本記事は、金山拓夢氏の著書『頭の回転が速い人の言語化のコツ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
言語化はこんなに大事
人は言語化しなければ分かり合えない
言語化というのはとても面倒です。自分と相手との関係性や、言うべきこと、言ってはいけないことなどあらゆる前提条件や可能性を考慮したうえで、自分がどう思っているのか瞬間的に分かりやすい形で言葉を選ばないといけないのですから。
言葉にしないで自分の考えていることが相手に伝わるなら、どれほど楽でしょう。
「そもそも、なぜこんなに面倒な言語化をしないといけないのか」と疑問が生まれたときは、まずは「なぜ言葉が生まれたのか」を考えることで、言語化への理解が深まります。言葉を使う能力は、人間特有のものです。人間以外の動物は、コミュニケーションや情報伝達のために鳴き声や音などを使うことはあっても、言葉という複雑な形態の音を発することはありません。
言葉が発達した要因にはさまざまありますが、中でも、
- 自分の考えや気持ちをほかの人に伝えるため
- ほかの人の言葉を聞いて、理解を深めるため
- 文化や知識を受け継ぐため
といったことが考えられます。こうしてみると、言葉が考えや気持ちを伝え合ったり、共有したりするために大きな役割を果たしていることが分かります。もし言葉がなければ、お互いを分かり合うことも、自分の気持ちを伝えることもできません。
言語化することは、人がコミュニケーションをとるうえでなくてはならないものであり、生きていくために必然であるといえます。
言語化しないことは命にかかわる
言語化は危険を知らせるための手段であり、言語化できるかできないかによって命にかかわることがあります。
進化の過程でまだ言葉がなかったときは、危険な動物がいることや危険な状況を具体的に伝える方法がなかったため、多くの人が命を落としました。
人が言葉を話せるようになってからは、「あそこに危険な動物がいる」「あの場所は危ないから行ってはいけない」といった情報を伝えることで、協力し合い安全な生活を送れるようになりました。
安全が確保されると、仲間同士で助け合ったり、経験から得た知識を次の世代に伝えたりできるようになりました。そして、「どうすれば危険を避けて生活していくことができるのか」といったことを一緒に考えて、計画することにも言葉が使われてきたのです。
夜に野外で眠らなければいけない状況になったとき、火を燃やしておくことは今では常識ですが、それも火を燃やせば危険な動物が火を恐れて襲ってこないことを言語化して伝えられてきたからです。
もし、言語化されず今に伝えられていなければ、と考えると、ちょっと怖いと思いませんか? 今の常識の中には、このように脈々と伝えられてきたからこそ、私たちが安全に暮らせているというものがいくつもあります。
現代ではこのような危険なことはありませんが、「人に信頼されない」「人間関係が広がらない」など、言語化できないことによる危険は形を変えて存在しています。
現代において言語化はどう重要なのか
社会が不安定で危険が多かったころと比べて、今は教訓や法律がしっかりと定着し、生活が格段に安全になりました。とはいえ、現代社会では急速な進化が起きていて、その変化に合わせた言語化がますます重要になっています。
特に、インターネットの普及と発展は社会に大きな影響を与え、SNSを中心に日々新しい言葉や表現が生まれています。この変化に敏感に対応し、柔軟な表現が求められているのが現代においての言語化なのです。
現代では、誰もが自分の考えや意見を表現する場を持てるようになりました。コミュニケーションを積極的にとる人にとってSNSは活用しやすいツールといえますが、一方で次のような不安を持つ人も多くいます。
- 常に言葉にし続けないと関係性を維持できないから、息苦しくなる
- 自分の考えを言葉にして存在感を示さないと、今の居場所を守れない
- 何を考えているのか理解してもらうための言語化がしんどい
また、SNSだけで過不足なくコミュニケーションがとれるかというと、そうではありません。言葉は人によって受け取り方が異なります。特にインターネットでは不特定多数に向けて発信するので、誰もが同じように理解してくれるものだと思わないほうがいいでしょう。
キーワードは言い換え力
現代の言語化を考えるうえでのキーワードは、「言い換え力」です。
インターネットの普及と発展により国や性別、年齢問わずコミュニケーションがとれるようになり、その中で新しい言葉や表現が生まれ続けているからこそ、言い換え力を活用した言語化が必要なのです。
現代はSNSの普及などによって、世代間での言葉の使い方の違いが見られます。
年齢差のある上司と部下の意思疎通ができない、といった話はよく聞きますが、こういった世代間の価値観や意識をつなぐことができるのも「言い換え力」です。
言い換え力がないと、コミュニケーションにおいて誤解や対立を生みます。人の争いは言葉が引き金になったり、言葉が争いを大きく複雑にし、それが戦争に発展したりするのではないでしょうか。
言葉の力は人の関係を強固にすることもありますし、その一方で、言葉の扱い方次第で人が離れ、自らの居場所を守れなくなり、共存が難しくなることもあるのです。
神戸大学海洋政策科学部中退。在学中の2021年1月に独立しWeb制作事業、SNS集客コンサルティング事業を開始。事業開始1年で年商2.5億円を突破。
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