メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「さあメキシコ第二戦!司法改革案が成立、ペソと株が上昇。これから本番、政府の反論は?」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.0-7.5

 (ポイント) 
*司法改革案が成立した後はペソ高株高。昨日は最強通貨
*日足、週足、月足のボリバン2σ下限で底打てるか
*AMLO大統領とシェインバウム次期大統領が発言を始める
*8月消費者物価は5%割れ、9月はFRB見ながら利下げか
*ペソを弱くする7つの要因は(前週号)
*市場は司法改革をネガティブなものと捉えているが、政府の対応はこれから
*メキシコ、司法改革をめぐる論争で米国、カナダ大使館との関係を凍結
*中銀、成長見通し引き下げ
*トランプ大統領なら経済摩擦拡大か
*円買い介入にテスラショックも続落要因
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*メキシコの格付けはジャンク債の手前

(司法改革案が成立した後はペソ高、株高)
 昨日、司法改革案が成立した。一方メキシコペソは昨日は久々に最強通貨となった。唯一円絡み通貨ペアで5日線が上向いた。
 6月2日の大統領選挙で大勝後は下落が続いたが、司法改革案が成立での材料出尽くし感からか、テクニカルでも日足、週足、月足のボリバン2σ下限まで到達していたから自律反発か。
 株価(ボルサ指数)は昨日は1.57%高、年初来では9.39%安、10年国債利回りは9.76%。

(8月消費者物価と鉱工業生産)
 8月の消費者物価上昇率は前年同月比で4.99%。2カ月ぶりに5%を割り込んだ。コアは4.0%。中銀は8月、インフレ再過熱の懸念が高まる環境下で利下げに踏み切った。ペソは9月に入り、一時1ドル=20ペソ台の2年ぶりのドル高・ペソ安水準まで下落した。現政権が国内外で批判の強い司法制度改革法案を強行成立させる可能性が、最大のペソ安材料となっている。これを受けて、シティバナメックス、ゴールドマン・サックスが、9月、11月、12月に0.25%の利下げを予想、年末までに金利が10.00%に低下するとしている。

(司法改革案可決)
 昨日は司法改革案可決した。早速ムーディーズはメキシコの司法改革は同国のソブリン信用格付けに重大な影響を与える可能性があるとコメントした。

(大統領達の言い分、メキシコペソの安定を強調)
*AMLO大統領は今週月曜日、最近の通貨安は外的要因によるものであるため、メキシコ通貨は今後は安定推移すると強調した。最近のペソの変動は、政府が推進し現在進められている司法府改革によるものではないと発言。企業や投資家が求めているのは国内の安全と、真の民主主義における強力な権限を備えた真の法の支配だと述べ司法改革を正当化した。
(大統領は9月15日の官報で司法改革を公表する)

*シェインバウム次期大統領=司法権改革が承認された。それは我が国にとって良いことだ。私たちが話しているのは、国民によって選ばれた真に独立した自律的な権力です。これは、憲法の改革のためのメキシコ合衆国政治憲法に記載されています。

(ニアショアリングは実際に始まる前に終わってしまうのでしょうか)
 メキシコと米国のビジネスリーダーたちは、AMLOの司法改革をメキシコのニアショアリングに対する重大な脅威とみなしている。司法改革法案の承認が近づくにつれ、この改革がメキシコへの外国投資にどのような影響を与えるかについて考え始めている。メキシコアメリカ協会会長ルービン氏は、司法改革案によって生じた不確実性のため、米国企業はメキシコへの投資発表を控えていると述べた。一部の米国企業はメキシコではなくテキサスへの投資を検討していると述べた。またコスタリカ、ドミニカ共和国、パナマを代替案として検討せざるを得なくなる可能性があるとした。

(しかし、ニアショアリングが停滞すればメキシコ経済に大打撃となる。そんなことはメキシコ政府も十分承知しているだろう。今後も政府の反論が出てくるだろう)