本記事は、金山拓夢氏の著書『頭の回転が速い人の言語化のコツ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
例え話で「他人事」を「自分事」に変えよう
例え話にはどのような効果があるか
人は基本的に、自分に関係のあることしか興味を持たない傾向があります。結論だけの話は相手にとって遠い存在になりやすく、自分事ではないと判断されて共感が得られません。
しかし、一見相手が興味を持ちにくい話でも、例え話を使うことで聞き手自身の経験や現実に結びつけることができれば、共感して聞いてくれるようになります。
例え話は会話の中で相手を引き込むとっておきの手段であり、使いこなせると次のようなメリットがあります。
・感情移入と共感が生まれやすい
例え話は感情移入がしやすく、「なるほど!」「そういうことか!」という共感を生むことができます。相手が話の登場人物や状況に共感することで、伝えたいことがより深く浸透しやすくなります。
・話に興味を引かせる
例え話は相手の興味を引くのに役立ちます。相手が興味を持って聞いてくれるので、伝えたいことの核心に導きやすくなります。
・説得力が上がる
例え話は説得力を高める手段としても有効です。例え話を通じて伝えることで、主張や立場が理解されやすくなり、相手を説得しやすくなります。
・記憶に残る
例え話は記憶に残りやすく、話の中で伝えたいメッセージを相手の記憶に残せる効果があります。
・複雑な話の難易度を下げる
相手が知らない、得意分野ではないような複雑な話を、例え話によって具体的で理解しやすい形に変えることができます。
例え話を磨くためにはどうしたらいいのか会話では、結論とその理由が明確であれば、相手は理解しやすくなります。ただし、理由だけで十分に納得させることができない場合、例え話が役立ちます。
例:「赤信号は守らないといけません。なぜなら車と衝突する事故に遭う危険性があるからです。だから赤信号を守りましょう」
というように、結論と理由があれば相手に伝わりやすくなります。しかし、「誰も見ていないと思って赤信号で渡ったとしても、社会のルールを破ってしまったバツの悪さは自分の中に残りますよね?」と赤信号に関連する具体例をつけ加えると、より相手に伝わります。
例え話はセリフを暗記して覚えるのとは違い、「自分の経験や知識など、言語化の引き出しをいくつ持っているか」「それをどのように引き出すか」といったその場でのひらめきの要素があります。
そのうえで、次の点を意識しておくと例え話をするときに役立つでしょう。
・日常の観察力を鍛える
身の回りの出来事や人間関係を注意深く観察しましょう。日常の中で見聞きしたエピソードを例え話に結びつけることで、話が具体的でリアルになります。
・シンプルで分かりやすいストーリーを考える
複雑な話や抽象的な話ではなく、シンプルで分かりやすいストーリーを考えましょう。共感を呼ぶためには、聞き手が簡単に理解できる内容にすることです。
・感情を表現する言葉を使う
相手が登場人物と感情を共有できるような表現を心がけましょう。相手が感情移入をしやすいように、感情を表現する言葉を使うことでより共感されます。
・リズムや音の使い方を意識する
話をリズミカルにしたり、音の使い方に工夫を凝らしたりすることで、話が響きやすくなります。リズムや音は聞き手を引き込む効果があります。「驚いた」よりも「わぁ!って驚いて」や、「そっとドアを叩いて」よりも「そっとドアをコンコンって叩いて」などと表現することで、よりリアルになります。このとき声のトーンも変えるとより効果的です。
・テーマを強調する
例え話には明確なテーマが必要です。何を伝えたいのか、どんな教訓やメッセージが込められているのか伝わるような例え話を選択することです。
・相手の興味や感情にアプローチする
相手の興味を引くテーマや感情にアプローチすることで、話がより共感されやすくなります。相手の反応を確認しながら話すことがポイントです。
これらのポイントを日常的に意識することで、例え話力が磨かれていきます。
- ポイント
- 例え話は会話において効果的なコミュニケーションツールであり、例え話を使うことで相手の共感を得られ、伝えたいことがスムーズに伝わるようになる。
数字を使おう
数字を使うことで認識が一致する
具体的な指示や情報を伝える際に数字を使うことで、こちらの意図が伝わりやすくなります。「あそこにある本を取ってきて」という指示よりも、「1番上の棚の左から3番目に入っている本を取ってきて」が一致します。
「あそこにある本を取ってきて」だと、自分が思っていたのと違う本を持ってきてしまう可能性があります。数字を使うのは、お互いの認識にズレが生じないようにするためです。
数字を使えば無駄なやり取りが防げる
数字を使わないと無駄なやり取りが増え、やり取りが増えるごとにお互いの認識がずれていく恐れがあります。
例えば、待ち合わせのとき、ただ単に「ホームで待ち合わせしよう」というだけでは、あとで「どこにいるの?」といったやり取りが発生します。これを避けるために、具体的な数字や場所を伝えることで、無駄なやり取りを防ぐことができます。
大阪駅で待ち合わせをするとすれば、「大阪駅のホームで待ち合わせしよう。進行方向の先頭から3番目の車両の、1番ドアに乗っておいて」というように具体的な指示をすることで、相手はその指示に従って行動してくれるので、自分はそこに行くだけで済みます。
「どこにいるの?」というやり取りや、相手を探す時間を短縮できます。
数字を使って言語化するのは日常生活でも役立ちますが、特に仕事をするときには数字を使ったコミュニケーションが欠かせません。仕事では、価格の確認、スケジュール管理、進捗報告、目標設定、市場分析やデータ戦略など、あらゆる場面において数字が必須となります。ここが曖昧だと認識のズレが発生し、思わぬトラブルにつながる恐れがあります。
「1+1=2」の足し算のように、人や状況によって答えの2が1や5になることがないのが数字の強みです。これほど認識のズレを防いでくれるものはないので、うまく活用してコミュニケーションエラーを予防しましょう。
- ポイント
- 数字を使って言語化することの1番の目的は、コミュニケーションコストを減らすこと。数字を使うことで、情報の精度が向上し、不確実性を排除し、時間とエネルギーを削減できる。
神戸大学海洋政策科学部中退。在学中の2021年1月に独立しWeb制作事業、SNS集客コンサルティング事業を開始。事業開始1年で年商2.5億円を突破。
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