23億円出資した米国のエムエムラフルアーの全株式を譲渡してクールジャパン機構が完全撤退
(画像=「セブツー」より引用)

官民ファンドの海外需要開拓支援機構(以下、クールジャパン機構)は7月26日、保有する米国のエムエムラフルアー(M.M. LaFleur Inc)の全株式を同社に譲渡したと発表した。エムエムラフルアーは、CEOであるラフルアー宮澤沙羅氏とクリエイティブオフィサーの中村美也子氏が2013年に設立したD2Cブランド。CEOを務めるラフルアー宮澤沙羅氏は、1991年から1993年まで内閣総理大臣を務めた故宮澤喜一氏の孫娘として知られている。

エムエムラフルアーは、創業者と従業員、米国のベンチャーキャピタルが株主として名を連ねており、クールジャパン機構は新規出資として2019年10月に20億円を出資し、さらに2020年9月に3億円を追加出資している。いずれも融資ではなく出資だった。クールジャパン機構は、合計で23億円もの巨額出資を行ってからわずか5年足らずで米国のアパレル企業からの完全撤退を決めた。

クールジャパン機構は2013年11月に日本政府と電通など民間15社が共同出資して設立したファンドだが、投資に対するリターンはあがっていないままだ。2022年3月末時点で309億円の累積赤字を計上し、さらに2023年3月末で356億円、2024年3月末で398億円と累積赤字が膨らんでおり、財務省理財局は累積赤字が改善されない場合は統廃合も視野に検討する方針を2022年6月に発表している。

今回、エムエムラフルアーへの株式の譲渡益は公表されていない。クールジャパン機構には2022年7月にエムエムラフルアーの出資時の売上高や利益、そして2022年時点での売上高などを問い合わせているが、「いずれも公開されていない情報のため、回答を差し控えます」との回答だった。23億円もの巨額投資に見合った投資先・事業内容だったのであろうか。エムエムラフルアーへの出資意義は当初、「日本各地の生地・素材メーカーとの取引拡大を支援し、国内の繊維産業発展に貢献」することとしていたが、果たして具体的にどんな成果があったのだろうか。