管理会社は不動産オーナーに代わって不動産管理を行う重要な役割ですが、どの管理会社を選ぶかによって金額やサービス内容は大きく異なります。
本コラムでは、管理会社に支払う賃貸管理手数料から、サービス内容や相場、賃貸管理会社を選ぶ時のポイント、手数料を抑える方法を解説します。不動産投資を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。
賃貸管理手数料とは
賃貸管理手数料とは、不動産オーナーに代わって管理業務(入居者の募集や管理)を管理会社に委託する際の手数料のことをいいます。オーナーは、管理会社に任せることで不動産管理の手間を省くことができ、適した管理会社を選択すれば空室率を下げる効果も期待できます。
管理手数料に一般的に含まれる業務は、以下のような定常的に発生する業務です。
入居者への対応業務 | ・家賃の集金業務 ・空室時の入居者募集 ・入退去や更新など入居者との契約業務 ・設備故障などの緊急対応 ・入居者へ連絡事項がある場合の対応 |
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賃貸管理手数料の相場
賃貸管理手数料は一般的に「家賃に対して〇%」という形で、管理会社によって業務内容や価格が異なります。ここでは賃貸管理手数料の相場について解説します。
- 一般的な相場(3~5%程度)
- 集金管理のみの相場(3%程度)
- サブリースの管理手数料の相場(10~20%程度)
一般的な相場(3~5%程度)
一般的な管理会社では、入居者の募集から入退去時の対応、集金業務等を一括して委託できます。賃貸管理手数料の相場は家賃の3〜5%程度です。例えば、家賃が10万円の場合、毎月3,000~5,000円程度の賃貸管理手数料となります。
集金管理のみの相場(3%程度)
管理会社によっては入居者の集金業務のみを行う場合があります。集金業務には単純に毎月の家賃を集金する以外に滞納者への集金対応も含まれます。集金管理のみの管理手数料の相場は家賃の3%程度が一般的です。例えば、家賃が10万円の場合、毎月3,000円程度の賃貸管理手数料となります。なお、集金業務が発生しない空室の場合でも管理手数料を支払う場合もあるため、契約内容に注意が必要です。
サブリースの管理手数料の相場(10~20%程度)
サブリースとは管理会社が借り上げて一定額の賃料をオーナーに支払う契約形態です。サブリース契約の管理手数料の相場は家賃の10~20%程度が一般的です。例えば、家賃が10万円の場合、毎月10,000~20,000円程度の賃貸管理手数料となります。
サブリースでは空室の場合でもオーナーに一定額の賃料を支払います。一般的な管理契約とは異なり、空室リスクを引き受けることになるので、賃貸管理手数料はより高額になります。なお、以下の動画でサブリースとはなにか、サブリースの注意点等について詳しく解説しています。
【関連記事】【会員限定動画】サブリース物件の注意点〜不動産投資の落とし穴と良い物件の選び方を徹底解説〜
賃貸管理手数料が安い方がいいとは限らない理由2選
ここまで賃貸管理手数料の内容や相場について解説しましたが、実際には同じ業務内容であってもそれぞれの管理会社によって金額は異なります。定期的な出費となる賃貸管理手数料は不動産投資の収益に大きく影響を与えるため、費用を抑えることは重要ですが、必ずしも賃貸管理手数料が安い方がいいとは限りません。
ここでは、賃貸管理手数料が安い方がいいとは限らない理由を2つ紹介します。
- サービスの質が低い場合がある
- 管理会社が倒産してしまうリスクがある
サービスの質が低い場合がある
賃貸管理手数料が安い場合、サービスの質が低い場合が考えられます。賃貸管理手数料の価格がそのままサービスの質に直結するものではありませんが、価格が安いと人件費や何かしらの経費を削っている可能性があります。例えば、エアコンや給湯器の故障など緊急性を要する設備故障などの発生時に、入居者からの受付対応時間が限られていてなかなか受付ができなかったり、受付をしてもその後の対応が遅かったりすることで、入居者からのクレームに繋がってしまうケースも考えられます。
緊急時に迅速な対応ができないと、サービスの質が低いと評価されて入居者の満足度が下がり、退去率が高くなることから家賃収入の悪化に繋がります。
管理会社が倒産してしまうリスクがある
賃貸管理手数料を安価に設定している管理会社は、賃貸管理以外の収益に依存している可能性もあります。例えば不動産販売事業を行っている管理会社の場合、投資家から見た利回りをより高く確保するために管理手数料を安価に設定し、管理手数料による十分な収益を確保できない代わりにより多くの不動産を販売することで得られる販売収益から利益を得ているといったことが考えられます。
このように賃貸管理としての収益が十分確保出来ておらず販売収益に依存し過ぎている不動産会社の場合、販売収益が落ち込んだ際に資金繰りが悪化して十分な管理が行き届かなくなってしまったり、最悪のケースでは、その管理会社が倒産してしまったりすることも考えられます。万が一倒産してしまうと、集金した家賃や敷金の一部がオーナーに支払われなかったり、入居者との契約手続きや様々な対応が滞ってしまったりという危険性があります。
