本記事は、龍夏氏の著書『「器用貧乏」さんから脱出する本』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

Hand points to rising curve on blue background capturing optimism and growth in minimalistic design
(画像=Fatima Abdul Moiz / stock.adobe.com)

理想を叶えるのは「一直線」ではなく「曲線」で

器用貧乏さんから才能長者さんへの変化を手にしたわけですが、ここで要注意なのが、変化を実感するにはタイムラグがあるという事実です。このタイムラグのことを「成長曲線」といいます。

成長は曲線を描く

わたしたちは新しく何かを始めるとき、自分の努力は報われると期待しています。

一般的な例で考えてみましょう。ダイエットをしようと一念発起して食事制限や運動を始めたとします。初日に頑張った結果、たった1日で300グラム体重が落ちました。すると、10日で3,000グラム(3キログラム)痩せられるのではないか、と単純計算して結果を予想しがちです。

結果と頻度(時間や回数)は直線状に正比例すると思ってしまうのです。

「器用貧乏」さんから脱出する本
(画像=「器用貧乏」さんから脱出する本)

結果はゆるやかに変化し、徐々に手応えを感じるようになっていくものです。しかし、行動すれば右肩上がりに結果が出るものと期待しているので「どうしてこんなにやっているのに結果が出ないのか」と疑問を感じ始めます。そして、「自分には向いていないのではないか?」と自信を失い、結果が出る前に行動を続けることをやめてしまうのです。

特に器用貧乏さんは、何をやるにも短時間でコツをつかむのが得意なので、その傾向が強く出ます。

これはダイエットに限らず、勉強でも運動でも同じことが言えます。

成長は、「成長曲線」という名のとおり直線状ではなく、ゆるやかな曲線を描くものだと理解しておけば、コツコツと行動を続けやすくなります。

知ってる・できる・やっているの成長階段を進もう

行動が成果に結びつくプロセスには、ある一定のパターンが存在します。

行動の大切さについては、NLP(神経言語プログラミング:1970年初頭、リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが心理学と言語学の観点から新しく体系化した人間心理とコミュニケーションに関する学問)の「学習の5段階レベル」で説明することができます。

人は学習・成長する際に、5段階のステップを踏むようにできています。第1段階から「無意識的無能」「意識的無能」「意識的有能」「無意識的有能」「無意識的有能に意識的有能」といい、これを「学習の5段階レベル」といいます。

「器用貧乏」さんから脱出する本
(画像=「器用貧乏」さんから脱出する本)

段階ごとの状態を順に説明します。

【第1段階】無意識的無能=知らない
目標に対して、どう行動すればいいか、情報を持ち得ていない状態です。意欲はあっても行動する方法がわからないので当然ながら行動することができません。

【第2段階】意識的無能=知っている
知識や情報を得て、何をすれば効果があるのかを知った状態です。この段階ではまだ行動をしておらず、いわゆる「頭ではわかっている」状態。ここで頭でっかちになって行動に至らない、先に進めないという状態が起きやすいので注意が必要です。
また、「知っているのにできない」状態のため、【第3段階】に進むまでには時間がかかります。ここが踏ん張り時です。

【第3段階】意識的有能=できる
行動を始め、注意深く行えばなんとか「できる」状態ですが、自分なりのコツをつかむまでには至っておらず、試行錯誤が必要です。
新しい方法を試すときは【第2段階】に戻って「知る」必要があるため、どの方法が自分に合うのか探している段階では、行動に慣れるまでに苦労します。

【第4段階】無意識的有能=やっている
ある程度の行動量が蓄積されてきて、習慣化が始まります。この段階では行動することが当たり前となり、さほど意識しなくとも行動できるようになっています。

【第5段階】無意識的有能に意識的有能=人に伝える・教えられる
行動することによって得られた経験、気づきや学びなどを、言語化して人に伝えたり、教えたりできるようになる状態です。意識せずにできる行動を、意識的に伝えることで、さらなる成長の機会を得られます。

「器用貧乏」さんから脱出する本
龍夏(りゅうか)
器用貧乏さんの「生きるコンパス」をつくるコーチ・運命学鑑定士
大手自動車メーカーで28年間勤務し、お茶汲みやコピー取りの冴えないOL時代を経て、社内外のカイゼン活動、マインド改革を2万6,000時間以上実施し、メンタルとビジネスの結びつきの重要性を実感。 この経験を生かして2011年よりメンタルコーチの活動を開始。5~83歳までの器用貧乏に悩む学生、主婦、社会人、治療家、経営者に向けてカウンセリング領域までをも含んだ1万1,000件以上の悩みの解決に携わる。 2019年よりライフコーチング・運命学・起業支援を組み合わせた、器用貧乏さんにマンツーマンで関わる講座「アシタノコンパス®」を主宰。 これまでに8,100時間以上開講中。本書が初の著書となる。
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