合う日常において、コミュニケーションは必ず生まれます。そのコミュニケーションの一環として、日常会話は人が生きていくうえで最も重要なものです。
感情の共有を軽視するのは危険
感情を共有するのが苦手だと、自分の思いをうまく表現できず、なかなか会話が進まないことがあります。そんな姿は相手にとって、「あなたとは共有したい感情がないから、話したくないと思っているのかも?」と受け取られる可能性があります。
感情を共有したいかどうかは、会話の根っことなる部分です。日常会話を避けることは、相手とのコミュニケーション、つまり感情の共有を望んでいないことを意味します。また、日常会話やコミュニケーションを軽視する人は、相手に対して「あなたとは喋りたくない」「感情を共有したくない」という意思として伝わってしまうことがあります。
人は、相手が会話を避けていると感じると、「この人は私に対して嫌な印象を抱いているのかな?」と考えがちです。もし自分のことを人見知りだとか、「自分はじっくり時間をかけて人と仲良くなるタイプだ」と思っていても、初対面で必ずしも相手に「この人は人見知りかもしれないから、気長に付き合おう」と思ってもらえるわけではありません。
特に初対面での印象は重要で、そのように会話を避けていると受け取られると「この人は私と話したくないんだな」「じゃあ私も話さなくていいや」と思われてしまい、その後の関係性にまで影響をおよぼすことにもなります。
仕事での日常会話の重要性
仕事において必要な情報のやり取りはできるけれど、感情の共有の部分でのキャッチボールが苦手な人がいます。このような人は、ビジネスライクで事務的な印象を与えてしまい、仕事以外の関係を築きにくい傾向があります。
仕事ではそれぞれが協力し合い、お互いに理解し合うことが不可欠です。この関係性は会話によるコミュニケーションで築かれるものであり、仕事以外の一面を見せることが結果的に仕事での関係性をスムーズにします。
僕がまだ仕事を始める前の学生のころは、「接待ってなんの意味があるんだろう?」と疑問に思っていました。なぜみんなが飲みに行ったりゴルフに行ったりするのか、何が楽しいのか、と接待の理由が理解できませんでした。しかし、今なら接待の理由が分かります。
それは、仕事以外の場をつくり、共に過ごすことでお互いが心を開きやすくなり、相手のさらなる一面を知ることができるからです。また、接待の中で信頼できる人かどうかを見極められます。仕事の中では分からなかった一面が見えることで、その人の本質が見えてくるのです。
仕事をするうえで信頼できる人を見極めるのは重要です。優秀だからといってその人が信頼できるわけではないので、これをはき違えると痛い目に遭います。
例えば、役職に就いていてハードな仕事もバリバリこなしていると思っていた人が、接待の場で部下に非常に横柄な言動をとっていることを知って、仕事ができると思っていたのは部下たちの頑張りのうえに成り立っていたのだな、と仕事では見えなかった側面に気づくこともあります。これに気づかず、「この人は仕事ができるから信頼できる!」と自分が信じたいものだけを信じてついていくと、心も体も壊してしまうかもしれません。
逆に、頼りないと思っていた人が細やかな気配りができる人だと分かり、「この人に次のプロジェクトに入ってもらえば、全体をうまく調整してくれそうだな」と気づいたりすることもあるのです。
接待のような仕事以外の関係を築くことを無駄と思っている人もいますが、それは大きな間違いです。僕も経営者の立場になって分かったことですが、仕事でチームをつくることになったときなどに仕事を任せたいと思う人は、普段からよくコミュニケーションをとり、一緒に時間を過ごす人が先に思い浮かびます。
日常会話によってコミュニケーションを重ねていく中で、「この人とは気持ちよく仕事ができそうだな」「この人なら絶対やり遂げてくれるだろうな」といった信頼する気持ちが生まれてくるのです。
- ポイント
- 日常会話の意義は、お互いの感情を共有することで関係性を築き、深めるものである。それは仕事においても同様で、仕事での人間関係をスムーズにし、また仕事によい影響を与える。
神戸大学海洋政策科学部中退。在学中の2021年1月に独立しWeb制作事業、SNS集客コンサルティング事業を開始。事業開始1年で年商2.5億円を突破。
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