中国市況の悪化の影響で、売上高の鈍化が顕著になってきたラグジュアリーブランドだが、「プラダ(PRADA)」や「ミュウ ミュウ(miu miu)」などを展開するイタリアのプラダ・グループ(PRADA GROUP)が7月30日に発表した2024年12月期の上半期四半期決算1月1日~6月30日)は、大幅な増収増益だった。
売上高は25億4900万ユーロ(約4103億円、前年同期比17%増)、上半期純利益は3億8300万ユーロ(同約616億円、同25.5%増)と2桁増を達成しており、レディ・トゥ・ウェアに対する高い評価が好決算に直結している。
プラダ・グループの会長兼業務執行役員のパトリッツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)は、「事業全体への投資を継続しながら、今後数カ月を乗り切るプラダグループの能力に自信が持てるようになった」と語っており、為替にもよるが今期は売上高1兆円もみえてくる。
売上高1兆円のファッショングループ企業としては、例えば「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」を展開する米国のラルフ ローレン コーポレーション(Ralph Lauren Corporation)が挙げられる。2024年3月期の通期連結決算の売上高は66億3100万ドル(約1兆410億円、当時のレートである1ドル=157円で換算)を計上している。
グループの成長を力強く牽引しているのは、売上高の75%を占める「プラダ」、同じく23%を占める「ミュウ ミュウ」だ。「プラダ」の売上高は17億800万ユーロ(約2749億円、前年同期比6%増)、「ミュウ ミュウ」は5億3000万ユーロ(約853億円、同93%増)と好調を維持している。「チャーチ(Church’s)」は前年同期比15%増の1500万ユーロ(約24億円)だった。
地域別では、年明けからの勢いを継続したまま、すべての地域で増収を達成している。特に日本での既存店ベースでの売上高は前年同期比で55%増の3億900万ユーロ(約497億円)と大幅な増収だった。日本を除くアジア太平洋地域は7億7400万ユーロ(約1246億円、前期比12%増)、欧州は6億8200万ユーロ(約1098億円、同18%増)、米国は3億8700万ユーロ(約623億円、同7%増)、中東は1億1000万ユーロ(約177億円、同20%増)だった。
「プラダ」はスカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)を新しいキャンペーンに起用し、「ミュウ ミュウ」はジジ・ハディッド(Gigi Hadid)を始めTWICEのモモやIVEのウォニョンらをアンバサダーとして起用している。「ミュウ ミュウ」は、「ニューバランス(New Balance)」のランニングシューズ「530」をベースにしたコラボスニーカーを発売するなど、こうした取り組みも奏功している。
不確実性が増す市場環境ではあるが、成長軌道に乗るプラダ・グループ、そしてミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)のクリエイションに今後も注目したい。
1ユーロ=161円換算(8月2日時点)