本記事は、田中 はじめ氏の著書『世界最高峰の研究者たちが教える ストレス解消法』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
ストレスでジャンクフードを食べてしまう理由
ストレスが溜まると私たちは無性にジャンクフードが食べたくなります。体には良くないとわかっていながら、ポテトチップスを食べたり、ハンバーガーとポテトを食べたりしてしまいます。人によっては無性に甘いものが食べたくなるという人もいるでしょう。
どうして私たちはストレスが溜まるとジャンクフードを食べてしまうのでしょうか。それは、ストレスが溜まるとコルチゾールというストレスホルモンが分泌されて食欲が増し、特に脂肪分または糖分が多いものが欲しくなるからだといわれています。
しかし、ちょっと待ってください。ジャンクフードを食べる前に次の研究結果を読んでみてください。
米国コロラド大学のリサ・マーシャルらの研究で、ジャンクフードが腸内細菌を破壊し、腸と脳をつなぐ複雑な経路を通じて、脳内化学物質に影響を与えて不安が大きくなることがわかりました。ジャンフードが健康食品でないことは誰でも知っています。しかも、体重増加にも大きく影響をしています。
以前の研究では、高脂肪食を与えられたラットが、神経炎症と不安行動の増加を示すことも発見されています。すべての脂肪が悪いわけではなく、魚、オリーブオイル、ナッツ、種子に含まれるような健康的な脂肪は抗炎症作用があり、脳に良いとことが証明されています。しかし、ジャンクフードに含まれる飽和脂肪酸を取りすぎると、短期的に不安が高まり、将来的に脳が不安になりやすくなってしまうのです。
この研究の結果から、ピザやフライドポテトなどのファストフードはできるだけ避けたほうがよいといえるでしょう。
せめて、ハンバーガーを食べるときなどは、トマトやアボカドのスライス、玉ねぎなどの野菜を追加するようにしましょう。
他の研究によると、良い脂肪は悪い脂肪を打ち消すことができるみたいなので、どうしてもジャンクフードが食べたくなってしまったときは、野菜も必ず取るようにしてくださいね。
食事と脳の関係
バランスの良い食事が必要な理由は、体と心の健康を維持するために不可欠だからです。
体を正常に機能させるためには、さまざまな栄養素が必要になります。炭水化物や脂質から得られるエネルギーは、日常の活動に必要になります。
また、最近の研究で、栄養は脳の健康にも影響を与えていることがわかりました。バランスの良い食事を取ることで感情の安定やストレスへの対処がしやすくなり、うつ病のリスクや不安も減らすことができるようなのです。
英国ウォーリック大学のジアンフェン・フォンらは、私たちの食べ物の好みが体の健康だけでなく、脳の健康にも大きく影響することを明らかにしています。UKバイオバンクの参加者18万1,990人の食の好みをオンラインアンケートで取り、それを10のグループ(アルコール、果実、肉など)に分類しました。
食事の好みと、認知機能、血液、脳画像などさまざまな身体的評価と照らし合わせて分析してみると、栄養と幸福度との間に相関関係が見られました。
バランスの取れている食事を取っている人は、メンタルヘルスの向上、優れた認知機能などに良い影響を受けていることがわかりました。
人生の早い段階で健康的な食事を確立することの重要性がわかります。幼い頃から健康的でバランスの取れた食事を習慣づけることは、心身の健康や成長に不可欠です。
健康的でバランスの取れた食事を取るために、家庭と学校の両方が多様な栄養価の高い食事の提供を心掛ける必要があります。食事が心身の健康をサポートするのです。
とはいっても、仕事や子育てをしていたりすると、毎回バランスの取れた食事をするのは私たちにとってかなりハードルが高いことです。大人であれば、自分の中で食事のバランスを考えて、足りていないと思う栄養を補うサプリを飲んだりするだけでも違いを感じられるはずです。
子どもには、サラダを買ってきたり、野菜ジュースを飲ませるなどの工夫することで、食事のバランスをなるべく整えていきましょう。
就活で出版社のみを志望するが全滅。大学卒業後は、コンサルティング会社、出版社勤務を経て独立。
出版社勤務時代は、プロデュースや書籍編集、ブックライティングなどを担当。携わった書籍は300冊以上。
ビジネス書や人文書を多く手掛ける。趣味は釣り、スノーボード、草野球。現在はフリーの編集者。
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