出版取次大手のトーハンは7月22日、同業の日販が撤退するファミリーマートとローソンへの雑誌配送について、2025年3月から両コンビニエンスストアそれぞれ1万店舗に配本することで合意していることを改めて表明した。
国内では、ファミリーマートは6月末時点で16,253店舗、ローソンは2月末時点で14,643店舗を展開しているが、トーハンはすべての店舗への配本を引き継ぐことで合意したわけではないとしている。
今回トーハンが声明を発表したのには、一部報道があたかもトーハンの一方的な判断で雑誌配送を打ち切るかのように報じたことが背景にある。さらに、配本可能店舗数について「物流の2024年問題」と直結するものとして同記事で報じられているが、これも否定している。
トーハンは、2025年3月以降の個々の店舗に対する雑誌配送については、ファミリーマートとローソンのチェーン本部と加盟店との間で個別に協議中としており、今後選別していくとみられる。
ファミリーマートとローソンへの雑誌配送の撤退を表明した取次大手の日販グループホールディングスは、2023年3月期の通期連結決算は売上高は4021億7100万円(前年比9.4%減)、営業利益は16億6100万円の赤字(前年は12億4400万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は49億3400万円の赤字(同2億1800万円の赤字)と苦戦を強いられている。
雑誌の返本率も高く、日販では書店やコンビニエンスストアに配本されたうち47.8%が返本されている。燃料費や人件費などのコストは上がり続けており、配本される雑誌のうち半数近くが返本されている状況が続いている。
一方で、現在コンビニにおける雑誌販売の割合はせいぜい1%程度だという。今後はさらにその割合が低下していくことになりそうだ。