賃貸管理会社を選ぶポイント6選
賃貸管理手数料を安さだけで選ぶのは得策ではないことを説明しましたが、続いて、賃貸管理会社を選ぶ時のポイントを6つ紹介します。
- サービス内容を必ず確認する
- 管理している物件の入居率を確認する
- 入居者の募集が得意かを確認する
- 迅速な対応ができるか確認する
- 大手か地元の管理会社にするかを検討する
- 口コミや評判を確認する
サービス内容を必ず確認する
前述のように賃貸管理手数料はサービス内容によって異なるため、事前にサービス内容を必ず確認しましょう。例えば家賃の集金や入居者との契約管理、緊急時の対応などが一般的なサービスですが、それらがどの程度まで含まれているか、またオプションとして提供されているものがあるかなど細かい部分を確認することが重要です。確認する際にはその内容だけでなく24時間365日対応してくれるのかといった対応時間まで併せて確認しましょう。
管理している物件の入居率を確認する
入居率が高い管理会社はそれだけサービスの質が高いことが考えられます。管理会社が効果的な入居者募集や満足度の高い入居者対応をしていることが期待でき、物件の魅力を最大限に高めてくれます。入居率は各管理会社が積極的に公表していることも多いですが、もし公開していなければヒアリングをしましょう。
入居者の募集が得意かを確認する
入居者の募集を得意としているかどうかを確認することも重要です。例えば、どのような募集方法を取っているか、社宅利用や個人利用等どういった入居者属性に強いか、募集物件としてどのような物件が得意か(賃料や間取り等)をヒアリングしてみましょう。さらに、空室が発生してから新しい入居者が入るまでの具体的な流れやスケジュールについても聞いてみた上で、空室期間を短縮するための何らかの工夫をしているかを聞いてみることも有効です。
迅速な対応ができるか確認する
入居者からの問い合わせに対して迅速な対応ができるかどうかもポイントの一つです。入居者からの問題報告や緊急の修理依頼に迅速に対応することは入居率に大きく影響し、投資収益を確保するためには不可欠です。例えば管理会社が24時間365日体制で対応可能か、緊急事態に対する反応時間はどれくらいかなど具体的な対応体制を詳細に確認することが重要です。
また入居者とのコミュニケーション手段(メール・電話等)についても確認し、予期せぬトラブルを未然に防ぐ体制が整っているかも検証してみましょう。
大手や中堅か地元の管理会社にするかを検討する
管理会社を選ぶ際には大手や中堅か地場の管理会社にするかを検討することも重要です。大手や中堅の管理会社は一定の知名度があって、集客力やサービスの質が比較的安定しており、24時間365日で入居者対応をしていたり、外国人の入居者に対する外国語対応などでも多言語に対応していたりといったメリットが挙げられますが、その分賃貸管理手数料はやや割高な可能性もあります。一方、地場の管理会社は地域の市場に精通し賃貸募集などに強みを持つことも想定されますが、その一方で人的リソースが限られるため入居者対応などの面では大手や中堅と比較すれば対応が劣ることが考えられます。
口コミや評判を確認する
レビューサイトやSNSなどで口コミや評判を確認しましょう。口コミや評判を確認することで客観的な視点から管理会社の実績や信頼性を評価することができます。しかし、偏った意見もあるので、批判的な意見も含めてバランスよく情報収集し、なおかつ参考程度としておくのがよいでしょう。また、状況は時間経過とともに変化するため、最新の情報を集めることも重要です。
賃貸管理手数料を抑える方法3選
必ずしも賃貸管理手数料が安い方がいいとは限りませんが、費用を抑える努力は必要です。ここでは、前述の管理会社を選ぶポイントに加えて賃貸管理手数料を抑える方法を3つ紹介します。
- 複数社を比較検討する
- 管理会社に一任せず業務ごとに取捨選択する
- 複数の物件をまとめて依頼する
複数社を比較検討する
複数の管理会社を比較検討しましょう。前述のとおり管理会社はそれぞれ料金体系や提供するサービス内容に違いがあります。比較する際には各管理会社の管理手数料だけでなく追加費用やサービス内容についても確認することが重要です。さらに、会社の実績等を参考にすることでサービスの質や信頼性も評価することができます。
管理会社に一任せず業務ごとに取捨選択する
1つの管理会社に一任せず、依頼する業務を取捨選択することも重要です。例えば、家賃の集金や契約書の管理などを自分で行うことで、管理会社に支払う手数料を削減することができます。自分でやれることがあれば自分でやってみるというのも選択肢の一つです。
複数の物件をまとめて依頼する
複数の物件をまとめて管理会社に依頼し、ボリュームディスカウントとして交渉する方法もあります。管理会社側としては一気に契約を受けることができるため、通常よりも料金を割引してくれる可能性があります。また、1つの管理会社にまとめて依頼することで、複数の管理会社とのコミュニケーションをとる必要もなくなり効率化が図れ、トラブル時の対応もスムーズになることが期待できます。
(提供:manabu不動産投資 )
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