総括
FX「中国の為替操作は巧み、弱材料多いが元は何があっても12通貨中で中位に位置」人民元見通し
(通貨4位、株価19位)
予想レンジ 人民元/円 20.0-20.5
(ポイント)
*中国の為替操作は巧み
*7月は円高に大きく振れたが、人民元は対ドルでは超安定推移
*7月鉱工業生産、3カ月連続鈍化
*若年失業率、7月は17.1%に上昇
*株価は相変わらず弱く、金利は低下
*長期金利低下は景気の弱さを物語っている
*7月製造業・サービス業PMI冴えず
*EU、中国から輸入のテスラ車に9%の関税
*LPRは据え置き
*トランプ次期大統領候補は中国に60-100%の追加関税を課すと発言
*G7首脳、中国過剰生産に懸念表明
*中国の米国債保有額、2009年ぶりの低水準に
(中国の為替操作は巧み)
人民元は12通貨中で、今週は6位、日銀の7月介入以降では4位、8月はここまで7位、年間では4位。ドルを主としたバスケット制度を採用しているのでドルよりは強からず、ドルよりは安からず、安定している。巧みな為替操作だが、潤沢な外貨準備があるから出来ること。中国の外貨準備は日本の3倍の3兆ドル。そのうち米国債購入は4分の1程度だが、残りの7割強の運用が公表されずに不透明だ。
ただ米中関係の悪化、景気減速、株安、ディスインフレが騒がれる中で為替だけは上手くコントロールしている。
(7月鉱工業生産、3カ月連続鈍化)
7月の鉱工業生産は3カ月連続で伸びが鈍化し、景気回復の勢いが失速していることを示した。一方、小売売上高は伸びが加速し、消費喚起策が効果を発揮している兆候も見られた。 鉱工業生産は前年比5.1%増加したが、伸び率は6月の5.3%から鈍化した。
小売売上高は2.7%増と6月の2.0%増から伸びが加速。アナリスト予想の2.6%増を上回った。
(LPRは据え置き)
人民銀行は8月20日、最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想通り据え置いた。
1年物は3.35%、5年物は3.85%でそれぞれ維持した。内需のさらなる軟化を阻止し、今年下半期の成長率を5%近くに維持するには、拡張的な財政政策と金融緩和継続など他の支援措置が必要と指摘されている。
まだ 3Qには預金準備率を0.25%引き下げると予想されている
(EU、中国から輸入のテスラ車に9%の関税)
EUは8月20日、中国から輸入されるテスラ車に9%の関税を課す計画を発表した。
中国がEV業界に提供している補助金に対抗する。関税案は若干修正がなされており、MGを傘下に置く上海汽車集団(SAICモーター)は36.3%、ボルボ・カーの親会社である吉利汽車は19.3%、中国最大のEVメーカー、比亜迪(BYD)は17%の追加関税が課せられる。
この税率は、中国の輸出企業が現在直面している現行の10%関税に加えて課されることになる。
テスラの9%という関税率は他のメーカーより低いため、同社にとって比較的歓迎すべきニュースと考えられる。テスラの税率が低めに算出された要因の一つは、中国政府が外資系企業への補助金を少なくしているように見えることだという。